祭りを楽しみましょう 1
寧々のマネージャの仕事も残すところあと一日、この日は、仕事がオフなので、昼前から、来て夏休みの宿題を彼女のマンションで、祭りの時間が来るまでやっていた。
とは言っても俺の場合、例年の夏休みならばメンドクサイ宿題を七月いっぱいでやりつくすのだが、今回の夏休みは余計なバイトを入れた影響か、八月に入ったばかりなのにあまり出来上がってないのだ。
無論それは、今の今まで仕事の都合上できなかった寧々も同類らしく、クーラーが聴いた部屋でほとんど会話せず宿題をできるだけ多く進んでいた。
ちなみに、今回も彼女の部屋では二人っきりの勉強会なのだが、二、三日目の泊まりで慣れたせいか、どうとも思わなかった。慣れって怖いな~~~~~~
そして時間はあっという間に過ぎちょうど切りのいいところで中断し、そのままの私服姿で家を出てタクシーを使い、さっそく祭り会場に向かう。
「ありがとうございました~~~~~~~」
タクシーから降りると、この日のために遠方から多くの客が来たようで、すでに一部の道路が封鎖されていたので、俺は変装した寧々を連れて待ち合わせの場所である商店街を抜けた先の神社前に向かう。ただでさえ時代の流れで風化された商店街たちの人たちは、この日のために総動員して神輿の準備をしていて、その中に、知り合いのおじさんやおばさんに声をかけられることがあった。
「ミヤちゃん久しぶり、しばらく見ないうちに大きくなって、今回は、神代の旦那の手伝いかい?」
「いや今回はちょっと顔を見せただけだ。おっちゃんもがんばれよ」
「おう!!」
おっちゃんは法被姿でガッツポーズをしながら神輿に向かった。
ちなみに、うちの叔父である神代家は例年通り祭りの実行委員の一人で、おそらく今頃、本部で忙しくしてるだろう。本来俺はこういう人混みは嫌いなので手伝う事は避けていたが今回は空いた時間に差し入れでも持っていてやるか。
そして俺達は約束通り場所に向かうと、すでにざーさん、魁里、宗助がすでに待っていた。ちなみに、ざーさんと魁里は浴衣姿で、いつもより印象が変わっていた。
特徴でいうとざーさんの浴衣は神社の娘らしく、柄のない紺で地味な感じはするけど、本人のド変態さに比べたらこれがちょうどいいと思った。
魁里のはというと叔父さんがチョイスしたアジサイの柄の浴衣で藤の花の髪飾りをしてより大人っぽさが際立っていたが、それでも当の本人がクソガキなので、マイナスなイメージがあるのでちょうど普通の印象がある。
「おーい、大河君こっちこっち」
「ざーさん、やっぱり来ていたのか」
「神社の娘だからこういう場所は必ず来ないはずはないでしょ」
そうワクワクと片手にりんご飴を片手にペロペロとなめていた。
ちなみに、樹がここにいないのは、あいつはこういうリア充が楽しく乳繰り合ってるイベントを見るより新作エロゲをやった方がいいという事で事前に連絡がきたそうだ。
まぁ樹が来なかったおかげで寧々を連れてここに合流しなかったけどな・・・・
あいつが来たら余計にめんどくさい。
後、乃希亜も一応ここに来る予定なのだが、この日は声優の仕事がある為にいつもより遅れて後から来るそうだ。
最初からあいつと一緒に行けないのは残念だが楽しみは後でとっておくことにするか・・・・
「てか、都クンやぱっり来てたんですか?目障りなのでこのまま消えてくださーい。それが嫌なら魁里ちゃんの奴隷になってください」
「どっちにしても、こっちがデメリットになるだけだろうが、それに祭りに誘ったのはお前だろ」
「あれぇ~~~~~~~~そうですかぁ~~~~~~~~~」
ごまかしてる顔してるけど全然可愛くないからなむしろ殺意しか湧かない。
「それは、そうと私と魁里ちゃんの浴衣どう?この後エッロイイベントが起きたくなったでしょ?」
「全然!!!」
『糞ピーーーーーーーーーーーーー豚野郎』中指を上にする。
流石毒舌コンビ完全に息があってるな。あまりの憎たらしさで怒りがオーバフローしそうだ。
あまりにも腹立ってしまったのでつい右腕が上がってしまった。
「見てください。宗助先輩!!!!今にも、都クン襲いそうですよ。すっごく怖いですぅ」
「そういうお前こそ、どさくさに紛れて宗助を抱き着こうとすんじゃねぇよ」
「うっさいです!!!都クンは豚さんのように四つん這いになって屈服する方がお似合いですよ」あっかんべー
お前、好意を抱いてる相手におもっくそ素を出してるけどいいのか?
