第101話 緊急アラート
アンドロイド・ディベロップメント社が一気にざわついたのは、緊急アラートが鳴った瞬間だった。私と話していた元原さんはその状況に驚きを隠せないでいた。緊急アラートが鳴った瞬間アンドロイド・ディベロップメント社のあちらこちらに設置してあるデジタルサイネージが赤色に変わった。
廊下を移動していた社員たちも異常事態に思わず走り出す。元原さんは直ぐに社員証と一緒に携帯している社内内線端末を開き内線を繋ごうとした。その時だった。
「パワー! パワーだパワー!」
怒号を浴びせるように廊下を叫びながら走っている集団が見えた。集団の先頭は白髪長髪の男だ。やがてその集団は元原さんの元へ駆け寄った。
「どうしたんですか。インフラチームの幹部揃って」
「まずいぞ元原! このままだと基礎電力が落ちるぞ!」
思わず部外者である私も声が出てしまった。
「それはヤバいですよ! 今はリセットJの実行中です! 途中で電力が吹っ飛んでリセットが止まれば、損害は尋常じゃないものが……」
「そんな事俺たちも分かってる! しかし小一時間で社棟の電力が急激に上がってな。これ以上は電力拡張が出来ないレベルまで到達しているんだ。このままいくと主幹が落ちるぞ!」
「主幹が落ちるのだけは避けないと! リセット以外のテクノロジーにも影響が出ます!」
「だからこうして相談に来てんだ! 俺たちインフラは社棟の電源を絶対に落とさない事がポリシーだ。俺たちの存在意義はそれしかない。だが、我々はやるだけの事をやったが今そのポリシーが守れそうにもない! どうにか力を貸してくれ。まずはコンピュータ部門の無駄な電源を落とせ! それと何か心当たりは無いのか!」
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