M-1グランプリ アナザーストーリー

「Mー1グランプリ アナザーストーリー」を見た。


 決勝戦はもちろん、敗者復活戦まで見るほどのお笑い好きな私は、今回のM-1でよく知る芸人さんたちが決勝に行ったことにとても喜んでいた。


 それゆえに、M-1の裏側を語るその番組に中々目を通すことができなかった。


 夢破れた人たちの努力や決意、一年間を捧げた覚悟がどれほどのものだったのか。


 それを知ることが怖かった。


 人が命を懸けて積み上げたものが崩れる瞬間ほど、心が締め付けられるものはないからだ。


 それでも番組を見たのは、本当にふとしたことだった。


 ハードディスクの未視聴欄にあったそれがたまたま目に入り、何の気なしに視聴した。






 気が付くと、泣いていた。


 心が締め付けられるからとかそんなことじゃない。


 これほどまでに人生を賭けて夢を追っている人たちがいるのに、自分はいったい何をしているんだ。そう思ったから。


 煌びやかな表舞台しか見ないで「俺は頑張った」「充分に努力した」なんて言って逃げていたことに気付かされたから。


 番組でフューチャーされていた「かまいたち」さん、「ジャルジャル」さん、「和牛」さん、そして優勝された「霜降り明星」さん。


 ほかにも決勝に出場されていた芸人さんたち。


 一体どれほどの努力を重ねてきたのだろう。


 一体どれだけの決意を固めて臨んだのだろう。


 一体どのくらいの覚悟で大会までの一年を過ごしてきたのだろう。


 それに比べて俺は・・・






 そんな思いで今、この文章を書いています。


 この感情が腐る前に書き切った拙い文章をスタートの合図にして、走り出す。


 もう止まらない。


 燃え尽きるまで走り切る。


「M-1グランプリ」、「M-1グランプリ アナザーストーリー」。


 笑いと感動をありがとうございました。


 そして、私に火を付けてくれてありがとうございました。


 私は夢に向かって今、走り出します。


 次に番組を見た時、自分を情けなく感じて涙を流さないように。

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