第34話 準備は30分で

「とりあえず、学校どうしよう?」

正直、どんな旅になるかわからない。

学校に通いながらだと、ペースの問題も…

でも学校も大事だ。

鍵束さえあれば工夫次第でなんとかなるとは思うけど…


「まずは移動しながら、どうやってこっちと行き来するか。学校の問題はその後ね」と母。


「移動手段…徒歩?向こうなら車とか…道がちゃんと整備されているなら自転車もありだけど…ドアとか担いで移動もきついよね…」


「私達の力もお使いください」

シルさんが進言する。


「そうだね、僕よりも精霊さん達の方がもしかしたら適任かな…」


「ただし、私達は契約者や召喚者から離れすぎると力が弱まります。場合によっては依代よりしろによって遠く離れても力を保つことも出来ますが…」


「そうか、じゃあ単独で精霊さん達だけで行動するのにも制限が有るんだね」


「そうです。ですから、先日の影の監視も駅に止めた車を依代とすることで行動出来たのです」


そうか、精霊さんも万能ではないんだね。

きっと影の場合も同じような感じだったのかな。


「こちらのスタンダードな移動手段ってなんなの?」


「移動は徒歩が多いですね。荷物の多い旅では馬引きで移動します。大きな都市と都市との間なら陸路も整備されているので馬車等も。それから海路や河川の利用も活発ですね」


「魔法での移動は?ノマドさんみたいに魔法が使える人がいる世界って魔法のホウキや絨毯とか、瞬間移動とか…」


「魔法は一般的ではありませんよ。輝様がお持ちの鍵束が国宝となっていたことをお考えになっていただければよろしいかと…」


「そうか、魔法は珍しい知識だし、魔法のアイテムは貴重な物なんだね」


僕が精霊達と話していると母が腕時計を見ながら僕に話しかけた。

「まぁ、明日出発するとして… 輝、一度家に戻って明日の支度よ。持っていく物は家に防災セット有ったでしょ?あれと非常食、着替え…それくらいでしょ?」


僕の返事は聞かずマイペースに話し続ける母。

「30分も有れば支度できるわね。 私はまたこっちに戻るけど、輝は明日寝坊しないでちゃんと学校いくのよ?」


「あ、朝ごはんは…?」


すると母が間髪入れすにこう言った。

「コンビニ!」



…しばらくは食事偏りそうだな…

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