後で後悔して泣きついて頼んでも知らないからな。
「まぁまぁざーさん。都は彼女持ちだからしょうがないよ」
「それにしても宗助、お前も来るのは意外だったな。大会近いのに・・・・」
「まぁね・・・・せっかく魁里ちゃんに誘ってくれたんだから断ることができないよ・・・・・・」ニコッ
うっ・・・・・・・・相変わらず笑顔が可愛い。正直言って着物を着た二人と比べたら完全にヒロインフェイスだ。守りたい・・・・この笑顔。
「ねぇ茶番はいいかしら・・・・」
「すまん。脱線してしまった。公方寧々よ。よろしく」
つい寧々を長く待たせたことを後悔し、寧々がサングラスを一瞬外して紹介する。
実は、初対面の魁里や宗助には、リアクションを軽減させるために写メを送って連絡を入れたので、ここではさほど大きな反応はしなかった。
まぁ魁里には、『なに、キモイ妄想してるんですか?今すぐ病院に行ってください☆』と罵倒されたけど・・・・
「寧々さん久しぶりーーーーーーーーまた一緒にウロウロして遊ぼうね」
「ええ・・・」
「なんだ。結局本物だったんですか・・・てかこの人ってそんなに有名なんですか?」
お前は、知らない相手に、俺を罵倒してたのか?いつものことだけど・・・
「てか、都本当に樹に黙って行った方がいいのかな?なんか罪悪感がするんだけど」
「あいつは以前二回も握手会に参加したからいいだろう。それより楽しもうぜ」
「うん・・・」
こうして俺達5人は賑わう祭りの中に溶け込み遊ぶことにした。
ちなみに祭りの大まかな流れはまず、この地域伝統の踊りをやりその次に地域の人の神輿担ぎを終えた後に占めの花火をやる予定だ。
そして俺達が来たときにはちょうど踊りの本番が始まろうとしていたので、出店である程度注文した後、踊りを見ることにした。
『次に神代道場です~~~~~~~』
今神代道場が躍ってるのをアナウンスが入り、人混みを押しのけ、ちょうどいいタイミングで神代道場の人達が躍っていた。てかよくよく見ると、叔母さんだけではなく、宗助のお母さんまでいた。
「あ、宗助先輩見てください。先輩のお母さんがいますよ。こっちですよーーーーー」
「ちょっ!!!恥ずかしいよ・・・」
無駄にアピールしている魁里のせいか宗助はただただ赤くしており、双方の母親は俺達の事を見つけると踊りながらウインクしていた。
とりあえず道場の全員の人を確認するとその半分は俺の知ってる昔好の人達だった。
そんなのがいま現在も剣道を続けて俺は、逃げるかのようにバイトに精を出している・・・・剣道はすでに離れた身なのに、公後悔な気持ちになるのはなぜだろうか・・・
「ねぇ」
「なんだ?」
「さっきからボーっとしてもうみんな行ったわよ」
寧々が声をかけながら服を引っ張ることで我に返り、いつの間にかみんなはすでに後ろを向いてどこかに行こうとしていた。
「すまん・・・連日のバイトでボーっとしてしまった」
「疲れてるのなら別に誘わなくてもいいのに・・・」
「何言ってんだ。後最後に一日だから最後まで付き合うさ・・・しっかりとついてきてくれ」
「ええ・・・・」
はぐれないように手を差し伸べようとしたが、実の彼女がいるのでそれをすると裏切りになるので直前に手を戻し俺達はなんとかみんなに追いつき食品系以外の出店を見回ることにした。
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