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中学一年生のとき、こんな風にしてずっと私と陸は一緒にいて、一緒に大人になっていくのだと早月は思っていた。
早月の隣には、いつも陸がいたし、陸の隣には、いつも早月がいた。
そんな二人の関係が壊れてしまったのは、二人が中学二年生の、十四歳のクリスマスイブの日の夜だった。
その日の出来事を、早月は今も、はっきりと覚えていた。
早月が中学二年生の、二人の運命の年。
十二月二十四日。
クリスマスイブの日。
その日は二人だけでお祝いをしようと決めて、早月は夕方、陸と待ち合わせの約束をした公園に一人で出かけて行った。
そこは愛川公園という名前の公園だった。
その公園の中にある小さな池には天橋という出会いの橋がかかっていて、この辺りに住んでいる中高生の間では、結構有名な場所だった。
天橋には予想通り恋人たちがたくさんいた。
そのたくさんいる恋人たちに混ざって、早月は一人、陸がこの場所にやってくるのを、今か今かと待っていた。
でも結局その日、陸は愛川公園にはやってこなかった。
早月はずっと一人で四時間も天橋の上にいた。
ようやく諦めがついて家に帰ろうと思った早月は、その前に愛川公園にある電話ボックスの中から、陸の家に電話をしてみた。
でも、なんどもコールを鳴らしても、電話には誰も出てはくれなかった。
早月はその日、泣きながら家に帰った。
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