第3話 『ニコラ』
――翌日。
午前のクロシェ先生の授業を受けて、教科書と睨めっこをする。
隣にはアメリ。その隣にはギスギスしたメニーがいる。さらにギスギスしたあたしがいる。間に挟まれたアメリが、ため息をついた。
「クロシェ先生」
アメリが手を上げる。ホワイトボードに文字を書いていたクロシェ先生が振り向く。
「あら、どうしたの? アメリアヌ」
「この二人のせいで空気が悪いです。窓を開けてもいいですか?」
あたしとメニーに腕を交差させて指を差すアメリを睨む。
「あたしは悪くないわよ。メニーが機嫌悪いのが悪いんでしょ」
あたしは、ブラックボードにお黙りと書いた。メニーがじっと、あたしを睨む。
「さっきから、お姉ちゃんの言い方もきついと思うよ」
メニーが、ブラックボードに平和主義と書いた。あたしの片目が痙攣した。
「何それ。あたしの言い方にケチ付ける気? 言わせてるのはそっちでしょ?」
「ほら、そういう言い方が良くないと思う」
「あのね、メニーの言い方だってきついのよ。自覚無いの?」
「私、何も喋ってないよ」
「あたしだって黙ってるじゃない」
「こらこら、二人とも」
クロシェ先生が声を上げた。
「授業中に喧嘩はやめなさい」
「ふん!」
あたしが鼻を鳴らしてそっぽを向くと、クロシェ先生がこめかみを手で押さえた。
「もう、困った子達ね……。授業だけでも集中してくれない?」
「どっかの誰かさんのせいで、あたしは一ヶ月、外に出なきゃいけないんです。この状況で仲直りしろって言う方が無理ですよ。狂気の沙汰よ」
「テリー、10分間廊下に立ってなさい」
クロシェ先生の言葉に、ぎょっと目を見開く。
「何よ。それ! あたしが悪いんですか?」
「頭を冷やせと言ってるの。廊下にいなさい」
「先生! 酷いわ! いかれてる! 皆、いかれてるわ!!」
捨て台詞のように叫び、あたしは立ち上がって、メニーを一度睨んでから部屋を出る。扉を思いきり閉めてやって、腕を組んで廊下に立ち、はああああ! と息を吐いた。
「ああ、もう、最悪! 皆してあたしを虐めて、本当に酷い! こんなの虐待よ! 弱い者虐めよ! 集団リンチってやつだわ! 家庭内暴力反対! 訴えてやる!!」
「タイミングが悪いんだよ」
あたしの隣に、魔法使いの格好のドロシーが一緒に立つ。
「ねえ、ドロシー、メニーの奴、なんであんなに怒ってるわけ? あたし、本当に悪いことしたの?」
「いいや? 君は部屋に侵入しただけさ。でも、メニーが怒ってるのはそれがきっかけ」
「何も触ってないのに」
「君だって部屋に無断で入られた時、何度もヒヤッとしたって言ってただろ?」
「当たり前よ。あたしの部屋には、あのノートがあるのよ」
――自分の言った言葉で、眉をひそめる。
「何? メニーの部屋に、見られたくなかったものでもあったわけ?」
……だとしても、
「怒りすぎじゃない? 今までの可愛子ぶってたあいつはどこに行ったのよ。猫かぶりの猫ちゃんがきっとどこかに逃げたのね。あれがあいつの本性よ。他人に厳しく自分に甘い。自分はやってくるくせに、やられたら倍で返してくる。あの最低女め。人間のクズよ。あの八方美人」
「ちょっと、僕の親友のことを悪く言わないでくれる?」
「あいつが悪いんじゃない」
「君のことを信頼してるからこそ、怒ってるんじゃないかい?」
「何それ。信頼してるお姉ちゃんに部屋に入られたことが、ショックだったってこと?」
呆れた。
「皆してあたしを悪者扱い。こんな所早く出てってやる」
「午後からまた出かけるんだろ?」
「ええ。一ヶ月住む部屋を探すの」
「君一人暮らしなんて出来るの?」
「……そこなのよ」
工場にいる頃は、トイレ掃除もやった。床の掃除もした。料理も皆の分を作った。でも、全部指示されてやっていたこと。
「自分で自主的にやらなきゃいけないのよ。やったことないのに。ねえ、魔法でちゃちゃっと出来ないの?」
「そういう人間がいるから、魔法使いは魔法使いって名乗れないんだよ」
「くそ」
一度地団太。
「……とりあえず、リトルルビィの家の近くを探そうと思ってるの。いい部屋があればいいけど、14歳の女の子に部屋を貸す人なんて、いると思う?」
「どうかな。寮とか探してみたら?」
あたしの顔が引き攣った。
「寮は嫌。牢獄に戻った気分になるもの。でも、……そうね。下手に一人で暮らすより、門限のない寮なら生活しやすいかも」
