呪われた王子と小鳥の恋歌

作者 enaga

76

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★★★ Excellent!!!

と、そう思いました。

決して主人公たちが手に手を取って、愛を紡ぐ話ではありません。
なぜなら、ヒーローである王子の身体には呪いがかけられていて、ヒロインである女官に触れることさえままならないから。
その王子の身体に、兄妹以外の存在が触れると、相手はひどい呪いに苦しんで、死んでしまうから。
その前提は、物語中で、一切覆ることはなく。

だというのに、読了感がこれほどまでに清澄な気分になった作品はありません。

それは、女官が王子を一途に思う心の美しさ、そして王子の高潔な人格と、女官を慈しむ心の清らかさ、まさに「純愛」ということばがふさわしく。ことがどんどんと悲劇へと向かうにも関わらず、光に包まれていて、いや、悲劇へ向かっているからこそ、二人の清らな愛が大きな救いになっているのかもしれません。


悲しみと痛みと呪いに満ち溢れた世界で、誰かを思うことの美しさを高らかにうたいあげた傑作だと感じます。

★★★ Excellent!!!

読了して、ただただ泣きました。

人の悪意に押し潰されながら、必死に生きてきた小鳥は、美しくも呪われた王子に出会います。

その王子には、例え髪一本でさえ触れることは叶わない。

そんな王子の側で、小鳥は強く生きます。美しいものの側にいてなお、人の悪意は何度も小鳥をからめとろうとします。

その中で。

小鳥は、恋を知ります。


ただ恋をするだけの物語ではありません。ふたつの国の間にある、人間の醜さが生んだ怨嗟の鎖。それは王子と小鳥の大切なものにも容赦なく襲いかかります。遠い過去の全てが現在に繋がる。ひとつの世界の歴史が丁寧に描かれています。

物語の終わりには、きっと誰もが願うはずです。どうか、あと一度の奇跡をと。

それこそが、この物語の美しさです。

★★★ Excellent!!!

この作品に出会えて本当に良かった。作者のenaga様はとても繊細で透明感のある文章を書かれております。冒頭は「絶望」から始まります。とても辛い運命。しかしリィンちゃんは負けません。権力に屈しません。心が強いです。母親に愛情持って大切に育てられました。決して卑屈になる事なく前向きに頑張るリィンちゃんを応援せずにはいられません。城ではとても素敵な方々に出会えます。トウジュ王子は勿論のこと、親衛隊長のロウガ、女官長のエンも魅力的です!
伏線の回収もとてもお上手です。後半でどんどん明らかになる事実。初めから最後までとても素敵なお話でした! 書籍化まだですか?

★★★ Excellent!!!

穏やかに沈んだ闇に満ちる愛——と言えばいいのでしょうか。
この物語には、汚れのない清らかな愛が一杯に満ち溢れています。
——幸せとは対極にある残酷な闇の中で静かに溢れ、とめどなく零れる、澄み切った愛が。

恵まれているとは言えない境遇で、それでも母親の深い愛を一身に受けて強く真っ直ぐに成長した少女、リィン。彼女の暮らす村を偶然通りかかった美しい王子に危険な場面を救われたリィンは、彼から「城へ来るように」との言葉を残されます。
氷の国を守り、「呪われた王子」と呼ばれるトウジュからその言葉を受けた彼女は、危険に満ちた道のりを承知の上で一人城へ向かう決意を固めます。

そうして始まる、彼女の「氷の国」の女官としての日々。すぐ側で仕えることになったトウジュ王子の美しさと、その優しさ。そして彼が深く抱え込む「闇」——。

「氷の国」と、それに対峙する「水の国」の深い確執。これらの国を治めるトウジュ王子とその兄達、そしてトウジュの妹。彼ら兄弟の生い立ち。トウジュの女官として仕えることで、否応なくその確執に巻き込まれていくリィン。絡み合うその関係性の深さに、読者はぐいぐいと物語の世界へ引き込まれていきます。
これらの世界を壮大に描くダイナミックなシーン、そして登場人物たちの細やかな感情の動きを描き出す非常に繊細な心理描写。いずれも大変瑞々しく色鮮やかで、筆者の筆力の高さに思わず息を飲みます。

この物語の根底には、人間の心に潜む拭うことのできない残酷さ、泥沼のような醜い闇が常に波打っています。——けれど、その濁流に揉まれ、とても勝ち目のないように見える清らかな光は、決してその輝きを失うことはありません。
そして、必死に輝き続けたその光も完全に闇に呑み込まれるかに思えたその瞬間、今にも消えそうに揺らいでいた小さな灯火は、目も眩む程の強い輝きを放ちます。

どろりと淀んだ残酷な闇の中で、澄… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

リィンという清く健気な少女と、陰のある優しい王子が愛を紡ぐ、児童文学です。
そう、このファンタジックで少し恐い物語は、現代のWeb小説界にポツンと落とされた「文学」の卵なのです。

重厚な世界観、個性豊かな登場人物たち、人間ドラマ。
そして深い深い愛に、涙せず結末を迎える事はできません。

どうかこの素敵な物語が、より多くの方の目にとまりますように。
そして小さな愛の種を、届けてくれますように。

リィン、本当にありがとう。

★★★ Excellent!!!

