PHASE-295【まろび出ちゃう】
「よせ!」
「お断りだ! お前がいいって言ったんだからな」
ベルは戦う姿勢から、自身の体を隠そうとする仕草になる。
これから何がおこるかちゃんと理解しているじゃないか。
撓わな胸を両手で必死になって覆い隠そうとするが、むしろその動作は大きな胸を強調するようなもんだよ。
「DLC!」
光り輝くのはもちろんベル。
何事かと、戦いも終わると思っていた皆さんが驚きで目を大きくする。
この状況が分かる方は肩を竦めたり、口に頬ばった焼き芋をそのままに、俺をジト目で見たり、ハリウッディアンからは笑みと共にサムズアップ。
――――光が終息すれば、この広い王都全体に轟くような大歓声が生まれる。
もちろん歓声を上げるのは野郎ばかり。
空気を大きく震わせる野郎達の咆哮。
「キタコレ! ここで見られるなんてな! 白髪バージョン!」
「……お前…………」
雪肌が羞恥心により朱に染まる。
元凶の俺を睨んでくるが、全くもって怖くない。
威厳が無いからな。
頭につけてるうさ耳バンドが力なく垂れているのは、現状をまるで表現しているようじゃないか。
今にもまろび出そうなおっぱい。
――――まろび出るって表現。エロ小説とかでしか目にしないような表現が頭に浮かぶ俺は、猛者ですよ。
素晴らしくくびれたウエスト。
パーフェクトボディのラインに沿ったバニースーツと、背後のチラリズムを強調してくれる燕尾。
お尻部分にはモフモフの丸い尻尾。
美脚の肌が透けるような黒スト!
完璧だ!
紅髪も良かったが、黒いバニースーツに白髪はいいですな~。
「元に戻せ!」
「使っていいって言ったのはベルじゃないか。ベルは嘘をつくのか?」
「くっ……」
生真面目さが自分を縛る典型だな。
反論できないで悔しそうに歯を軋らせている。
衆目に晒される恥ずかしさに、肌は朱を通り越して紅に染まる。
「たまんね~」
「あの恰好でずっといてくれるなら、俺、風紀委員長のために死ねる」
「俺は普段でも命を捧げられるが、お前の気持ちは分かる。女神として祀って、殉教できる。今にもこぼれ出そうなあの胸に飛び込みたい……」
アバカンコールから欲望にまみれた、野郎という俗物どもの声が、歓喜となって上がる上がる。
もちろんベルの耳朶にもしっかりと届いている声だ。
軍人だが乙女なベルにとって、野郎に見られるのはたまらなく恥ずかしいだろう。
でもまあ、ベルって風紀委員長だからね。風紀委員長っていったらエロエロなポジションだからね。しかたないよね。
完全に俺の偏った思考で申し訳ないが、風紀を取り締まってるのが一番破廉恥ってのがトレンドでしょ?
数少ない女性冒険者たちは、邪な喜色に染まる野郎たちを侮蔑の目で見ている。
多分だが、こんな恰好をさせた俺に対してのリスペクト値も暴落していることだろう。
が――、勝つためよ。ちょっとくらい好感度が下がっても……。
やっぱり下がるのは嫌だな……。
ええい!
「さあ! いくぞベル」
後悔なんてしていないと暗示をかけつつ、覇気ある声で誤魔化す俺がそこにはいた。
動きの鈍くなったベルに向かって俺は強気に前に出る。
「どりゃ!」
足運びと同様の強気で木刀を振れば、
「ええい!」
眉が八の字を書いているベルは、弱々しく木剣で受け止めて捌くだけ。
その動作だけでロケットおっぱい様がブルンと揺れ、直後に野郎達は狂熱の大歓声。
周囲の女性メンバーの冷ややかな視線など、狂熱によって打ち消しているようで、気にも留めることなくベルに見入っている。
加えて、下品な発言も聞こえてくるってもんだ。
一つあげるならば、「この光景、今日のおかずだぜ!」だろう。
荒くれ冒険者ゆえの下劣で粗野な発言。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます