談話6:永遠の雪、銀の尾

 娘は、竜の目の前に、ひんやりと冷たい白い鱗を近づける。


「これがリッカさんにいただいた鱗です」

「ほう……よくできているな。懇切丁寧に、魔力の扱い方が詰められている」

「読み出してくれたカナリヤさんも、そう言っていました」

「シラユキは年の割には幼いが、性根は素直なのだ」

「はい、私もよくわかっています」


 この鱗のおかげで、娘はそう時間をかけずに、魔力を遮断するすべを身につけることができた。


「そうそう、こんなものも」


 娘は道具袋から、手のひら大のトカゲの尾を取り出した。

 表面には、色の美しい葉や花弁が貼り付けられている。


「カガミさんに教えていただいた『トカゲの尾』です。こどものおもちゃの試作品として、小さく作ってみました」

「鱗として見立てるものによっては、蓑虫に見えそうだな……」

「そうならないよう、色々試してみます。本物の鱗は調達できませんからね。このあたりで採れるものか、行商人からきれいな貝殻を仕入れるのが現実的でしょう」

「まったく、お前は商魂たくましいな」


 ふん、と、竜は短く鼻を鳴らす。


「まずはルリとヒスイに遊んでもらって、感想を聞きましょう。最終的には、子供が尻尾のようにつけられる大きさにします。親子の遊び道具にもなるように作るつもりですし」

「親子、か」

「はい、親子です。種族が違おうと、血のつながりが怪しかろうと」

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