3-5 敗れたり!エリル、雷鳴と共に散る

「ネクスト・マトリクサー・ゴー!!」」

『ネクスト……まさか!』


 ――ネクストがジャール基地近辺へと電装が完了したとき、戦域に取り残されたスパイ・シーズは、バグアッパーとバグレラの波状攻撃を次々と潜り抜けている最中。バグレラは後詰めの3機がさらに迫りつつあった所、バックパックに設けられたアサルト・キャノンを炸裂させる。射出した光がバグロイドの足止めを果たす中、ラディはこの想定外の介入に多少驚きを示したが、


「ラディさん! 今のうちに逃げてください!!」

「事情は後で詳しく話します! 俺は父さんではなく貴方を助けに来たつもりです!!」

『俺を助ける……』

「貴方が父さんの為だけに戦うなと教えてくれたじゃないですか! それで動きました!!」


 玲也が自分を助けに来た事に、ラディは一瞬抵抗感があったが、自分の教えを受けて彼がそう動いているのだとも気づかされる。わずかな躊躇を挟んだ後に戦域を離脱しようと行動を始め、


『『隊長!』』

『一応俺の役目は果たした……あとはお前たちの腕次第だがな!!』

「出たからには自分で責任を取ります! 生きて帰る事もですが!!」


 ラディ自身ハードウェーザーに後を託すことを少々苦々しく思いつつ、戦域からフラッグ隊が離れた。プレイヤーの腕次第と玲也へ釘をさす姿勢には、彼なりに一人前のプレイヤーと見なして突き放す姿勢もあった。


『また新しいハードウェーザーか……新しい機体で全て決まると思うなよ! お前ら!!』


 ライトグリーンの華奢なフォルムだが、サブアームにマウントされた銀色の鎌が左右に備えられている――まるで確実に獲物をしとめんとするかのように。エメラルドのゴーグルの下に横一筋に白い光が走るハードウェーザー・ネクストの存在に対し、エリルも不快感をあらわにして部下に檄を飛ばす。


『なら景気づけに俺が……エリルさん!』

『ハードウェーザーがこれなら俺でもなぁ!』


 エリルに応えるようにガリー機がデリトロスバズーカで威嚇しながら、デリトルス・エッジを片手に前進してくる。彼自身の性格もあるかもしれないが、自分のバグレラより少し小柄で華奢な機体なら片付ける事も難しくはないと捉えたのだろう。


「……右手の刀で切りつけるつもりなら、右に避ければよいだけだが」

『馬鹿なやつめ!!』


 自分めがけて一直線に向かうガリー機は、右手にエッジを構えていた事から彼の攻撃パターンを玲也は予測した。その上で敢えて左、相手がヒートザンバーを構えている側に動く。脚部のローラーダッシュにより素早く接近してくるネクストへガリーがほくそ笑みんでいたものの


「リン、制御の方は頼む!!」

「……頑張ってみます!!」


 ガリーがデリトロス・エッジを横一文字に決めようとした――しかしネクストが瞬時にエビぞりの姿勢で、サブアームに設けられた“ジックレードル”を振り上げる。ガリー機の右腕を潜り抜けるとともにジックレードルの刃を下に振り下ろすと、彼の右腕は肩と肘関節の部分でそれぞれ切り落とされた。


『何……!!』

「これで終わりと思うな!」

『ぐ、ぐあああああっ!!』


 ネクストが背後に回ったうえでジックレードルが再び振り落とされ、実体刃を覆うビーム刃が生成され、バックパックを本体を引き離すと共に刃の熱が背後からコクピットへ押し当てていく。

 その上で念には念を入れんとばかりに、むき出しの背中めがけて頭部のバルカンポッドを乱射した。近接防御用の装備ではあるが、至近距離からの砲撃はガリー機が機能を停止した時点で効果はあったのは言うまでもなく、


