九頭竜さん、明らかに怒ってるようだから、まず玉砕覚悟で謝りましょう
そのまま声優だらけの交流会に場違いな俺が混じったのだが、なぜか開始早々にゆりかさんをはじめとする声優さんに囲まれていており、隣の寧々は気にすることなく酢昆布を静かにかじっていた。
いや、助けろよ・・・・
「ふ~ん君、大河君って名前なんだ。年はいくつかな?」
「え~~~~と17の高2ですかね・・・・」
「若~~~~~~~~い。お姉さんも20年も若ければ大河君みたいなイケメンと付き合ってたのかも・・・」
「ちょっと、酒臭いですよ・・・・」
「もう、ゆりかさんお酒飲み過ぎですよ~~~」
「そぉ~~~~」
「まったく、君達も大河君は困ってるんだから少しは控えた方がいいよ」
「は~~~~~~い」
ギロリ
困ってるところをなんとか同じ年くらいの男性の声優さんに助けてくれた。
声優さんって、出会いは少ないのかな・・・・・
後、乃希亜のところから殺気が漏れてるんだけど十中八九あいつだろうな。
「なら、君ももっとお酒を飲んでよほら!!!ほら!!!」
「え~~~~~~~困ります・・・」
そしてゆりかさん開幕わずか十分足らずですでに酔っぱらって僕を助けてくれた声優さんに絡んで来たんだけど・・・
こうして改めて見ると、結婚を急いでる感じが見て分かるな・・・・
とりあえずあの人のお陰で俺の周囲は落ち着いたので改めて乃希亜の方を見ると、机から離れているので声は聞こえないが、なにやら隣の若手の女性声優さんと楽しく話していた。
一か月前は隣の酢昆布コミュ障と同じく人と関わりたくないタイプなのに随分と成長したな・・・・・
『・・・・・・・・・・』
『・・・・・・・・・・!!!』(ぽん)
あ・・・・・・今、隣の人がなんかヤバイ発言したか、あいつの顔が赤くなって震えているぞ・・・・そしてこっちに目が合った。
ギロリ
とりあえず目を逸らすか・・・・
ピロロロロロロロ
あっ丁度乃希亜からLINEが来た。
『てめぇ、さっきからなにこっち見てるんだよ。殺すぞ』
やっぱこっち見てた事を怒ってるな。
『後なんで、久々に会えたのに無視すんだよ!!」
そうは言ってもな・・・付き合ってるとはいえこんな大場所で、俺達付き合ってますとは言いにくいしな。
とりあえず手を振るか・・・
すると、すぐに返信が来た。
『ば・・・・・・馬鹿野郎。急に手を振るんじゃねぇよ・・・・恥ずかしいだろ・・・』
じゃぁどうすればいいんだよ!!!
『あのな・・・・今まで連絡取れなかったのは悪かったさ・・・だからその埋め合いはするから・・・・我慢してくれ』
・・・・・・・・・・
あれ・・・・・・急に返信が来なくなったぞ・・・・
っていうかそれまで以上にあっちのグループはなんか話盛り上がってこっちのことガン無視だぞ・・・・なんか気が触ることいったか俺?
