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 それは、葵の木野さんへの二度目の告白だった。

 一度目は高校時代のとき。

 それから葵は、こうして言葉にして木野さんに恋の告白をしたことは一度もなかった。

 葵はなにかを待っていないのかもしれない。

 それは木野さんのほうからの告白だったのかもしれないし、あるいは奇跡と呼ばれるような現象だったのかもしれない。

 でも、結局それはどちらも、今日まで一度も起こることはなかった。

 立花葵は木野蓮のことが好きだった。

 木野さんのことを世界で一番愛していた。

 でも、もし今日も、木野さんが葵の告白に対して、はっきりとした答えをくれないのなら、葵は木野さんの元から離れようと思っていた。

 本当に辛いけど、……そうしようと思っていた。

 それが二人の、……ううん。自分のためだと思っていたのだ。


 木野さんがビニールの傘を下ろした。

 そんなことをしたら、雨に濡れちゃう、と葵は思ったのだけど、いつの間にか、雨は傘を必要としないくらいの、小降りになっていた。

 葵は緑色の傘をたたんだ。

 すると、それからすぐに雨は止んだ。

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