「色々探してみるといいさ。ほら、楽しくなってきただろ」
「どこが楽しいのよ……。あたしは最低な気分よ」
「そんな顔しない。君にはミッションがあるだろ?」
ドロシーの言葉に、うなだれる。
「なんで事件が起きるって分かってる街に一ヶ月いなきゃいけないわけ……? ああ、もう嫌だ……。逃げたい……。城下町の外に逃げたい……」
「いつかこういうことになるだろうとは思ってたけど、まさか一ヶ月屋敷を追い出されることになるとはねえ……。これは予想外だったよ」
「あたしだって予想外よ……」
「でも、相変わらず機転が利くね。ミス・クロシェ。反抗期を抑える手段なら、この手はとても効果的だ」
「あたしは悪くないのに……」
「いつまでも甘えていられないってことかな」
「あたし甘えてなんかない」
断言できる。
「皆を守ろうとしてただけよ」
なんでこうなるのよ。
「もういい。あたしがいなくなって、どうなっても知らないんだから」
「テリー、そんな卑屈にならないで、楽しもうよ。一人暮らしが出来るんだよ?」
一人暮らしを始めました。小さいけど住むところに決まり、お気に入りの家具も揃えました。毎日色んな出来事があります。友達もたくさんできました。あなたもここに暮らしませんか。一人暮らし最高。いえいいえい。
「楽しいよー? 一人の時間が多いって最高さ! やることも多いけど、それを承知で生活するのは、なかなか悪くないよ」
「あたしは屋敷が良いの」
「これからのことっていうものは自分次第で変わるものさ。楽しめば楽しいことが起きて、卑屈になれば卑屈なことが起きる。愉快な心持ちで、いい部屋を見つけに行こうじゃないか!」
じとっと、横目でドロシーを見る。
「あんた……、この状況、楽しんでるでしょ……」
「とてもね!」
ドロシーはとっても素敵な満面の笑みをあたしに向ける。
「だって、生意気なテリーが痛い目にあってる! 僕に散々八つ当たりしてきた罰さ!! ぶふっ! テリーが困ってる! 超困ってる! ざまぁーみろ! ふっははははは!」
ドロシーに笑われ、ぎしっ! と歯ぎしりを立てた。
魔法使いに馬鹿にされて、家族からは虐められて、メニーからは嫌われて、
(あたしは、将来自分の身に起きる死刑を回避したいだけ……。幸せになりたいだけ……)
それなのに!
「なんでこんなことになるのよ……」
ぐずるように呟いて、10分間、あたしは廊下で、いらいらしながら立っていた。
(*'ω'*)
屋敷でランチを食べてから一人で広場に出かける。噴水前をうろうろ歩き、部屋を紹介している店を探し回る。
(えっと……不動産屋、不動産屋……)
14歳の女の子が部屋を探していると言ったら、悪戯だと思われるだろうか。
(なるべく庶民に近い格好で来たけれど……)
自分を見下ろし、ため息をつく。
(このあたしが、こんな庶民みたいな服装で歩く日が来ることになるなんて……)
うんざりして、不動産屋に張られた部屋のチラシを眺める。
(どんな部屋がいいのかしら……。住む所なんて、屋敷か牢屋くらいだったし、ホームレスの時は空き家を転々としてたし……、……何がいいのか全然分からない……)
じっと、チラシを眺めて、考える。
(……どうしたらいいんだろう……)
店に入って、事情を訊かれたら、何と言えばいいのだろう。14歳の女の子に、部屋をすぐに貸してくれるところなんてあるだろうか? 借りれなかったらどうしよう。借りれたとして、支払いの心配は無いとして、そこからどうすればいいだろう? ああ、分からないことだらけで息が詰まりそう。
(ママ、手配してくれないかしらね)
こういうのも、自分でやれだなんて。
(証明書を提示しろとか言われたらどうするのよ。どうやって身分を隠せばいいのよ)
……店に入れない。
(……どうしよう)
詰んだ。
(まずいわね。身分を隠しながら部屋の契約……? ああ、知り合いにただの平民で土地持ってる人いなかったかしら……)
後ろに、一歩下がった。
(ああ、ママの知り合いしか出てこない。どうしよう……。念のため、訪ねてみる?)
その瞬間、ぽすっと、背中が何かにぶつかった。
「ん?」
振り返ると、あたしの背にサングラスをかけた黒いスーツの男が立っていた。
「あら、ごめんなさい」
(……行こう)
ぶつかったことを謝って離れると、男が歩きだす。
(ん?)
あたしに近づく。
(……ん?)
