第38話 旅団集結
地下7階は北回り、反時計回りに進んで
階層ボスのブロックを目ざすわけだが、6階
から階段を下りたブロックの隣のブロック
から北の突き当りまで、宿営地だ。
まず目につくのは、ヤースケライネン教国の
正規軍のものであろう、多脚型アンドロイド
だ。幅5メートル、長さ8メートルはある
だろうか、教国のほうも本格的にこの迷宮を
攻略しようと考えているようだ。
だが、宿営している旅団は上級者少し手前の
中級旅団のようだ。ここに宿営して、逆に
上階の攻略をしているようだ。
玄想旅団はもう少し進む。階層ボスの少し
手前のブロックが、また宿営地となっていた。
とりあえず、階層ボスのブロックから一番
遠い位置にキャンプする。
まあ、誰かが扉を開けっぱなしにしない
限り、階層ボスが出てきて襲われることは
ないのだが。
手前側がイゾルデ王国の旅団、階層ボス
に近い側がヤースケライネン教国の旅団が
集まっているようだ。
見知った顔がある。向こうも挨拶をしてくる。
臥竜旅団。若い女性ばかりの旅団で、派手な
装備が特徴だ。最新の魔法デバイスを多用し、
戦い方も派手だが、前衛は超重装甲で
守りもしっかりしている。6名。
百足旅団。サムライとニンジャを中心とした
旅団で、魔法士を持たないが、弓兵と銃士
を持ち、非常に攻撃的な構成だ。7名。
鳳凰旅団。治癒士が4人いるのと、前衛に
重装甲アンドロイドを一体常用しているのが
特徴だ。その構成どおり、非常に粘り強い
戦い方をする。10名。
白狐旅団。玄想旅団と似ていて、辺境での
ミッションを得意としている。また、惑星
セト上で最上と名高い剣士、シャビ・タト
を抱える。11名と2頭。
甲殻旅団。3人のエンジニアを抱える。
そして、3人とも前線で戦う。様々なデバイス
を、攻撃に、防御にと用いる。戦闘を行い
ながら、相手の弱点を探るのも得意だ。
8名。
ここまでがイゾルデ王国出身の旅団。どの
旅団も、上級よりひとつ上の実力だ。
ヤースケライネン教国からも6旅団が参加
している。狂獣旅団12名、陰陽旅団9名、
神姫旅団6名、神亀旅団10名、纏魔旅団
10名、
そして、最高の魔法士と称されるゾエ・ディエ
を抱える、麒麟旅団7名。
オリガ・ダンが、各旅団の宿営地へ挨拶に
回っていく。情報も仕入れてきた。どうも、
ここ2、3日、階層ボスが再出現しなく
なっているという噂だ。
それも踏まえて、夕方ごろに各旅団の代表者
で今後の攻略方針を決めるらしい。教国の
正規軍の代表にも加わってもらう。
協議の結果、いったん地下7階の階層ボスを
倒したのち、半分の旅団を通過させて、
階層ボスのブロックの扉を閉じる。
24時間経過後に復活していれば、挟み撃ち
でもう一度倒すが、そのあとはひとつまたは
ふたつの旅団に常駐してもらい、残りは
先に進む。
常駐していても階層ボスが再出現した場合は、
無理に戦わずにいったん他の旅団に合流する。
その場合、先に進んだ旅団が上階と連絡が
とれず、補給も難しくなるため、その先の
攻略を再検討する。
これだけの旅団が集まっていても、残り
4階分の階層ボスを毎日倒して補給線を保つ
のはかなり骨が折れると思われた。
なんらかの理由で再出現しなくなっているの
なら、それは攻略の最大のチャンスと言える。
翌日に備え、早めに就寝する。すでに、地下
7階の階層ボス攻略メンバーも発表された。
狂獣旅団、神亀旅団、纏魔旅団があたる。
巨大な牛型の強化生物が相手らしい。まずは
地元の旅団に花を持たせる意図もあるようだ。
そして翌日、階層ボス攻略が開始されるが、
なんとなく気楽だ。自分でも今回のメンバー
をあらためて調べてみたが、どちらの国も
かなりの猛者を揃えている。
これは、もう出番が無いのでは。案の定、
地下7階の階層ボスは十数分で決着が着いた。
上位十二位以内の3旅団が一緒に戦えば並み
の危険生物でなくてもそうなるだろう。
神亀旅団の前衛数名が、けっこうな重症と
なったようだが、うちのシャマーラ・
トルベツコイも含めて治癒士が集まって
あっという間に治す。
スヴェン・スペイデルが、こりゃどれだけ
瀕死になっても、すぐ治されて前衛が
休んでる暇はないな、と不平なのか嬉しい
悲鳴なのかわからない。
ヤースケライネン教国の6旅団が、地下
8階まで進み、地下7階の階層ボスのブロック
の扉を閉める。そして、こちら側も閉める。
今日はいったんそこで宿営だ。
明日の同じ時間帯で、階層ボスが再出現して
いるかどうかを確認する。それ次第で、今回の
戦略が変わってくる。
地下8階に到着した教国の6旅団は、階段の
あるブロックから出たところで戦闘となった
ようだ。冒険者旅団が地下8階に到達する
のは初めてなので、危険生物が溢れて
いるのかもしれない。
パリザダ・ルルーシュの使うシキガミで
様子を確認するが、対応しているのは、神姫
旅団、陰陽旅団、纏魔旅団に見える。
この3旅団も相当強いはずだが、この狼の
群れはけっこうやばい。人の背丈ほどの
体高がある狼が20匹ほどだ。
それでも何とか片づけて、宿営できるようだ。
教国正規軍の応援も頼んだ。多脚型は、地下
7階から下は各階ごとに一台置いてくれる
らしい。
この迷宮は、一定の場所に長く逗留している
と、大群の危険生物で攻勢をかけてくる
場合があるらしい。宿営地の護衛に、
多脚型アンドロイドが役に立つ。
ひとつ欠点があるとすれば、狭い通路に
入っていけないぐらいか。今回の迷宮は
広い通路が続くようなので、下層まで
援護してくれそうだ。
そして翌日、階層ボスの状況を確認する
ために、扉を開けてみる。一応きちんと
装備を固めて、警戒しながら扉を開く。
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