内容に関しては、他の方が触れているので別のご意見をば。
自分は読み手として経験が浅いので、とても癖が強い作品か、とても読みやすい作品かの、どちらかを好む傾向があります。
MSTさんの文字並びは後者であり非常に頭に入ってきやすい為、登場人物の心理描写や個性が、読んでいる側にとってとても刺さりやすいなぁと感じました。
その為、展開や人物配置が作品の個性として骨肉となっているのですが、その色合いがダークであると、今度は前者の面も押し出されている。
あぁ、小説ってこんな風に書くと伝わりやすいんだなぁと思わせていただいた作品で御座いました!
読み易い為に、押し出されているダークさが、より刺さるのだ!
俗に言うキャラが生きてる、勝手に動くとはこんな感じなのだと思います。
チェントとヴィレント、兄妹でありながら――憎しみ合う運命にあった。
幼い頃に植え付けられた恐怖と、他の人から与えられた真っ直ぐな愛情――それは、チェントの運命を大きく歪ませ、そして二人の運命が、戦いへといざなっていく――。
一人称視点による怒涛の展開。独白による描写によって、続きはどうなるのだろうか、と読む速度が止まらなくなる。
ヴィレント、チェント、それを取り巻く無数の人物たちもまた、さまざまな気持ちを抱え、群像劇となって読者に語りかけてくる。
そして、迎える最後の展開。その後に、どういう気持ちにさせられるかは、貴方次第だろう。
何度でも思う。どうしてこうなったのだろうか、と。
そんなほどに切ないダークファンタジー
「兄さん、あなたさえいなければ、私はきっと幸せだった……」
正直トップに「コレ」がなかったら読んでなかったと思います。実際これに釣られて一気読みしました!
登場人物が少なく、全18話で無駄のない構成がぴったり収まっている。
1~3話読んで、主人公が悪いの?兄が悪いの?と、どちらの意見でも正しくなってしまいそうな、兄妹それぞれの気持ちがいろいろ考えさせられる話です。
「最後の最後に妹が悪い話になるのかな~」と読んでいてどきどきしてましたとも!
最後まで読んで、個人的には主人公が兄じゃなくてよかった~って思いましたが、兄やスキルドのその後も知りたかったなぁ。他の読者はどう感じるかな?
後日談や番外編など、新作もぜひぜひ期待しております。