あたしが離れると、男がついてくる。あたしが動くと、男も動く。あたしが歩き出すと、その方向に男も歩き出す。
(えっと……)
店から離れると、男も店から離れる。あたしが左に曲がると、男も左に曲がってくる。
(えっと……)
あたしが早歩きになると、男も早足になる。
(えっと……)
あたしが走り出すと、男も走ってきた。
(はっ!?)
前から同じサングラスをかけた黒スーツの男があたしに向かって走ってきた。
(ひえっ!?)
右から同じサングラスをかけた黒スーツの男があたしに向かって走ってきた。
「ぎゃああああああああ!!」
悲鳴をあげて、あたしは走り出す。
(何よこれ何よこれ何よこれ!)
慌てて走り、建物の裏に行くと、そこからもサングラスをかけた別の男が現れた。
「ぎゃあああああああああ!」
(何これ!?)
慌ててUターンして、逆の方向に走ると、二人の男が追いかけてくる。
「ひゃあああああ!」
悲鳴をあげて、広場を駆ける。人だかりの多い場所を狙って走ると、そこの道からも三人の黒いスーツの男たちが現れた。
「いやああああ! 何なのよーーー!」
またまたUターンして、男たちをかいくぐり、走る。人の目が痛い。広場の人達が何事だと言いたげな目で見てくる。そんな中、男たちが無線機を掴み、連絡を取りだした。
「逃走者を発見。捕まえます」
「逃走者って何よ!」
そんな大人大勢に追いかけられたら、普通逃げるでしょ!?
「確保する!!」
「いやああああああ!! 何よ! てめえらあああ!!」
叫んで走り、走りこむと、突然前の道から黒スーツの男が現れる。
「ひっ!?」
足が止まらない! そのまま前に突っ込むと、男に抱き抱えられた。
「ふぎゃっ!」
悲鳴をあげると、男があたしを肩に抱えた。無線機を手に取り口を開ける。
「逃走者、確保」
「ちょっと! あんた! あたしを誰だと思ってるの! このテリー・ベックスに、なんてことを!!」
大声を出すと、あたし達に向かってものすごい勢いで一つの馬車が走ってくる。
(何!?)
「ひひーーーーん!」
馬が元気よく鳴いて走ってくる。きちんと人を退けて、あたし達に向かって、暴れん坊のように走ってくる。そして、あたし達の目の前で止まり、扉が開いた直後、男があたしを中に投げ入れた。
「わっ!」
椅子に倒れると扉が閉まった。そして、また馬車が走りだす。体がとても揺れる。馬車の中もとても揺れている。呆然とした視界の隅には、くすくす笑う女性が、胸を押さえておかしそうに笑っていた。
「はー。面白かった! 胸がどきどきしたわ!」
にこにこ微笑んで、だらしない格好で固まるあたしを見つめた。
「ごきげんよう。お元気だった? テリー」
あたしはその女性を見て、顔を引き攣らせた。
「……。……。……何やってるんですか。王妃様…」
「王妃様?」
王妃様が笑った。
「誰のこと?」
今はプライベートだと、笑った。
「よく分からないわね」
笑っていない目で、あたしを見た。
「テリー、私はだあれ?」
もう一度訊き直して、
「私のこと、なんて呼んでたっけ?」
あたしを睨んだ。
(ああ……、この女のこの目が苦手……)
この圧で人を殺すような、強い眼差し。
あたしはふう、と息を吐いて、椅子に礼儀正しく座り直す。スカートを直して、足を揃えて、背筋を伸ばして――うなだれる。
「……キッドのお母様」
「うふふ! そうよ! 貴女の婚約者のお母さんよ!! ママよ!!」
言い放ち、にこりと向かいのあたしに微笑んだ。あたしは眉間に皺を寄せ、目を合わせる。
「……何か御用で……?」
「御用だなんて、嫌だわ。テリーってば。せっかく久しぶりに会えたのに」
一年近く会えてなかったのかしら?
「お散歩がてら馬車で街を回ってたら、たまったまテリーがウロウロしてるのを見つけたの!」
青い顔して歩いてるから、何かあったのかと思って!
「楽しませてあげようと思って!」
あとそれと、
「私もすんごく暇だったから! 暇つぶしに!! テリーで遊ぼうと!! 鬼ごっこ逃走バージョン面白かった!? 私はすごく面白かったわ!! テリーの逃走、最高よ!」
(この女……。人をよくも玩具にしてくれたわね…)
キッドの母親、ミセス・スノウ。変わり者の王妃様。
スノウ様が窓辺に腕を置いて、はあ、とため息を漏らす。
「ほら、キッドってば、今、隣国でお仕事してるでしょう? 弟のリオンも今、期間限定で城下の学校に行っててね?」
「……リオン様が、学校に……?」
(そんな話、初めて聞いた)
訊き返せば、スノウ様が頷いた。
「そうなの。だから、誰も私の相手をしてくれる人がいないのよ」
「……はあ」
「私も仕事といえば謁見謁見謁見ばっかり。もう息が詰まりそうなのよ!」
旦那は国の仕事で相手してくれないし!