「れ、玲也さん……」

「すまないが、俺もそこまで上手く戦える腕はまだない。そこも覚悟してほしい」

「いえ、構わないません。正直こうでもしなければ……私も頭から離れられない気がします。だから……!!」

「そう捉えてくれると助かる」


 再びジックレードルをガリー機の背中に突き刺した上で、サブアームを伸展して彼の機体をまるで見せしめのように宙へと掲げる。これで相手を威嚇するだけでなく、玲也は次の手がある為にそのような行動に出ているのである。

 最も彼自身容赦ない手に出ざるを得ない判断をリンへ謝るも、彼女は意外にも首を縦に振りそのまま続けてほしい意思を伝えた。彼女が自分と共に戦うための荒療治に身を乗り出してくれている事をどこか頼もしく思いつつ、


『よくもガリーを……機体の性能でいい気になるな!!』

「そうでもしないとお前たちを倒せない……俺は手を抜かないからこうしているだけだ!!」


 エリルからハードウェーザーのスペックへ胡坐をかいて、自分の部下を嬲り殺すような非道な行為に出ていると非難される――が、玲也はそれに動じるつもりはない。

これがゲームの仕様で使えないように設定されている、また違反行為として咎められる場合はまず使うつもりはない。しかし実際にやるかやられるかの場合、ルールが定められていない戦いの中では、それもまた一つの手だと彼は捉えていたのだ。


『や、やめろ……!!』


 ネックは絶句した。既に抵抗のないガリー機に対してネクストは容赦なくバルカンを胸部めがけて乱射し続けているのだ。何点もの穴がやがて大きな穴へとつながりゆく。既にガリーがいないことはネックも把握していたが、機体そのものが貫通されていく様子は見るに耐えられない。


『待てネック! お前もどうなるか……!!』

『でやぁぁぁぁぁぁ!!』

「この勢い……今は乗らせてもらう!」


 ガリー機を晒したままネクストが高く飛ぶ。追撃せんとネック機も飛んだ時ネクストのサブアームから彼をめがけてガリー機が投げつけられた。

 ネック機はすぐさまデリトロス・エッジでやむを得ず彼を袈裟斬りにして障害物として取り除こうと判断したが――ガリー機の胸部を貫通させた穴へと、アサルト・キャノンから放たれた黄色の光が素通りしてネック機もまた射抜く。彼を制止できなかったエリルはガリー機共々2機が粉みじんに爆散する様子を目にする。


「次はお前だ、早いうちに……」

「待ってください! ラディさんが退却した後に調べましたら……」


 残るエリルカスタムにネクストが狙いを定めようとした途端。リンが慌ててジャール基地の内部データを彼の元へ送る。そのデータはジャール基地の地下にマイクロウェーブ発生装置が起動しているとの事――ちょうど自分たちの足場の地下に電子レンジのように自分たちを焼き殺す兵器が存在しているのであり、


「ジャールが蛻の柄となれば……すみません! この基地の地下に何かありますか……?」

『いきなり何です! そのような話を私は知らないですよ!!』


 このまま相手をこの場におびき寄せ、その餌食にする選択肢も有り得ると判断したものの、玲也が唯一健在のセカンド・バディのパイロットへ通信を試みる。バグアッパーを相手に牽制して抵抗していた最中故、そのパイロットはやはり忙しく、少し苛立ったような様子で知らないと答えたものの――。


「貴方たちは利用されています! 地下のマイクロウェーブ発生装置の爆発に巻き込ませるための囮に貴方はされてます!!」

『囮……? そんなはずは……』

「このハードウェーザーですと止めることが出来るかもしれません! ですので早くも安全な場所へ避難してください!!」


 けれども、そのパイロットがマイクロウェーブ装置の存在を知らなかった事こそ、玲也が求めていた情報に当てはまる。彼へ撤退を促すとともにバックパックのカイト・シーカーをパージして変形を試みる。背中のカバーが前方へと下ろされフロントガラスのように両肩と頭部を覆う。両足が後方へ一直線に伸びて連結された時、スーパーカーを模した“ネクスト・ビークル”へと姿を変え、


