第99話、わたくし、前世の記憶のせいで、『嘘つき令嬢』と呼ばれておりますの。(その4)

 イソップ物語の有名な寓話に、『嘘をつく子供』──俗称『オオカミ少年』というものがある。


 皆さんも、ようくご存じかと思われるが、昔羊飼いの少年が、何度も何度も「狼が来たぞー!」と嘘をついていたところ、ある日本当にオオカミの群れが襲ってきたのだが、誰も信じてくれず、羊をみんな食べられてしまったというやつで、「嘘ばかりついていると、人の信頼を失ってしまうので、常日頃から正直に生きましょう」という教訓が込められているとされている。




 ──という(ウィッキーな)解説書こそ、真っ赤な嘘で、




 実は、『イソップ』──古代ギリシャ語読みで、『アイソーポス』なる人物は、奴隷階級の中間管理職的立場にあって、配下の奴隷たちを意のままに過酷な労働に従事させるために、様々な『教訓話』をでっち上げ洗脳しようとしていたのであり、この『オオカミ少年』という寓話も、奴隷たちが妙な知恵をつけて『嘘をついて』ズルをしたりサボったりして、労働の現場の平滑なる運営を阻害しないように、とにかく家畜同然に、『馬鹿正直に』ただ単純に命令通り働く、『ロボット人間』に仕立てようと目論んだものであったのだ。

 そう。実は『嘘』こそは、唯一知恵を有する動物である、人間のみに与えられた『特権』なのであり、これを取り上げるということは、人間を家畜に堕とすに等しい蛮行でしかないのだ。

「人間とは、嘘をつく存在である」ということこそが『真理』であるのは、どんなに親しい友人や恋人や果ては家族同士であっても、常に嘘のつき通しであることを身にしみている、皆さんのほうがようくご存じであろう。


 それなのにWeb小説の中にはたまに、『まったく嘘をつかない天使のような美少女』とか、『他人の嘘を見抜けるチート主人公』なんかが見受けられるが、そんなの嘘つきだらけの人間社会で生きていけるはずがないし、下手すると嘘で成り立っている世界そのものを崩壊させてしまいかねないであろう。


 ……何でWeb作家の皆様は、こんな当たり前のこともわからないのであろうか?

 孤独な自宅業の小説家とはいえ、ひきこもってばかりおらずに、一度でいいから、実社会で働いてみるがいい。

 東京で一番有名で一番のっぽビルな某地方公共団体なんて、常に職場の仲間同士で嘘をつき合っているという、信じられない有り様で、一日でうんざりするぞ?




 ──さて、我々は本当に、『オオカミ少年』のことを、笑えるのでしょうか?


   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑


「……いや、笑えない笑えない、まさか本当に、狼の大群──ううん、大が、襲ってくるとは」




「第1機甲大隊、攻撃準備完了!」


「第14砲科中隊、長長距離砲、発射準備、よし!」


「第7特務小隊、潜入工作のため、先行出発!」


「──ウルフ将軍、全軍侵攻準備、成りました!」




「……くくく、これで完全に油断しきっているコニャック王国は、我らワーウルフ軍団のものよ。──いいか、皆の者! しょせん人間なぞ、牙や爪や怪力の無い『オーク』──つまりは、『豚』に過ぎぬ! 豚は我ら狼のエサだ! 存分に蹂躙してくれようぞ!」




「「「──おおーっ! ウルフ将軍、万歳ハイル・ウルフー!!!」」」




「……とはいえ、これはあくまでも、前哨戦に過ぎん。見ていろよ、すぐに世界そのものを完全に支配して、大陸一の美少女モンスター『ゴブリン・モンロー』を、必ずこの手に入れてみせるからな!」




「「「──JAヤー! ゴーゴー、ウルフ将軍! ラブラブ、ゴブリン・モンロー♡♡♡」」」




 コニャック王国の北西部を取り囲んでいる、魔物たちの支配領域『魔の森』から続々と進軍してくる、二足歩行の狼モンスター『ワーウルフ』たちが操る戦車等からなる、装甲機械軍団。