ちょいちょい
そんな時となりの寧々が俺の肩をつついてきて、こっちを振り向くと酢昆布を渡してきた。
「ねぇ・・・・・さっきから、あっちの金髪の人こっちを見てたけどもしかしてタイプかしら」
「えーーーーーーーと、のき・・・・・いや、ノアさんは俺の彼女だ・・・」
周囲は他の人と話を盛り上がっているのでサラッと言っても大丈夫だろ・・・
「ああ、いつか前に、電話越しで話してた人がその人ね・・・・・確かにあの時の声と、顔が一致するくらいの強面ね・・・・」
「一応、前とは比べてマシには見えるんだけどな・・・・前はおもっくその不良だったし・・・・」
今も言動だけは不良だけど・・・・
「そ・・・・・・わたしには関係ないわ」
そう言うと寧々は俺に興味をなくしたか先ほどと同じスマホをいじりながら酢昆布を食っていた。
交流会を始まってから結構時間が経ち隣の寧々を観察してたのだが、あの時の乃希亜以上に人と関わりたくない雰囲気を出しているな。
なんせ・・・・先ほどまでに二人ほどの女子が寧々に恐る恐る話しかけようとしたが、『別に・・・』という一言で軽く払っていたからな・・・
ただでさえ関わりたくないオーラをかましているからその発言はまさにダメだろと思ってしまうぞ。
それにその時も俺は一回は注意はしたが、『それがどうしたの?』と言いたそうな。首を捻り疑問そうな顔をしていて完全に話がかみ合わないな・・・・・と思ったのであえて話を続けることはしなかった・・・・
まずい・・・・・まずいぞ・・・あれだけ寧々のボッチ克服を手助けしようと思ったのに全然実現できてないじゃないか・・・・・
まぁ今までは寧々の観察で時間を食って動かなかったが、これからは俺が手当たり次第話し易そうな人に声をかけて寧々をアピールしてフォローするしかないな・・・・
よし頑張るぞ・・・・・・・と言いたいがいつの間にか寧々いないし・・・
まぁカバンと酢昆布バリューセットが置いてあるからそのまま出て行ってはないだろう・・・・・
とりあえず俺もトイレに行きたくなったからいくか・・・・
う~~~~~~んやっぱり・・・・・性格上ガチで帰ってそうな感じがするんだよな・・・
ここは一応連絡を入れるべきか・・・・まぁその前にトイレをすますか・・・・
そう思い俺は男子トイレに入ろうとするのだが・・・・
突如として巨大な力が俺を引っ張ろうとした・・・・・
「な!!!!」
気が付くとそこは男子の便器がない・・・・・いわゆる女子トイレの場所に連れて行かれふとその掴まれた手の先を見ると、その正体は乃希亜だった。
そう今俺は、他の便所ないで女性が何人かが入ってる女子トイレのお手洗い前にいるという危機的な状態であった。
今あいつは後ろを振り向いて表情が見えないんだけど、先ほどの件を含めて怒ってるんだろうなぁ。そう警戒すると急に振り向いた。
「乃希亜・・・・なんでここに・・・」
「しっ・・・・・・・静かにしろよな・・・・ここ女子トイレだぞ」
そうなにやら顔を赤くしながら俺の口を二本指で押さえていた。
そして乃希亜は俺のでこ付近に近づき声を震わせていた。
「なぁ・・・・・・・オレ・・・寂しかったんだぞ・・・・・仕事とはいえ、お前と会えないのは・・・・・これで満たしてくれ・・・・・・んん・・・・・」
「ん・・・・」
そのまま唇が近づきフレンチキスをしてしまった。最愛の恋人と二回目のキスなのだがどうもなれる感じがせずそれどころか心臓がバクバクと鳴り響いていた。
「な・・・・・なにを・・」
「どうしたんだよ・・・もしかして嫌になったのかよ・・・・ならあんな奴に興味を失せるくらい好きにしてくれ・・・」
「いやちょっと待ってくれ・・・・なんだよ突然甘えてくるんだよ。俺はてっきり怒ってるんだと思ってた・・・」
「なら怒って欲しいのか?・・・・・そりゃ本当は仕事とはいえ他の女と泊まり込みなんて許さねぇよ・・・・・けどな、それでもお前は、こまめにオレに連絡をしてくれたんだろ?なら信用するしかねぇだろ・・・」
「乃希亜・・・」
「バーカここではノアだろ・・・」
まるで母親のような慈愛でこんな俺を許してくれた・・・心配するな・・・俺はどんなことがあっても離さない・・・あの頃からの誓いは決して破るものかよ・・・
「ノアさん・・・」
「おっとその前に、お前あいつの家で変な事はしてねぇだろうな
?」
「するわけないだろ・・・・したら殺されるものな・・・」
「馬鹿野郎・・・それじゃオレが野蛮に見えるじゃねぇか・・・まぁ肝に銘じればいいんだよ。そうすれば、お前が思うようなことはしないからよ・・・それよりもう一回してくれ・・・」
周囲を気にせず俺達はただお互いの欲を満たす為にもう一度口を合わせることにする。今度は先ほどのキスとは違い激しくしようと・・・・・俺は勿論乃希亜もそう思ってるだろう・・・
俺達は唇を今一度近づけるその時・・・・
「ちょっと貴方達、公共の場でイチャイチャするの止めてくれるかしら・・・」
「な・・・・」
丁度いいタイミングでトイレの水が流れる音がしそこから寧々が空気読まず現れた。
「お前なんで・・・」
「当たり前でしょ。今までトイレにいたのだから・・・・・それよりもマネージャ。今すぐここから去るのなら事務所に報告するのは無しにするわよ」
「公方!!!お前な・・・」
「なぜ、わたしに食い掛るのか理解に遠いわ。大体貴方うちの事務所にいたのかしら・・・・それすら覚えてないわ・・・」
寧々は無表情のまま口を厳しくしていた。まぁ彼女の言ってることは正論なんだけどな・・・
「てめぇ・・・・それ喧嘩を売ってると思っていいんだな!!!」
「まぁ落ち着けよ・・・俺もここ出るからさ・・」
『でさーーーーー』
「!!!!」
俺は迷惑をかけないように外に出ようとしたが外から、女性が喋りながらこっちに向かってる感じがした・・・・これ最大の危機じゃね?