「サイレント・シーカーでマイクロウェーブ発生装置を止めるだけなら、この形態の方が……!」


 だがネクストの変形は単に形を変えるだけではない、機体のサイズそのものも圧縮されたように縮小化されていく。20m近いサイズの機体が、街並みを走る事に問題のないほどのサイズとなった上で、カイト・シーカーのカタパルトへと収納されていく。

 ハードウェーザーの一装備でしかなかった、レドームのようなシーカーは逆に本体を収容するトランスポーターと化す。カイト・シーカーからのアサルト・キャノンがジャール基地の隔壁を破壊し、内部へと突入を試みられる。


『俺を前にして背を向けやがって……どうなるか思い知らせてやる!』


 ネクストが基地内部に消えるとともに、エリルは自分が無視されている状況にいら立ちを隠せない。誇りある戦いを望むエリルながら、本来の得意分野が狙撃故か、ネクストに誇りを傷つけられたかは分からないが、バックパックに設けた狙撃用のデリトロス・ナイプをジャール基地の入り口に向けて照準を定めようとしており、


『あいつが俺達を……させるわけには!』


 エリルカスタムがネクストを狙おうとしていると気づくや否や、退いたはずのセカンド・バディが彼に向かわんとガーディ・ライフルを連射しながら進撃を試みる。けれどもエリルカスタムの狙撃を成就させんと、バグアッパーの3機が群がる様にして翼を刃のようにして彼の両手を刻んでおり、思うように進軍できないまま。


『くたばれ、ハードウェー……!!』


 エリルカスタムのデリトロス・ナイプが火を噴こうとした寸前に、円錐状の弾頭がスナイパーライフルへと直撃した。破損したライフルを手放したエリルが視界を変えるや否や、クリムゾンレッドのカラーリングで塗りつぶされたハードウェーザーがバグアッパーを相手に獅子奮迅のごとく戦っては相手を蹴散らしていく。


『……あの野郎、新入りが勝手にドンパチやってんじゃねぇ!』

『まま、俺たちが示しをつければいいんじゃないの。早く逃げなよ』

『す、すみません! またハードウェーザーに助けられるとは何を言えば……』


 彼はバグレラどころか、ネクストよりも遥か小柄な機体ながらも、織り成す足技はバグアッパーを質量以上の威力で叩き落していた。右手に握られたビーム鞭“ノヴァン・ケラー”を振るうって瞬く間に残りの2機を退ける。ビーム鞭を主翼に受けて墜落する2機は、腰からのビーム拳銃“ジャッジメント・ガン”の餌食と化しており、


『お前たちに手柄を独占させるのも少し癪だが……フェニックスの手柄には変わりないからな』

『俺はフェニックスとかマーベルとかの為に戦ってないけどな!!』

『まま、でも俺達は俺達でイタリア代表だから多少はね』


 青と赤の二色で塗りつぶされたようなカラーリングのハードウェーザーがザービスト――イタリア代表のバン・ダイガストの駆る機体だ。口より先に迷わず手を出す程攻撃的な彼を、パートナーのムウがなだめつつ。その二人の動かすザービストめがけて、エリルカスタムの脚部からミサイルポッドが連発されたが、小柄かつ機動性の高さでかすりもしない。


『ったくよ! 俺は弱い敵も興味ねぇからな!!』

『な、何……ぐああっ!!』


 自分が弱いと見なされ、エリルのバンが苦言を漏らしつつも、ザービストが右手を変形させる。90度曲がった手首にはジョイントが露呈し、左肩から射出した巨大な拳“ジャッジメント・フィスト”を装着する。

 そして、懐に入り込むように密着して、右手に設けられた巨大な拳をたたきつけると同時に、本体から射出して見せた。本体に不釣り合いな巨大なマニュピレーターだろうとも、腕部に内蔵された電磁力による射出装置“リニアッグ”が起動すると共に、高速で巨大な質量を射出したのだ。