 先頭の総司令官用の車両の上で、何だかわけのわからない檄を飛ばしている、総大将の『ウルフ将軍』に、それに対して歓呼の叫びで応えている、大勢のワーウルフ兵たち。


 ──そしてその様子を、小高い丘の上に身を潜めてこっそりと見ている、私こと、コニャック王国公爵令嬢アネット=テルミン=トラバスと、自称『真の王子様』のホワンロン王国量子魔術クォンタムマジック学院の男子生徒の制服をまとった麗人の二人。


「……何でこんなトラウマミリオタイベントが、乙女ゲームの中で行われるのよ? 『わたくし、悪役令嬢ですの!』の制作者って、一体どんな闇を心に抱えていたわけ?」

 思わず私の唇からこぼれ落ちる、いかにもうんざりとした声。

 それを聞きとがめた、私をこの地まで連れてきてくれた『お隣さん』が、まさしく、根本的な疑問を呈する。

「それにしても、あれだけ躍起になって、将来起こり得る『大災厄の予言』をしていた割には、このことにはまったく触れなかったのは、なぜなんだい? この『ワーウルフ軍の大侵攻』は、乙女ゲーム『わたくし、悪役令嬢ですの!』の『コニャック王国編』においても、重要イベントの一つのはずだろうが?」

 ──ぐっ。や、やはり、そこを突いてきたか。

「……あは、あはははは。いやね、『ワーウルフが攻めてくるぞ!』なんて言ったりしたら、まんまイソップの『オオカミ少年』そのものでしょう? どうせ誰も信じてくれないと思って、あえて黙っていたの」

 そう言って、いかにも冗談めかすことで、ごまかそうとしたものの、

 自称『真の王子様』には、そんなおためごかしなぞ、通用しなかった。




「……そうか、自分一人が、犠牲になるつもりだったのか」




 ──っ。

 まさか、気づかれてしまうなんて! この人一体、何者なの⁉

「な、何をおっしゃるのよ? こんな小娘一人が命をなげうったところで、ワーウルフの軍団を押しとどめることなんか、できるわけがないじゃないの? ──それに私は何よりも、『悪役令嬢としての破滅の運命』から逃れるためにこそ、いろいろなものを犠牲にしてまで生き抜いてきたのよ? それなのに今更他人のためなんかに、命の無駄遣いをするはずが無いでしょう?」




「──とぼけないでくれたまえ。乙女ゲーム『わたくし、悪役令嬢ですの!』の裏設定にも、ちゃんとあるではないか、ウルフ軍団の侵攻を一気に止める裏技として、ゲームのプレイヤーにとってはむしろお邪魔虫の『悪役令嬢』に過ぎない『アネット』を、文字通りの『捨て駒』として、その身に秘めている膨大な魔導力を暴発させて、まさしく『人間爆弾』として使用するという、狂気の沙汰の隠しイベントが」




 ──うぐっ。

「……どうして……それを」

 現代日本で限定発売された、公式裏設定集にしか書かれていないことを、何で異世界人であるこの人が知っているの⁉

「本来コニャック王国民には、魔法の素質を持つ者はいないはずなのだが、実は君の母君の遠い祖先に大魔導士がいて、君はいわゆる先祖返りしてしまったってところだろうね」




「──そうよ! 私には元々、王国に居場所なんかなかったのよ! こんな強大な魔導力を持っていると知られたら、今度こそ本当に『魔女』として処刑されてしまうわ! だったらいっそのこと、この力を使って魔物の侵略を押しとどめることで、最後に故国のために役に立てれば、本望ってものじゃない⁉ 確かに私は『悪役令嬢』として破滅するなんて、まっぴら御免だった。でも考えてみれば、これは『二度目の人生』なのであり、『ボーナストラック』みたいなものなんだから、自分の命を犠牲にすることでみんなの役に立てるのなら、別に惜しくはないわ。──案外こんな強大な魔導力を持って転生したのも、私がちゃんとワーウルフ軍団の抑止力としての役割を演じきれるように、『女神様』あたりが与えてくれた、『チート』だったりするのかもね」




 そうだ、そうに決まっている!