「クレアも反応無いし!」
あーーーー嫌だ嫌だ嫌だ!!
「というわけで、テリーを見つけた時に、ぴんときたわけよ!」
これは捕まえて遊び相手になってもらおう。
「テリー、どっか遊びに行きましょうよ!? ショッピングに行きましょうよ! 好きなもの買ってあげるから!!」
にっこり笑顔で言われて、ようやく、あたしは頭の整理がついた。
(つまり暇だから相手をしろと……)
(……というか、)
『 ク レ ア 』 ?
誰、それ。
聞いたことのない名前に、顔をしかめた。
「あの、王妃様」
「んんんんんんんんん?」
「……お母様」
「よろしい」
言い直すと、スノウ様が女神のように微笑んだ。
「なあに? テリー?」
「あの」
質問タイム。
「クレアって、どなたですか?」
スノウ様が微笑んだ。
「あら、キッドから訊いてないの?」
「え?」
「なーんだ。あいつ、そのことも言ってないのね」
スノウ様が足を組み、くすっと微笑んだ。
「お姉ちゃんよ。キッドのお姉ちゃん。双子なの」
「双子?」
「そうよ。ほら、思い出してみて。キッドの名前」
キッド・ロバーツ・イル・ジ・オースティン・サミュエル・クレア・ウィリアム。
「クレアって文字があるでしょ? あれ、お姉ちゃんの名前なの。だから、クレアの名前も」
クレア・ロバーツ・イル・ジ・オースティン・サミュエル・キッド・ウィリアム。
ぽかん、と間抜けな顔をすると、スノウ様が笑った。
「そうよね。その反応が正しいわよ。クレアの存在は、あまり公にしてないから」
「……初耳です」
「あの子、体弱いのよ。城に閉じこもってて、全然出かけられないから、発表したところで表に出られないの」
それに、
「テリーは会わない方がいいかも」
「え?」
「だって」
スノウ様が言った。
「一番頭おかしいんだもん。あいつ」
スノウ様が笑う。
「キッドよりも残酷で、リオンよりも優しい」
キッドの婚約者なんて名乗ってみなさいよ。
「殺されるわよ」
キッドがどんな反応するか、面白がって興味を持って。
「テリーを殺しちゃうだろうから」
絶対、
「会っちゃ駄目」
ま、
「会う機会なんて早々ないから、大丈夫だろうけどね!」
あはは!
スノウ様は笑う。愉快そうに笑う。それを聞いたあたしは、眉をひそめる。
(なんで殺すと分かって、そんなに笑ってるの……?)
スノウ様は笑う。笑う。笑う。
(自分の娘でしょう?)
自分の娘が、赤の他人のあたしを殺すかもしれないのでしょう?
スノウ様はそれでもおかしそうに笑い続ける。
(……いかれてる。理解が出来ない)
キッドの婚約者になってからというもの、それを知られたら悪いことばかり起きてる気がする。実際、キッドの婚約者と知られた怪盗に人質に取られて、殺されそうになったのがいい例だ。
(あいつが国の王子様だから悪いのよ)
あたしは姿勢を直して座り直し、スノウ様に向き直った。
「お母様。お久しぶりの再会をとても嬉しく思いますわ」
「ええ! 私も嬉しいわ! テリー! 会いたかった!」
「ですが、あたしは今、ものすごく忙しいんです」
「ん? そうなの? なんで?」
「あたし、部屋を見つけないといけなくて」
「部屋?」
きょとん。
「どうしたの? ご家族で引っ越しでもされるの?」
「……実は」
――かくかくしかじか。
「あはははははは!!」
スノウ様が膝を叩いた。
「貴族であることを隠して、一ヶ月城下でアルバイト? まあ、すごい。よくもそんなこと思いついたわね! あー。私も婚約者じゃなくて、働きに出ろって言えば良かったんだわ。キッドの反抗期と思春期はまじですごかったんだから。すさまじかったわ」
反抗というか、
「悪いことじゃないんだけど」
反抗というか、
「過剰な女の子遊び」
「……すごそうですね……」
女の子に囲まれて、にたにた笑うキッドを脳内に思い浮かべて、心から言葉が漏れた。スノウ様が納得して頷く。
「なるほどね。つまり、一人でも生活出来る部屋を探してたのね」
「はい。ですが、正直、あたしはそういう知識がありません。こんなこと初めてですし、身分を隠さないといけない前提で部屋をどう探せばいいか開幕見当がつかないのです」
「不動産屋は駄目ってことね」
「知り合いの方に事情を話して持ってる建物の部屋を借りようとしていたところです。今から向かいませんと」
「テリー、機転が利いてとてもいい発想だと思うけど、私、もっといい所を知ってるわ」
「え?」
「職場は中央区域の商店街だっけ?」
スノウ様はにんまりと笑みを浮かべる。
「そこはね、馬鹿でかい一軒家で、お爺ちゃんが一人いるの。何でも面倒見てくれるお爺ちゃんだから、夜ご飯も作ってくれるし、家事もしてくれる。街外れに家があるんだけど、広場からもそんなに遠くなくて、まあ、周りは畑とか果樹園とか森に囲まれてて、人気が無い静かな所なんだけど。でも、一人で暮らすより、そっちの方が生活しやすいと思うの。困ったらお爺ちゃんがいるから!」
「その方、王族の方ですか?」
「まさか! 全然平民よ。もうね、平民の平民の庶民! 私の知り合いだから、テリーの事情も汲み取ってくれる、理解あるお爺ちゃんよ!」
(そ、そんなおいしい話があるだなんて……!)
