61 薊 ……あなたは今も、笑っていますか?

 薊


 ……あなたは今も、笑っていますか?


 場所は秋を迎えた昼下がりの午後の図書館。

 そこにある閲覧室で木野蓮は一人で本を読んでいた。

 読んでいる本は哲学の本だった。

 木野はその分厚い本を読んで、これからその哲学的な思想に対してのレポートを書いて、それを教授に提出しなければならないのだ。

 木野は熱心のその本を読んだ。

 そして、……人間とは孤独な存在である、とその本を読んで、そんなことを木野は思った。

 木野は本を元の場所に戻すと図書館をあとにした。


 木野はやがて食堂にたどり着いた。

 食堂のドアを開けるときに、木野は深呼吸をして、少しだけ目をつぶり、思考をいつものデフォルトな状態へとゆっくりと戻して行った。

 頭の中から熱が引いていくのが自分でもよくわかった。

 木野は食堂でB定食を注文して、それを食べた。

 それから熱いコーヒーを買って、飲んだ。

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