第37話:メルボルン開拓戦・終演後02
ルーミルとリヌリラのサイド
「……ねえ、ルーミル。なんで今、余った素材で弾丸を何発か発射したの?」
「ふふ、ハエが飛んでうっとおしかったものですから、ちょっと逃がそうと思いましてね」
「えぇ、虫くらい手で払えばいいじゃない。どんだけ臆病なの」
「”ハエ”も”ゴキブリ”も、”ペルビアンジャイアントオオムカデ”も嫌いなんです。だって、本当に虫って気持ち悪いじゃないですか」
「そういうところは、ルーミルって女の子らしいよね」
「超循環がなければ、私は普通の女の子ですからね。虫でキャーなんて言っちゃうこともあります」
かっわい~とリヌリラが茶化しを入れ、その言葉にルーミルが照れる。
よしてくださいよとルーミルがリヌリラの肩をポカポカと叩く。
さあさあ早く帰ろう、とリヌリラが先導を切って街の方へと歩いていく。
それに対し、ルーミルはニコニコとした表情でハイハイと応える。
その笑顔は聖母さんのように輝いているのだが。
リヌリラが歩き、少し遠くに離れたことを確認した上で、セーフエリアの外を一瞬見る。
笑顔を解いて、真顔になり、険しい顔に。
そして――
「(悪魔ども、私はいつでも気づいているからな……)」
と、殺意を強く抱いた形相で、先程暗殺した二人の悪魔に睨みを入れた。
飛距離は四十メートルほど離れているので、ルーミルは悪魔の死体を鮮明に見ることは出来なかったが。
その殺意は、確実に彼らを地獄へと突き落とす驚異となっただろう。
「……ルーミル、どうしたの? ペルビアンジャイアントオオムカデ見つけたの?」
「いいえー、ちょっと考え事をしていただけです。さあ、早くお家に帰りましょう」
ルーミルはいつものニコニコした表情でリヌリラに返事をし、ふんわりとした歩きで街の方へと帰っていく。
いつもの優しそうな雰囲気に戻って。
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