「おい、こっちにこい!!!」
「すまん・・・」
乃希亜の起点で俺は空いたトイレの個室に避難したのだけど・・・・・なぜか一緒に乃希亜と寧々が同じ個室で隠れていた。
「なんでてめぇが一緒に隠れるんだよ?」コソコソ
「言い出しっぺの貴方がなにを言ってるの?それよりもマネージャ、太ももに手が当たってるわよ・・・・」コソコソ
「え・・・・それは・・・」
「お前やっぱり、下心あってこんなやつの部屋にお邪魔したんだなぁ」コソコソ
「静かに・・・・・」コソコソ
その女性の声は予想通りにこの女子トイレに入り、俺達はさらに沈黙を徹することにした。
しかもその女性は先ほどからお手洗い前でいて化粧のし直しをしているらしくその話してる会話の中で、その交流会に参加した若手の女性声優だと確認できた。
まぁどの道ここから出られるのは結構時間がかかるな・・・・
個室の中は三人が入れるほどの広さじゃないのでお互いが接触しないように隅に寄ってるんだけど・・・それでも窮屈さに変わりはなかった。
『ところでさーーーーーー、今回の交流会どう思った?うちはパスかな~~~~別に強制じゃないんだしーーーー」
「そういえばそうよね・・・・てか、それよりも今回寧々が来たのは意外だったね~~~~~あれ、普段は参加しないのに珍しいよね・・・・ボッチでコミュ障のくせに・・・・』
『あーーーーーそれそれ。あいつさぁ普段は感情を表に出さない癖に、テレビや客の前では、完全にぶりっ子な感じがするよね。完全に客に媚び売ってるわ』
『たく・・・・大体うちらより年下なのにあんなのが世間に注目する訳。あたしらは仕事ない時は他のバイトしてんのにその気持ちわかれよ・・・』
『あーーーーー分かるてか、少しは素の感情現わして欲しいよね。まるで機械みたい』
ゲラゲラ
な・・・・・なんて好き勝手言ってるんだ。けど、これが声優界の現実なんだよな・・・・恐らく今勝手にしゃべってる人は、声優の中で下の位置だから人気がある寧々に嫉妬してるのだけど、さすがにそれは許さねぇな・・・
けどこんな状況じゃ外に出られない・・・・
バン・・・
その時隣にいた寧々が勝手に扉を開けて出ようとしていた。てかなんでこのタイミングで開けてんの?
「げ・・・・・寧々?」
「もしかして聞かれた?」
当の二人も悪口を言った本人が突然個室から出たことを驚きを見せ警戒していたのだが、寧々はその二人をまったく気にせずトイレから出て行った。
「行った・・・・・」
「なんだったわけ?」
その二人は緊張が解けため息を吐いていた。
いやそれよりも寧々はなんで勝手に出ようとしてるんだよ。
「おい、ミヤお前公方を追いかけろ」ボソッ
「え・・・・・」
「なにが『え?』だよ。お前あいつのマネージャじゃないのかよ」
「そうだけど・・・」
扉が開けっ放しになった個室で残った乃希亜は厳しく訴えた。多分あいつも先ほどの件でかなりご機嫌斜めのようだ。
「とにかくオレはあの二人を別の場所に移させるからその間にお前は、なんとかして外に出ろ・・・・・・・・・・おい、てめぇらさっきの話を聞いたぞおい!!!」
「げっノアさんも・・・・・・」
「なんで、寧々と一緒のトイレに」
「うっせぇ!!!そんなことより、さっきの話聞いたぞ。お前らちょっと表出ろや!!!」
「いやあたしら先輩・・・」
「それがなんだ!!!この野郎」
「なんでもないです・・・・」
乃希亜は大きく吠えてあの二人は縮こまりそのままトイレに出ていた。
そして俺は乃希亜の言う通り、こっそりと女子トイレに出て、あいつが気を引いてる間に寧々を探すことにした。
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