『相変わらずだけど、力押し一辺倒ばっかだから気を付けて』

『うるせぇ! スクリューぶっ放すくらいならいけるんだよ!!』


 ムウが軽妙な様子ながら突っ込みを入れる。ザービストもまたバンによって攻撃面を重視に調整されたハードウェーザーであり、その代償として燃費は劣悪。10m未満の小柄な全長故、機動力で突出しているものの、装甲が紙一枚との点も含め極端なスペックでもある。

 フィストに代わり、今度は右肩から螺旋状にエッジを刻まれたドリルパーツを右手首に連結させる。ジャッジメント・スクリューを打ち出してもう1機に照準を定めると、


「電次元サンダー!!」


 ――ザービストの右を一筋の電光が通り過ぎ、バグレラに命中しては爆散する。ザービストが振り向いた先にはネクストの姿があった。カイト・シーカーからの超音波ブレーザー・ウェーブを至近距離で発動させると共に、マイクロウェーブ発生装置の電源を落として戦線へと復帰した様子であり、


『あぁほらほら、バン君ったら何やってんの?』

『うるせぇ……あの野郎!!』

『あいつならまだ倒せる……ハードウェーザーだからって調子に乗るな!!』


 ムウに茶化されている事も含め、ネクストへ割って入られた事で、湯沸かし器のようにバンが逆上する。一方ムウは自分たちの対応より早くバグレラを仕留めた、彼らへ少し関心も抱いた様子。

 そしてエリルカスタムはザービストではなく、ネクストに標的を定めデリトロス・マシンガンを構える。彼はハードウェーザーを仕留めてこそ、エースパイロットとしてのプライドが守られると考えた上だ。最も、自機より半分程度のサイズの形態であってもバグレラやバグアッパーを軽々蹴散らすザービストより、まだネクストの方が倒せる勝算があると考える時点で彼のプライドもどこか揺らいでいるようだった。


「きゃあぁっ!」

『ほら見ろ言わんこっちゃない! だからな新入りがそうカッコつけるなって……』

『どうやら捨て身のつもり、ハイリスクハイリターンで責めるのかな……?』


 このエリルの目論見は一応間違っていなかったのか、デリトロス・マシンガンの被弾と共に左腕が千切れ飛ぶ。その様子を傍からザービストが目にするが、今のネクストは左腕だけでなく、右の拳も失われている。つまり両手が使えない状態にもかかわらあずバルカンポッドを連射しながら、ジックレードルを展開して突撃を仕掛ける。この様子にムウは彼らが無謀ながら賭けに出たと捉えていた……はずだった。


『彼は羽鳥玲也……なるほどね』


 ――ところがムウは認識を改めた。ネクストの右手がひとりでに動き、エリルカスタムの背後を取った様子からこれは寧ろ玲也が狙っていたのではと気づかされてもいた。


「これで決める、電次元サンダー!!」

『何だと……くそっ!!』


 エリルカスタムが飛び上がるようにして、デリトロス・エッジで唐竹割りを決めようとした時だ。ネクストが右腕を動かすとともに、離されていた右手が彼の背後から電撃をお見舞いした事で、彼は電撃に打たれて身動きを封じられる――これがネクストの電次元兵器となる電次元サンダーだ。


「両腕を失ったと思って油断したな。ネクストの両手は腕で遠隔操作できるからな」

「左手で電次元サンダーを最初に放って相手の注意を左腕にそらしたわけですね、玲也さん!」

「その通りだ。機体の性能でハードウェーザーが勝っていても、それをどう使うかが大事だ!」


 指先から放つ一筋の光は電次元フレアーや電次元ブリザードと比較すると威力では劣ってしまう。しかし指や腕を動かすとともに電次元サンダーの軌道は自由自在に変化しながら直撃するまで目標を追跡する。

 そして玲也の言う通り、ネクストは右手をあらかじめ射出して遠隔操作させながらエリルカスタムの背後を取った。電次元サンダーは腕に内蔵されたジェネレーターが連結されていない状態、つまり右手だけでも威力が衰えるとはいえ放つことは可能であり――相手の動きを一時的に止めるだけの威力は備わっていれば丁度良いと彼は見なしたのだ


