洗いざらい話してください
「なんだって・・・・寧々の元マネージャだって・・・・」
正体が明かされると、白状したかのようにその男は俺達に顔を明かした。
確かにこの顔は、以前ライブの時に見覚えがある。
しかしなんでその人がなんでこんなことをしたんだ?
そう思った時乃希亜はすごい剣幕で元マネージャの胸倉を掴んでいた。
「おい、どういうことだよ。なんでそのマネージャを危険な目をあわすんだよ!!!」
「そ・・・・・それは・・・・」
「落ち着けチンピラ。この人にも事情というものがあるだろ?できればそれを説明して欲しいんだが・・・」
姉ちゃんの冷静な判断でその前マネージャさんは解放され事情を説明する。
話によると、そのマネージャさんは寧々が芸能活動した時からマネージャとしての業務を尽くしてるようで、彼女のことを理解し、幾度も意見のぶつかり合いはあったのだけど本当の娘のように思っていたのだ。
だが、ある日寧々は以前にも注意された、過度な自主練習を休みの日にもかかわらず自分の身体をいじめていたのだ。
以前それがきっかけで倒れたのに、懲りないので怒鳴った勢いで会社に辞表届をだしてしまったのだ。
彼が正気に戻った時はすでに後の祭りのようで彼は後悔の念に駆られていた。
一度出した辞表届はもうどうすることができない。そう思った彼は、次の就職先に着くまで寧々がうまく次のマネージャとうまくやっていけるか内心悩みながらも影ながら見守るしかなかったのだ。
このような事をしても自分にとってはあまり意味がないことだが、寧々がうまく馴染めるか気になってしょうがなかったのだ。
そしてどこで知ったか寧々にマネージャがつくことになり、そのマネージャが依然、イベントに寧々を送ってくれた社長の姪の彼氏だったことを知ることができ監視することになった。
彼の評価は見た目もさわやかで礼儀正しく、周りからの受けが良く今すぐうちの前の会社に就職して欲しいのだがいまいち自分の意志を言うのが欠けてるだしく流されやすい性格でもっと自分の気持ちをぶつけていればいいのではと前マネージャはそう思っていた。
おまけにスキャンダルの危険があるアイドル声優にもかかわらず寧々に問題がありそうなチビギャルと下ネタ芋女と関わってさらに彼女を18禁のお店に入れさせる暴挙をしたため仕方なく、辞める前に社長から渡された彼の電話番号を使い注意をさせており、これを懲りたか彼は変な行動をせずに安心できたというそうだ・・・・
「ちょっと待てよ!!!!おい!!!」
「な・・・・・なんだね」
「お前が公方のことを心配してるのは分かってるが、じゃあ、あの時持ってた警棒はどう説明するつもりだ!?」
「あ・・・・・・あれは護身用だ。寧々は知っての通り殺人予告を贈られるほどのアンチがいる。だからもしもの時は常に携帯するつもりで仕事をしてるのだ!!!」
いや・・・・誇った風に言ってるけどどのみち寧々が警察に被害届を出したら間違いなく捕まるぞ。この人明らかに俺の親父と仕事ができるポンコツだ。
「あの元マネージャさん・・・・・」
「な・・・・・なんだね?もうここまでしたらもう、戻ることはできない。煮るなり焼くなり好きにしてくれ・・・」
「いやその前にこれだけは言わしてください。寧々はみて通り危なっかしい性格でこの数日間、ハラハラさせることがたくさんあり、貴方の気持ちも分かるようになりました。
「っ!!!!」
なんだその睨むような眼差しは?事実なんだから仕方ないだろう?