 いくら『悪役令嬢の破滅の運命』から逃げ続けたとしても、私がこの乙女ゲーム『わたくし、悪役令嬢ですの!』の世界の人間キャラクターであることには、変わりないんだ。


 私は最初から『転生者』として、この特別な二度目の人生いのちを、世界のために役立てるという、大切な役目を与えられていたんだ!


 ──そのように、自分を言い聞かせることによって、ついに意を決し、うつむけていた顔を上げ、いざ戦場に赴かんとした、

 まさに、その刹那であった。




「──馬鹿なことを言うんじゃない! 何が、『チート』だ! 『女神様』だ! 『二度目の人生』だ! 『乙女ゲームへの転生』だ! 何度も同じことを言わせるな! 君はけして、乙女ゲームマニアの『ゲンダイニッポン』のアラサーOLなんかじゃない! 間違いなくコニャック王国公爵令嬢である、アネット=テルミン=トラバス以外の何者でも無いんだ!」




 まるで雷鳴のごとく響き渡る、上品さも優しさもかけらもない、大音声。

 それは紛う方なく、私のすぐ隣にいる、『真の王子様』を自認する麗人の、小ぶりのつややかな唇から発せられていた。

「王子……様?」

「この世界が、乙女ゲームだって? そんなことがあるもんか⁉ もしそうならば、君も僕も単なるプログラムでしかなく、自分の意思なんか持たないはずだろうが⁉」

 ──えっ?

「な、何、その、極端なご意見は? 普通Web小説なんかでゲームの世界に転生しても、ちゃんと登場人物には、それぞれに自分の意思があるじゃないの!」




「それは、そんなでたらめばかり書いている、Web小説が間違っているんだよ!」




 なっ、ちょっとお───⁉

「──待って待って待って、何てこと言い出すの⁉ 今すぐ訂正してえっ!」

「いや、訂正する必要はない。実は『これぞまさしくゲームの世界への転生そのもの』を描いたWeb小説も、ちゃんと存在しているからな! 『悪役令嬢』を始めとするすべてのキャラクターが、れっきとしたプログラムの存在として、バグを利用して『壁抜け』をしたりする、まさに『お手本的ゲーム転生』作品がな! ……それとも君は、『ヤッ○ー』とか言いながら、壁抜けをすることができるわけなのかい?」

 ええっ、そんな作品もあるの⁉ すげー! Web小説、すげー!

「まあ、言うなれば、君にとってこの世界は、『乙女ゲーム異世界』って、ところではないのかな?」

「──! そ、そうよ、それよ! だからちゃんと、ゲームのシナリオ進行も、踏襲しているのであって……」




「いいや、たとえ既存のゲームそっくりの異世界であろうと、君がプログラムの存在ではない限り、ここは間違いなく現実世界であり、未来には無限の可能性があり得るから、けして何から何まで全部、ゲームのシナリオ通りに進行することなんてないんだ」




 ……何……です……って……。

「これがあくまでも現実で、しかもあなたが何度も言うように、私がゲームのキャラどころか『転生者』でもなく、生粋のこの世界の人間だとしたら、私の脳みその中にある、『現代日本のアラサーOL、九十九つくもももとしての記憶』は、一体何なのよ⁉」

「ふふふ、いっそのこと、そんなの単なる妄想でしかないのだ──って、切って捨ててもいいんだよ? 何せこの世界こそが僕たちにとっての、唯一絶対の現実世界だとしたら、『ゲンダイニッポン』なんて、単なる妄想の産物ということになるのだからね」