いかにこの物語が読者に愛され、感動の嵐を巻き起こしてきたか……。寄せられたレビューの数々、エピソード毎の感想を拝見し改めて思うのです。

初読の方は、リィンとともに、呪われた王子の“この世でもっとも美しい心”を追って旅していただきたい。そして辿り着いた先の光景を、涙腺崩壊で画面の文字が読めなくなるという稀有なカクヨム体験をぜひしていただきたいです。

……そして、二周目は……

『婦女子の皆さん、体育座りの魔物に迫られた事、ありますか……?』

ないですが、目撃しました。

感動の作者であるenaga様のもうひとつの顔――“超悪役キャラ職人”――こちらにも注目して読み返していただけたら……なんてマニアックな楽しみ方のご提案と、『ブライ』の紹介をさせて下さい。

呪われた王子を一途に想い続ける主人公・リィンですが、そのリィンをまた一途に想い続ける爛れた魔物男がいます……それが、ブライ(年齢不詳)。はじまりのイチスガ村・豪農であり、非の打ちどころしかない・悪行三昧の・近年稀に見る素晴らしき悪役です。ずっとリィンを狙ってました。ブライの恋愛遍歴は分かりかねますが、もっとも執拗に愛した少女がリィンだったのではないかと読者は勝手に推測してます。そのリィンが王子と心を通わせてく一方、ブライもまた……ストイックならぬストーキング、包容力ならぬホーミング力で、じりじりと迫ってきます。なんと、悪夢の暗黒デートまで漕ぎつけました。そのあまりのしつこさに、良識ある読者の皆さんはトラウマになりかけました。

……悪女キャラも強烈でした……

すでにご完結されている物語ですが、ずっとずっと続いてくれたらと願ってしまいます。リィンと王子と、その暖かな隣人たちと……そして個性凄まじすぎる悪役達と(笑)この広い世界を巡れた事、今でも強く心に残っています。本当に素晴らしい冒険でした。

――それでは最後に… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

🙍‍♀️不遇の少女・リィンが人生最大のピンチに陥る場面で幕を開ける本作。
読者を冒頭から引き込まずにはおかない怒涛のストーリー展開!
等身大の前向きな少女・リィンから片時も目が離せなくなります。

🌨みずみずしく美しく、それでいて余計な言葉で長々と語ることはしない、とても読みやすい筆致が作り上げる「水の国と氷の国」の世界。
その中でリィンが見聞きし、素直に感じることのすべてが読者をこの世界へ無理なく招き入れてくれます。

💖リィンの感情表現が本当に面白い!何度も大笑いし、ほんわかし、楽しい気分にさせてくれます。
美しい王子を目前にして「挙動不審変態少女」と化してしまうリィンが可愛すぎ!
心優しい王子とのシーンには、乏しい語彙ながら「胸がきゅんきゅん!尊い!」と毎回叫んでしまいます。

💠それだけに、物語後半から襲いかかる驚愕の展開には、心を大きく揺さぶられました。
自分はこんなにもこの世界を、このキャラたちを好きになっていたんだと気づかされました。

💘最後まで読み終えた今でも、リィンや王子たちが好きで好きでたまらない。
こんなにも心に強く残る作品に出会えたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。

★★★ Excellent!!!

貧しく、村の有力者に虐げられていた少女リィンが、呪われていると噂されていた王子と出逢い、走りだす物語。
丁寧で読みやすく、描写がとても美しい。重く暗いはじまりから、物語が進むにつれて鮮やかさを増してゆく筆致は、物語世界へどっぷりと浸らせてくれます。

きまぐれな精霊と怖ろしい魔物の混在した世界は物知らぬ貧しい少女に優しくはなく、理不尽な仕打ちと苦しい道程に挫けそうになることも。
しかしそのたびに手を差し伸べてくれる「誰か」がいて、リィンはそれを力に得つつ憧れの地へと走り抜けます。

辿り着いたその地でさえ試練が何度も降りかかりますが、とにかく不屈なリィンがたいへん愛おしい。
呪われた王子のほんとうの姿を知るにつれ、ずっと押し潰されていた少女の心は少しずつ解放されていきます。王子周りの人物たちも、たいそう個性的で魅力的。
まだまだ先が長い二人の恋物語ですが、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。

★★★ Excellent!!!

トウジュ王子とヒロインであるリィンの恋物語…という側面はもちろんあるのですが、それ以上にリィンが微笑ましくて可愛いです。
物語前半では苦しい生活をしていたにもかかわらず、まっすぐて純粋な性格を持っていて…特にこれが際立つのが物語後半、王城で働くようになってから。王城の方の優しさに触れて、色々なことに驚いたり悲しんだりしながら成長していく姿は、なんだか近所の子供の成長を見守っているような気分になり、目元が緩みます。

ただ可愛いだけじゃない、微笑ましい主人公の成長も観れる本作、是非一度、読んで頂ければと思います。