「ですけど・・・・俺はそれでも彼女のやりたいことを好き勝手にやらせたいと思います。勿論それで事故を起こしたら本人は勿論のことマネージャ側の責任だけど・・・・・寧々はおそらく自分の本当に望んでいたことが分からなくて、不器用に遠回りしてるのだと思います。だから、その真実をたどり着くまで最後まで付き合うのがマネージャの仕事だと思います・・・」
「真実か・・・・・考えてみれば寧々・・・・君は初めて会った時から何を考えてるか分からなかったな・・・・それは今も変わらないが・・・・・やれやれ、私も経験不足だな・・・」
そうぶつぶつとつぶやくと元マネージャは後悔の念で改めて寧々に向かって深く頭を下げる。
「もう一度、マネージャの仕事をやらしてくれないか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「寧々?」
だが寧々はその返事を冷たいまなざしでスルーをして、姉ちゃんに声をかけようとする。
「Micuniさんこんなところでいつまでもいてもいいかしら?そんなところで呆けるより撮影に戻った方がいいわよ。勿論わたしの場合は問題を解決したからいつでも大丈夫だから・・・・」
まるで元マネージャのことを避けてる・・・・というより完全な無視で話を進んでいる。
全く何やったんだよあいつは・・・・・
「まて、しばらく様子見ろ・・・・」ボソッ
「乃希亜・・・・」
乃希亜はなにか察したようなので、しばらく様子を見る・・・・
「さぁ行きましょう」
「寧々・・・・話を・・・・」
そして、寧々は、姉ちゃんと一緒に現場に戻ろうとすると、まるで独り言のように呟いた。
「貴方がどうなろうと無関係なわたしに聞かないでくれる?分からないのならまず社長にでも言ってちょうだい。おそらく社長は貴方の辞表届はまだ受け取ってらしいから懸命に懇願するのね・・・・・それと後一つ・・・・・・・オレに質問するな・・・」
「寧々・・・・・」
「ほら、貴方も行くわよマネージャ・・・それと、雑用A・・・」
「誰が雑用だ!!!!ぶっ殺されたいのか!!!!てめぇは!!!」
叫ぶ乃希亜をドウドウと抑えながら俺は言う通り元マネージャーを置いて部屋から出ることにした。
その時俺は元マネージャの方に目を向くと、腰を降ろしてなにやらうずくまっていたのが見えた。
その時の感情は分からないが・・・・おそらくマネージャの仕事を復帰できてうれしいんだと思う。
その後、寧々は何事もなく撮影に復帰し、無事にこの日の撮影は無事に終わることになった。
ちなみに俺は、あの後松村さんに電話をし、元マネージャのことをついて聞くことにした。
どうやら寧々の言う通り元マネージャの辞表届はそのままにしており、立場上休職として扱っているようだ。
あの元マネージャは、あの騒動の後松村さんに事情を説明したうえで復職を頼んだようだ。勿論松村さんは断る理由はなく、8月の上旬から復帰してもいいと言ったようだ。
ただし、大事な事務所の子を危険にあわしたので処分として反省文を書かされ当分の間の給料は40パーセントカットするのは言うまでもなかった。
普通なら解雇レベルなのだが、松村さんは寛大な性格のお持ちのようで一回限りのチャンスを与えてくれたようだ。
そして撮影を終え、今日の仕事内容を終わらした俺達は、乃希亜と姉ちゃんと別れタクシーで、場所を教えずに無理やり付き合わされた。
無論それまでに愚痴と言う愚痴に付き合わされあげくに欲しくもない酢昆布を貰って、迷惑この上なかった・・・・
そして寧々はその道中にタクシーを止め、最寄りの花屋で買ったようであまり詮索せずに言われるがままついてくことにした。
「着いたわ・・・・・」
「ここは・・・・」
タクシーが付いた場所は都心から離れた場所のとある墓地だった。時間帯は夕方であってか、昼間より涼しく感じ、なによりこの周囲にはひぐらしがうるさくなり響まるで田舎に思えてしまった。
無言のまま奥に連れていかれたどり着いた場所は、ある人の墓だった。
「わたしの祖母の墓よ・・・」
「おばあさんの・・・」
下に頷き彼女は買ってきた花とどこからかマッチと線香を用意し、備え、軽くお辞儀をする。
とりあえず俺もするか・・・・
「ありがとう・・・」
彼女につられてお辞儀をするとそう優しそうな口調で言った。
そして、高らかと頭を上げ、なにかを決意した顔をしていた。
「突然だけど、昔話に付き合っていいかしら?」
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