「そんな馬鹿な⁉ こんなに明確な記憶を持っているのに!」

「それもWeb小説における、重大な弊害の一つでね、Web小説自体が、『ゲンダイニッポン』において、『ゲンダイニッポン』の読者に向けて、創られているものだから、どうしても主人公たちが現に存在している異世界よりも、その世界からすると存在が不確かでしかない『ゲンダイニッポン』のほうを、確固たる現実世界だと見なすことになるんだよ」

「言いたいことは大体わかるけど、これではあなたってむしろ、現代日本が明確に存在していることを、認めているようなものじゃないの⁉」

「あはは、ごめんごめん、ちょっとメタっぽかったかな? そもそも今まで大勢の『転生者』がもたらしてくれた、『ゲンダイニッポン』の科学技術等を散々利用しておいて、何を言っているのかって感じだよね。もちろん、どうして『ゲンダイニッポン』の情報を、『転生者としての前世の記憶』として取得できているかについては、量子論や集合的無意識論によって詳細に説明できるけど、そんな面倒なことをいちいち述べていたら、本筋を見失って、話がごちゃごちゃになりかねないので、ここでは多くを述べずに、とにもかくにも、この世界こそが唯一の現実世界で、僕たちはあくまでもこの世界のみの存在で、『ゲンダイニッポン』とか『転生者としての前世の記憶』なんてものは、妄想のようなものに過ぎないということは、けしてたがえてはならない、世界における最重要の真理であるということだけは、是非とも肝に銘じておきたまえ」

「…………………ええと、難しいことはちんぷんかんぷんなんだけど、結局どういうことなんでしょうか?」

 いきなり自分にとっての『常識』を一気に覆されてしまって、もはや何が何だかわからなくなり、つい堪えきれず問いただしてみたら、

 目の前の端整なる顔が、これまでになく優しく微笑みながら、

 ──私のハートを見事に打ち抜く、とどめの言葉をささやきかけてきた。




「つまり君は、『転生者』とか『ゲームのキャラ』とか『悪役令嬢』とか『予言者』とか『自己犠牲者』とかいった、妄想によって植え付けられた『偽りの自分』なんか捨て去って、これからは本当の自分自身として、自分のための人生を歩んでいけばいいってことさ」




 ──‼

「……本当の……私……ですって?」

「ああ、今の君は、本当は不確かなものでしかない『ゲームの知識』に縛り付けられて、真に自分が歩む道を、完全に見失っているんだよ。だってゲームなんかと違って、現実世界には無限の可能性があるんだから、君が選べる選択肢も当然のごとく、無限にあるんだからね♡」

 今までの私はただ単に、妄想的にすり込まれた、『ゲームの知識』に縛り付けられていただけですって?


 本当は私には、無限の未来の可能性があるですって⁉


「──い、いやでも、あくまでも裏設定とはいえ、現にこうしてゲームのシナリオ通りに、ワーウルフ軍団が攻めてきたじゃないの⁉」

「そりゃあ、あらゆる異世界転生を司っている『女神様』御自らが、この世界をモデルにして創ったゲームなんだから、100%同じになることは無いとはいえ、似たようなイベントが起こることもあるだろうよ」

「え? あのゲーム、女神様が創っていたの⁉」

「ああ、『なろうの女神』と言って、とんでもない『トリックスター』さ。ちなみに、君に『ゲンダイニッポン人』としての『記憶や知識』を与えたのも、おそらく『彼女』だよ」

 えー、つまりそいつこそが、諸悪の根源ってわけえ?