ごくりと唾を飲み込む。
(だけど、この女に借りを作りたくない)
意地を張ってる場合じゃ無い。
右も左も分からない一人暮らしをするか、
王妃様の知り合いの人が面倒見てくれる生活をするか。
(よし、ここは14歳のスイッチを押すのよ)
ぽちっとな。
「ああ、でも、お母様、あたしのような小娘が、何か悪さをして、そのお爺様とお母様の期待を裏切ってしまったらどうしましょう。あたし、それが怖くて……!」
「大丈夫よ! テリー! 何があってもママは貴女を見捨てないわ! 部屋は有り余ってるし、そのお爺ちゃんも優しい人だから、何があってもテリーを助けてくれると思うの!」
「あたし、甘えてもいいですか……?」
「ええ! 甘えていいのよ!」
「でしたら!」
スノウ様の手を両手で握る。
「お言葉に甘えます!」
交渉成立!! げへへへへ!!
「ああ、なんて嬉しいの!」
お母様、どうか聞いてください。あたしの不幸を。お手をすりすり。猫をにゃんにゃん。
「母に言われているようで、誰もあたしを助けてくれないんです!」
「あらあら、可哀想に!」
「そうなんです! あたし、とっても可哀想な子なんです!」
「もう大丈夫よ! もう一人のママが貴女を助けてあげる!!」
「ママ…!!」
「善は急げよ! そうと決まれば早速向かいましょう!」
スノウ様が窓を開け、太陽に向かって指を差す。
「いざ、いつもの所へ!」
「御意」
窓を閉めて、スノウ様があたしに向き直し、微笑む。
「ねえねえテリー。着くまでちょっとお話ししましょうよ。髪もちょっと伸びて整ってきたわね。いいわ。髪の毛結んであげる。隣においで。それで、キッドとは手紙の交換はしてるの? ねえねえ、キッドのどういうところが好き? キッドの何が嫌い? キッドのどれが好きで、どれがむかついて、どれがイラっときて、どれがどきどきするの? キッドのことどう思う? 帰ってこないあいつをぶん殴ってやりたいと思う? キッドって名前どう思う? キッドの髪の色どう思う? キッドの目の色どう思う? キッドの性格どう思う? キッドの食べるものどう思う? キッドの苺ケーキ好きどう思う? キッドの……」
(ああ、出た……)
スノウ様の質問攻め。
(どう答えたらいいのか……)
――スノウ様、違うんです。これは全て、キッドとあたしがした、ただの口約束の、名前だけの婚約なんです。恋愛も何もありません。あたしはボディーガードが欲しくて、キッドは恋愛ごっこしてくれる女の子が欲しくて、これは、ただの、お互いのための契約なんです。その末に、あたしはキッドから婚約届を用意されて一方的に脅されているんです。
(……チクろうかな)
キッドはいないし。チャンスだわ。
(よし、チクろう!)
「あの、おかあさ」
「テリーはどうしてこんなに可愛いの? 女の子ってやっぱりいいわよね。女の子って素敵よね。女の子は女の子だからいいのよね。ああ、素敵。女の子素敵」
「あの」
「女の子は女の子だから女の子なわけであって野郎は女の子じゃないの。だからテリーはこんなに可愛いんだわ。ああ、私こんな娘が欲しかったの」
「あの」
「はあ、素敵。女の子の女の子。女の子ったらおんなの」
(話を聞かんかい!!!!)
何をそんなに溜まっているのか、スノウ様はあたしの声など聞かず、一人で喋り続ける。ついでにあたしの髪の毛は、可愛い三つ編みに結ばれた。
(*'ω'*)
しばらくして、馬車が止まる。
着いたのかしらと思って窓を覗くと、見覚えのあるその家に、きょとんと瞬きをした。
「ん?」
(なんでキッドの家があるんだろう?)
