第25話真の力
「やい、イグニス! エネルギー砲ってなんだ! ちっともわからん!」
カケルが、文句を言った。
「防御があれだけできて、どうして攻撃技が出ないのか……少し見てみましょう。目をつぶって――」
カケルは嫌がって、眼前に差し出されたイグニスの手から逃れた。
イグニスは、やれやれと頭をふって、
「……教える順番を間違えたのでしょうか」
「このままじゃ、竜王を倒せない。父上をお助けできない!」
ルシフィンダを失い、傷心の彼(フェイルウォン)。
二人の赤ん坊を前に、悲壮な決意をみせるその父の顔を思い出す。
「しかたがない。この剣の真の力を見せます。驚かないでくださいよ――」
イグニスは演舞のように、剣を一心不乱に振り、大地にその切っ先を突き立てた。
「アースクエイク」
呪文と共に、大地がひき裂かれ、砕けた。
さらに、その剣を天にかざすと、そこに亀裂が走った。
「なんだと? 天空が裂けるとは!」
「本来、の……使い方です。あなたにもできます。これで……竜王を」
しばらくその威力に茫然としていたカケルだったが、やがて両の拳を握って破顔した。
「これで竜王を倒せるんだな!」
「しかし、そう何度も使えるわけではないのです。くれぐれも、気をつけて」
カケルはうなずく。
「まかせとけ!」
もう幾度目かになるカケルのセリフだった。
イグニスは、膝をついた。
神力の使い過ぎだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます