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「高松小春さん。初めて、この図書館で、あなたを見たときからあなたのことがずっと好きでした」

 優はそう言って小春に愛の告白をした。

 小春はなんだか、また頭がぼんやりとしてきてしまった。

 でも、今度は我を忘れるようなパニック状態になることはなかった。高松小春は、逃げ出さずに、しっかりと優の目を見ていた。

 神田優はとても澄んだまっすぐな目で、小春のことをじっと見つめていた。

「……私も同じです。私も、今年の四月に図書館で神田くんのことを見たときから、ずっと神田くんのことが好きでした」

 自分でも、絶対に言えないと思っていた言葉が、自然と言えた。

 それはすごく不思議な経験だった。

 恋をすると、あるいは恋の告白をするときは、みんなこんな風に、自然と言葉が出るようになるものなのだろうか? と小春はなんだかそんなことを頭の片隅で考えてしまった。

「今年の四月? ですか?」優が言う。

「はい。そうです」小春が言う。

「それじゃあ、恋をしたのは、つまり高松さんを見つけたのは僕のほうが早いですね」と笑いながら優は言った。

 小春はどういう意味だろう? と思ってまた軽く首をひねった。

「僕が高松さんに恋をしたのは去年の冬です」と優は言った。

「え!?」

 このとき、小春は本当に驚いた。

 確かに小春は高校受験のために、中学の最後の一年間を、学校と塾とそれからこの図書館の学習席で過ごしていた。

 小春はそのころ、勉強に夢中だった。

 周りの風景なんて、ほとんどまったく見えてはいなかったのだ。

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