引っ越して大きくなったキッドの家。広場から近くもなく遠くもなく、人気のない道の裏通り。道には森ばかり。木ばかり。畑ばかり。草原ばかり。そんな場所に囲まれた、一軒の家。馬車から下りて、その家を眺める。後ろから、スノウ様も馬車を降りて、きょろきょろと見回す。
「あ、いた」
あたしの手を掴み、引っ張り、家の隣の果樹園に歩いていく。
そこに、キッドの付き人のビリーが、切り株の上に座り、一休みしていた。
「おや、これはこれは」
あたしとスノウ様を見て、ビリーがきょとんとした。
「お揃いで。何か御用ですかな?」
「ビリー」
スノウ様があたしを前に出した。
「来月の一ヶ月、テリーをここに住まわせてあげて」
「はい?」
あたしの目が点になり、スノウ様は満面の笑み。ビリーが冷ややかな目でスノウ様を見つめた。
「なんですか。突然」
「そうよ。事は突然にやってくる」
「テリー殿、またその王妃様に何か言われましたか?」
「王妃って呼ぶなって言ってるでしょう! この、たらず!」
スノウ様が声を荒げ、あたしを連れてビリーに近づいていく。目の前に来れば、その身を屈ませ、あたしの肩に顎を置いて、切り株に座るビリーを、眉をへこませながら見つめる。
「ねえねえ、テリーってば可哀想なのよ。住む場所がないと、お屋敷から追い出されて、外で生活することになっちゃう。ホームレスになっちゃう!」
「何ですかな? とうとうベックスの家から勘当されたのかい? テリー殿」
ビリーがじっとあたしの目を見つめてきて、長いひげを弄った。
あたしも眉間にしわを寄せて、うなだれる。
「似たようなものよ」
「何かあったようじゃな」
「人生最大のピンチ…」
「私が聞いてもいい話かな?」
「ミスター・ビリー、どう思う?」
――かくかくしかじか。ふむふむ。なるほど。あたし不幸なの。そいつはどっこい。
「そういえば、過去に似たようなことがありましたな。奥様」
ぎくっ、とスノウ様の肩が揺れ、視線をビリーから逸らす。
「えーー? 何ーー? そんなことあったかしらーー? 身に覚えがないんだけどーー?」
「何を言っているのやら。貴女が結婚する前の一ヶ月……」
「あああああ! いいのよ! その話は!!」
スノウ様がずいっと、あたしをビリーに差し出す。
「とにかく、私の可愛い可愛いテリーが困ってるのよ。助けてやってよ。女の子のお世話なら慣れてるでしょ?」
「テリー殿はどうですかな?」
訊かれて、どきっとする。
「え、何が?」
「この老いぼれと生活しても大丈夫かい? 洗濯ものも一緒に洗うぞ。掃除も料理の手伝いも、ある程度はやってもらうつもりじゃ。ここに住むならな」
「……あたしは構わないわ。貴方は?」
「私も構いませんよ」
「お世話になっても?」
「ええ。好きなだけ」
「……なら」
少し、間を置いて、
「お願い出来ますか? 一ヶ月だけ」
訊くと、ビリーが頷いた。
「私は厳しいぞ。テリー殿」
「いいわ。食器も洗うし、掃除もする。出来る限りでやるし、教えていただければそれもやる」
ビリーの手を握る。
「貴方で安心したわ。だって本当に誰も助けてくれないんだもん。どこかも分からない部屋に住むよりずっといい。ありがとう。ミスター・ビリー。貴方に感謝します。一ヶ月お世話になります。よろしくお願いします」
「ああ。こちらこそ」
握った手をぶんぶん振り、今一度、キッドの家を見上げる。
(まさか、こんなことになるなんて……)
キッドがいなくて良かった。あいつが隣国に行ってるこのナイスタイミングなこと。そのまま戻ってくるんじゃないわよ。知ってる顔のミスター・ビリーと暮らすなら、どの部屋よりもマシだわ。
そんなことを思っていると、スノウ様が眉をひそめた。
「なんか、まだ硬いわね?」
スノウ様があたしの顔を覗き込む。
「ねえねえ、テリー。ミスター・ビリーなんて硬い呼び方止めちゃって、お爺ちゃんって呼べば? こいつ、なんて呼んでも、もう怒らないから大丈夫よ」
「奥様や、今の発言、後で王様に報告させていただきます」
「何よ! そうやってすぐにチクるのね! なんて酷い奴なの! やめてよ! 怒られるのは私なのよ!? やめてよ!!」
顔を青ざめさせ、スノウ様があたしを抱き締めた。
「テリー、あの犬のウンコみたいなおじーちゃんどう思う? もう絶対許さない! 王妃命令で今度こそ奴隷にしてやるからね!」
「はいはい」
しかし、とビリーも声をあげた。
「確かに一緒に住むとして、いつまでもその呼ばれ方は体が痒くなるのう」
