第6話 ゆめ

ウソツキ


ああ、そうだ、俺は嘘つきだ。


ウソツキ


だって仕方ないだろ。俺にはまだ、××が必要なんだ。


ウソツキ


嘘じゃない、だって俺は


ウソツキ


「嘘じゃない!」


 勢いよく体を起こす。寝巻きにしているTシャツが汗でべったりと身体に張り付いている。

 よく覚えていないけれど、いやな夢を見ていた気がする。

 大きく溜息を吐いて、風呂場へ向かった。

 シャツを脱いで洗濯機に放り込む。鏡の前を通り過ぎようとして立ち止まる。

 鳩尾みぞおちを中心に、いびつな蝶のような、紫色のあざが出来ていた。

 触ってみても、押してみても、痛みはなかった。


「なんだ、コレ……」


 痛くはないのだから痣ではないのだろうか。シャワーを浴びて身体を洗ったが、それは消えなかった。

 胸から何かが出てくるだとか、呪われているような嫌な感じはしない。とりあえず放っておいてもいいかと自分を納得させて、部屋へ戻った。

 物凄い殺意を感じて思わずヒッと声が漏れた。


「ヤベ……タオル……」


 俺は全裸だった。

 本棚から勢いよく本が飛び出し、目の前で止まった。本は、浮いていた。


う一度、アナタと』

ーテンモルゲン』

うきんから始める裁縫の基本』


「ごめん」

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