「う、うん、理屈のほうは、どうにか理解できたものの、実際にワーウルフの侵略が始まっているんだけど、これはどうやって止めればいいわけ? やっぱ私が自爆したほうがいいんじゃないの?」

「……何かむしろ、自爆したくて堪らないようも聞こえるんだけど、したら駄目だからね? それにご心配なく。あの程度のモンスターの暴走ごとき、『彼女たち』の力添えさえあれば、僕と君とで十分に鎮圧できるよ」

「へ? 彼女たち、って……」

 そのように私が、オウム返しした、瞬間──




「──うわああああああっ⁉」


「「「ぐおおおおおおおおおっ!!!」」」




 突然の大爆発によって、四方八方に弾き飛ばされる、ウルフ将軍を始めとする、ワーウルフの先頭集団。


「なっ、何だ? 何事だ⁉」

 地面に伏せた格好のままで、混乱の声を上げる将軍。


「──ぐはっ!」


「──ひぎっ!」


「──どわっ!」


 その間にも、火属性、水属性、風属性、土属性、光属性、闇属性等々と、属性を選ばぬ謎の魔法攻撃によって、次々に打ち倒されていく、ワーウルフたち。


「……え、何、あのたちは?」


 そうなのである。多数の魔物の集団の中で、縦横無尽に駆け回り、的確な魔法攻撃によって、どんどんと精強な機甲部隊を切り崩していっていたのは、私と同じ年頃の、まさしく王侯貴族の令嬢にふさわしい、色とりどりの華美なドレスで着飾った、見目麗しき少女たちであったのだ。




「──君と同じく、偽りの『ゲームの知識』に囚われて、本当の自分自身の人生を歩めずにいた、かつての自称『転生者』たちさ」




 事もなく、驚愕の台詞を述べたのは、言うまでもなく『隣の王子様』。

「あの子たちが? 何でそんな人たちが、あんなすごい魔法を使って、ワーウルフ軍団と闘っているの?」

「まず彼女たちの魔法攻撃がすごいのは、元々この世界の王侯貴族の子女には、膨大な魔導力が秘められているってのが『お約束』だからであり、そしてなぜに嬉々として狼軍団を蹂躙しているのかは、何よりも君という『新しい仲間』を、助けてあげるためさ」

「え、仲間って、一体、何の仲間よ?」




「そりゃあ、僕の可愛い仔猫ちゃんたちだけによる、『ハーレム』に決まっているだろう?」




 ………………………………………は?

「こ、このう、クソ王子、最後の最後にきて、堂々と『ハーレム宣言』かましやがった⁉」

「──どうどう、落ち着いて! そんな強大な魔導力をたたえた手のひらを僕のほうに向けて、一体何をする気だい⁉」

「害虫駆除」

「真顔で、簡潔に、言い切らないでよ⁉ ……あのね、ハーレムと言っても、別に僕一人が『あるじ』的ポジションに収まって、君たちの愛を一方的に要求したり、君たち同士で争わせたりとか、するわけではなくて、あくまでも僕自身も単なる一構成員であり、みんなが一人一人ハーレムのあるじなのであって、みんながお互いに無差別に愛し合うという、真の理想郷なんだよ⁉」

「何その、ルール無用のラブラブバトルロイヤル的『百合天国』は⁉ それじゃあ、王子様がいる必要ないじゃん!」

「何を今更。僕が主催するハーレムなんだから、最初から『百合オンリー』になるのは、当然じゃないか?」

「……………………………え?」

 何だろ、今非常に重大なカミングアウトをされたはずなのに、頭が理解するのを断固拒否していやがる。

「──さあ、そんなことよりも、僕たちもそろそろ『狼狩り』に参加しよう! みんなで力を合わせれば、あんな雑魚モンスター、一時間もかからずに全滅さ」

 そう言って、最初に出会った時と同じく、こちらへと手を差し伸べる、『王子様』(疑)。


 優しげなまなざしの中に、極上の笑みをたたえながら。


 ……うん、何だか、ハーレムも、王子様の性別も、どうでもよくなってきた。

 そうよ、せっかく、私自身の新たなる門出を祝っての、最初の『お祭り』なんだから、これまでの鬱憤晴らしの意味も含めて、派手に暴れてやろうじゃないの♡


 ──そして私は、生まれて初めて心からの微笑みを浮かべながら、目の前の手を取ったのである。

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