ビリーが腕を掻いた。
「テリー殿や、何か呼び方を決めるかのう。一ヶ月、それで呼び合おう」
「呼び方……?」
「貴族ということを隠すのだろう? まさか、テリー・ベックスで働きに出るつもりかい?」
ビリーに言われて、はっと思い出す。
「そう、そうなのよ。それで不動産屋にも入れなかったのよ」
ベックス家は、代々知られてる貴族だ。メニーのお父様が残した会社も全て健全。ベックス家が管理している会社も健全。テリー・ベックスは、いつ知られても、ばれても、おかしくない。
「名前は盲点だった」
「念には念をじゃ。ここにいる間は、名前を変えたらいかがかな?」
「そうね。その方がいいわ」
「なんと呼ぼうか。候補はあるかい?」
「特に」
「ふむ。ならば、どう呼ぼうか」
「……テリーの名前を考えるの?」
スノウ様が目を輝かせて、ビリーに手を上げた。
「オデット!」
「却下」
ビリーが断る。スノウ様はめげない。
「オーロラ!」
「却下」
ビリーが断る。スノウ様はめげない。
「マリー!」
「却下」
ビリーが断る。スノウ様はめげない。
「アナスタシア!!」
「テリー殿」
ビリーがあたしに提案した。
「『ニコラ』という名前はどうじゃ」
「ニコラ?」
「私の兄弟達と、一度娘が出来たらどんな名前にするか、くだらない話をしたことがあってのう」
数多くの候補の中、残った名前。
「ニコラ」
どうだろう?
「使い道がなかった。結婚もしていないし、娘も孫もいない。どうかのう?」
「ニコラ……」
あたしは呼んでみる。
「ニコラ」
あたしはニコラ。
一ヶ月の間だけ、あたしはニコラ。
(……なるほど)
「悪くない。いいかも。気に入ったわ。ニコラ」
あたしの顔を見たビリーが微笑む。一人だけ、スノウ様が不満そうな顔を浮かべていた。
「ねえ、オデットは? テリーの身長に合ってるし、オーロラだってテリーの目の色に合ってると思うの。マリーって名前も可愛い名前でしょう? アナスタシアはテリーの赤い髪の毛にぴったりの名前だと思うの。ねえ、ビリー」
「テリー殿も気に入ってるようです。諦めてください」
「ちぇっ!」
スノウ様が地面を蹴って、ビリーの足に砂をかけた。そして、あたしに微笑む。
「で? テリーはビリーのことなんて呼ぶの? 怒りん坊? 怒りん坊でいいわよ。こんな奴。クソジジイでもいいわよ」
「王妃様。今の発言は、大臣に報告させていただきます」
「やめてって言ってるでしょう! あのね! 照れ屋も相当あんたに似て怒ってくるのよ! お下品ですって言ってくるのよ! やめてよね!!」
大臣に照れ屋なんて名前の人いたかしら?
(それよりも、ビリーの呼び方をどうしよう。お爺様? お爺ちゃん?)
……。
(あ)
「だったら、ミスター・ビリー」
これを言ったら、ママからは怒られるんだけど、
「あたし、『じいじ』がいい」
「ん?」
意外な呼び方に、ビリーとスノウ様がきょとんとした。
「これはまた……」
「ミスター・ビリー、ここだけの話にしてちょうだい。あたし、お婆様のことをばあばって呼んでたの。下品ではしたない呼び方だからやめなさいってママから言われてたけど、お婆様と二人きりの時だけ、ばあばって。だから、そういう呼び方の方が慣れてるのよ」
「ほう」
「おかしいと思う?」
「まさか。呼びやすいのでしたらどうぞ。それでお呼びなさい」
「いいの?」
「もちろん。構いません」
「決まりね」
一ヶ月間、あたしはニコラ。ビリーはじいじ。二人は仲良しな娘とお爺さん。森に囲まれた家に暮らす城下町のただの住人。
「えー!? 何それー! なんか可愛いー!」
スノウ様が微笑ましそうに笑った。
「いいなあ! ねー、私も呼んでいい? じいじ! じいじぃー!」
「今の発言を、先生に報告させていただきます」
「やめて! 先生はやめて! あいつあんたに似て細かいのよ! 細かいところをツキツキ怒ってくるのよ! 本当に細かいのよ! しつこいのよ! ネチネチ大嫌い! 本当、兄弟揃ってやめてよね!! 最低!! 毒リンゴでも食べてくたばってしまえ!!」
「で、『ニコラ』や」
ビリーがあたしに顔を向けた。
「いつからこっちに来る予定じゃ?」
「10月から仕事が始まるの。だから、そうね。……前日には」
「では30日までに部屋の準備をしておこう。迎えは寄こすか?」
「いい。あたしが歩いてくるわ」
「歩いてくるのかい?」
「あたしはただの村娘よ。村娘は歩くものよ」