『や、やめろ! このまま来るな……ハードウェーザーにこの俺が、俺が……!?』

「ジックレードルで止めだ!!」

『あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』


 身動きが封じられた状態のエリルカスタムに向けて、ジックレードルが豪快に振り下ろされた。その刃はエリルカスタムの胸部を見事に突き、抉るように刃を抜き取ったネクストが離れたと同時に、目の前で雷鳴の射手は砕け散る愛機と運命を共にしたのだ。


「れ、玲也さん……やったのですね」

「あぁ。少し苦戦したが……!?」

『この野郎! 新入りの癖に勝手にしゃしゃり出て手柄を横取りするとはいい度胸だな!!』

「新入り……という事はもしかして貴方たちが!!」


 玲也がエリルを仕留めたことで緊張の糸が切れた時だった。彼の顔面にめがけてザービストの右足が目前に迫り、ネクストを弾き飛ばす。体勢を立て直したネクストだが、玲也は小型モニターに映るバンとムウの姿を見て彼らがミーティングには不在だったイタリア代表だと気づいた。


『まま、こいつの事は気にしなくて大丈夫……いや、誇りに思っても良いかな』

「確かムウさんですね……。誇りに思うとはどういうことでしょうか?」

『こいつ、弱い相手には基本興味ないんだけどさ、強い相手には噛みつく奴なんだよ。敵でも味方でもね』

「敵でも味方でも……はぁ」


 ムウからバンが玲也達に攻撃を仕掛けてきた様子についてフォローされた。どうやらバンは彼を新入りの癖に自分を出し抜いたことで標的の一人として定めたとの事らしい。最もガチで殺しにかかるとかではない、彼が素直じゃないとムウからフォローが入るのだが、玲也の表情は彼が少し厄介化もしれないと思いつつも、少し引きつっていた。

 

『余計なこと言うんじゃねぇ!! それより玲也、今日の事は絶対忘れねぇからな……』

『まま、こいつの話は聞き流していいからとりあえず先に帰りなよ。無断出撃だろ?』

「そ、そうでした……ごめんなさい玲也さん! 今更言うのも何ですが私が悪いことですから!!」

『早く帰ったほうがいいよー、君たち? 一応このことは俺も覚えておくから』


 ムウに指摘され、玲也とリンが少し慌てながら電次元ジャンプの準備を始めた。最も彼にとってザービストがバンの操縦により電次元ジャンプして帰路につく余裕がない。そのままフェニックス・フォートレスへ向かう恥ずかしい姿を知られたら、相方が余計キレると思った事もあり、真意を知らせずに玲也達を早く帰らせたかった心境もあったのかもしれない。


「あのバグレラがお父さんやお母さんの敵かは分からないですね……」

「……そのバグレラに見覚えのある特徴はあったのか」


 そして電次元ジャンプでドラグーン・フォートレスへ向かう最中、リンはこの戦いで倒したバグレラ達を、両親の仇と重ねようとしており、同時にどこか穏やかな表情を浮かべていた。


「いえ、大丈夫です。仇ではないと思いますが、その身代わりとしてあのバグレラを仇と捉える事にしました」


 リンは玲也の問いへ穏やかな笑顔のまま首を振って口を開ける。彼女にとって敵でなくても恐怖を乗り越えてバグレラを倒すことが出来た時点で敵を討ったような気分にさせていたのだ。それですべてが終わりやり切ったような表情ではない。しかしトラウマから解放された彼女の笑顔は希望と決意が漂うものだった。


「だから私はもう大丈夫です! イチを探すためにもトラウマに囚われたくありません!」

「……そうか、そうだな」


 弟を探すために、両親を殺したバグレラへの恐怖をリンは乗り越えることが出来た。それは父を乗り越えるために電装マシン戦隊の一員として戦うことは何か……それを受け入れる事の出来た玲也にとっても自分のように喜ぶべきことと捉えていた。

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