転生なんてある訳ないだろと思っていたら異世界で古代の超兵器に転生した……

作者 湯川量平

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★★ Very Good!!

 創作小説におけるオリジナリティーのある設定(独自設定)として、よく挙げられるのは貨幣や度量衡の単位。多少踏み込んでも国・地理の仕組みや歴史、種族や神話伝承などでしょう。
 しかしこの作品はそれだけに収まらず、さらに奥まで踏み込んで世界の成り立ち――つまり物理法則の原理原則までをも作り上げてしまいました。


 例えば王立技術研究所所長、ステラ・ニコラ・テスラ氏はこのように解説します。

「(中略)魂というエネルギーを生み出す根源――エリクシルは形を持っている。目には見えないが、ちゃんと存在している。エリクシルはこの世界の初期に発生した対称性の破れの産物だ。この世界は非対称になることによって形を得たわけだが――」

 また、地球世界における自然哲学と作中世界における自然哲学の比較も大変魅力的です。
 例えば、地球世界における自然哲学もといサイエンス(現代科学)は観測者の主観的要素を徹底的に排除する超客観主義です。これに対して作中世界の自然哲学は、 “内面作用学” と言う学術分野があるようにすべての物質は純粋エネルギーと魂の作用によって発生した元素により構成されるとしています。
 ほかにも、地球世界の産業を支える電気エネルギーと、作中世界の産業を支える純粋エネルギーことヱーテルの比較もあるのですが……きりがないのでこれくらいにしておきますが。

 とにかくSF好きにとっては非常に魅力的な、世界設定にこだわった楽しみな作品です。