「ああ、分かったよ」
ビリーが頷く。
「キッドが半年も留守にしていて、そろそろ寂しさを感じていたところじゃ。改めて、よろしくのう。ニコラ」
「ええ。よろしくお願いします。じいじ」
二人で一礼。頭を上げると、スノウ様が笑顔であたしを見下ろしていた。
「悩みは解決した? テリー?」
「はい。お陰で何とかなりそうです。スノウ様」
「うううううううんんんんんんん?」
「……お母様! ありがとうございました! あたし、すっごく助かっちゃった!」
「ふふっ! よかった!」
(はあ。疲れる女ね)
「さあ、そうと決まれば」
スノウ様の目が光った。
「ショッピングに行くわよ! テリー!!」
太陽の光がスノウ様を射す。あたしとビリーが目の前に手をかざした。
「お、お買い物ですか?」
「だって、着るものとか必要でしょ? 動きやすい服装ならドレスよりパンツ。スカートよりパンツ! パンツに合う靴とかも買いに行きましょうよ!」
「だったら、キッドのお下がりがあるぞ。ニコラや、見ていくかい?」
「キッドのお下がり? それ、汚していいやつ?」
「泥にまみれてもいいぞ」
「最高」
にやりと笑った。
「あたし、泥遊びだーいすき!」
ああ、違う違う。
「お仕事でお洋服が汚れるかもしれないもの。キッドのお下がりなら、もってこいね!」
キッドの服なんて、汚してなんぼだ。汚してやる。泥でも汗でもあいつの服なら汚しまくってやる。
「じいじ、あたし、それでいいわ!」
「そうかい。なら出しておこう。虫が食っているかもしれないがな」
「構わないわ! あたしが穴を大きくするから!」
「駄目よ! ちょっとくらい買う必要もあるわよ! ねえ? テリー! 行こうよ! 暇なのよ! 行こうよ!! ねえ!! 行こうよ!!」
手を引っ張ってくるスノウ様にビリーが呆れたため息を出す。あたしも14歳の可憐な乙女の笑顔を浮かべてスノウ様を諭す。
「でもぉー、お母様。貴女が広場に行かれたら大変な騒ぎになるんじゃ……」
「あら、嫌だわ。テリーってば。私のことを心配してくれていたの? まあ、なんて優しい子なの!」
あたしの頭をなでなで。
「好き!!」
あたしの頭をぽんぽん。
「変装なら、任せなさい!」
スノウ様が声を張り上げ、馬車に走った。
サングラスの男が馬車の中にトランクを入れて、扉を閉め、しばらく馬車が揺れる。その一分後、さっきまで輝いていた超美人の王妃様は、庶民の農民の平民の奥様として出てきた。
「どうだああああああああ!!」
さっきまでの輝きが嘘のように、王族とは思えない姿に、あたしは目を見開いた。
「なっ……!」
「くくくっ! すごいでしょ! 私のこの変身術! これで何度旦那を騙して遊んだことか!」
ちらりと、ビリーを横目で見る。
(色々……あったのね)
ビリーの目が、色々あったことを物語っている。
「さあ、テリー!」
じゃなかった!
「ニコラ!」
スノウ様が目を輝かせて、あたしを引っ張った。
「行こう! ニコラ! 何着でも買ってあげる!」
「いや、でも、あの!」
「うふふふ! 女の子とショッピング! 女の子のショッピング! 野郎じゃない! 女の子!!」
嬉しそうにスノウ様があたしを引っ張り、またあたしを馬車に乗せて、ビリーに振り向いた。
「じゃ、そういうことで、頼んだわよ! 怒りん坊!」
「はいはい。お気をつけて」
その言葉に、スノウ様が無邪気に微笑んで、馬車に乗り、また馬車が動き出した。
「お買い物ー! テリーとお買い物ー!」
(王妃様とお買い物……?)
スノウ様が歌う中、あたしの顔は眉間に皺を増やしていく。
「大丈夫よ! 動きやすい服装を見るだけだから! いくらでも汚して使い込んでちょうだい!!」
(あたし、今から王妃様に服を買ってもらうの…?)
「ああ、とても気分がいいわ! テリー! エステにも行きましょう! 玩具屋さんに行って、好きな玩具を買ってあげるわ! 美容室にも行く? どこ行く? ねえ、どこに行く? ああ、女の子とショッピング! 野郎じゃないの! 女の子なの!!!」
どうやら、世界の歴史に歪みが出来ているようだ。
――スノウ王妃。
どうして、笑顔で外を出歩いているのかしら。
「はあ、テリー! 楽しみね!」
にこにこ笑うスノウ様は、この雪のように真っ白に輝く王妃様は、来年の、あたしが15歳の年に、心の病で自殺をするはずなのに。
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