Liar

作者 貴堂水樹

35

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★★★ Excellent!!!

幼馴染の少女を殺した犯人を探す、高校生男子による青春ミステリー。しかしここでの青春というのは憧憬の対象としてのそれではなく、10代の彼らが抱えきるのには重すぎると思えるような、悲しくて切ない青春です。

思ったことを口にできない、どこか頼りない主人公と、強さの中に繊細さを隠した強烈な存在としての相方。ミステリーとしてロジカルに展開されていく犯人探しの中で、彼らは徐々にその関係を変えていきます。それは信頼が生まれる過程でもあるし、まだ若い彼らにおける成長の過程であるようにも思えました。気持ちを言葉にすることや、自分の弱さを見せること。抱えた後悔と対峙し、それを乗り越えようとするシーンは、作者が彼らの背中を押しているような、悲しいながらも優しく、とても印象深い場面でした。

読み終えてからこのタイトル『Liar』の意味を考えると、そこにはこの物語の犯人だけでなく、主人公やその相方、殺された少女までも含めた、彼らにおける嘘とは何か、という問いに変わります。その答えを、彼らが掴む希望と共に、ぜひ見届けて欲しいと願います。

★★★ Excellent!!!

死んだ幼馴染の謎を追うミステリー。と、ひと言で括ってしまうのはもったいないぐらい本格的な読み応えを与えてくれる作品でした。

緻密に練り上げられたストーリーもさることながら、百瀬と祥太朗の探偵と助手コンビが素敵でした。ネットやラノベのライトミステリーだと男女の組み合わせが多いですが、やはり推理小説は古今東西、男同士のバディものが自分のような古いタイプのミステリ読みにはしっくり来ます。そしてクライマックスの追い込みは、まさに王道。更には亡きヒロイン美姫の思い描いた切ない真相に胸を打たれます。

雰囲気ミステリーの多いネット小説界隈で、こういった作品に出会えた事を喜ばしく思います。まさに王道の青春推理小説。最大限の敬意を込めて、この言葉を使わせて頂きます。

★★★ Excellent!!!

幼馴染みの美姫が殺された。

そこからはじまり真相に迫るところはミステリー小説そのもので、真相への到達プロセス、その意外性は言うまでもくすごいですが、本作品の何と言っても素晴らしいところは、第一印象は最悪、あべこべで水と油のような性格の二人が、男の友情を深めていきながら成長していく姿でしょう。
聡明で怖いものなしに見えても実は弱い男子、また優しくてまっすぐでも自分を主張できない男子。
ともにどこか危なっかしく半人前かもしれない二人が仲間とともに生きることの大切さを強いメッセージ性をもって教えてくれます。

殺人事件を軸に話は進み、全体的に重い雰囲気で進みますが、真相編で驚きとともに心を打たれ、最後は爽やかな読後感を与えてくれます。

登場人物はやや多めかと思いますが、主軸がしっかりしており、また丁寧な筆致で混乱することはないかと思います。

カクヨムでは貴重なハイクオリティのミステリー作家さんの作品を読みたいなら、是非ご一読を!

★★★ Excellent!!!

まっすぐなゆえに外れた道を選んでしまった少年と、無難を選んだゆえに内なる気持ちが揺れ続けている少年。
二人は同じ高校の同級生。 しかし彼らを結びつけたのは学校生活ではなく、一人の聡明な少女。しかも、きっかけはその彼女の思いもよらぬ死。
この二人が、彼女の死の真相を追いかける、というのが本作の軸です。
当初二人の間には明らかな力関係が存在していました。明晰な頭脳も、強い意志も、したたかな処世術も、すべてにおいて片方がもう片方を上回る状態が続くのだけれど、しかし物語が進むにつれ、少しずつもう片方にたくましさが育って行きます。
真相の追求とともに、その過程を見守って行けるのも楽しみです。そして最後には清々しく、新しい希望が待っているのも、この作者様の書かれる作品の大きな魅力ではないでしょうか。

かけがえのない友を得た二人のこれからを、彼女が空からいつまでも見守っていますように。