君の lx



まばゆい光なんて

太陽以外に見たことがなかった


マブシスギル ヒカリや

ぼやけた ひかりなら

今まで 嫌になるほど見てきたけど


まばゆい光なんて

見たことはなかった


そして

それは

多くの人が頬杖をつきながら語る昔話のような

けっして 一瞬のもの ではなく

走馬灯 のようなものでもない


出会ったときから 輝き始め

ずっと変わることなく まばゆく輝き続け

その光源は影絵のように黒くはなく

とても はっきりとしたものだった


だけど

僕が気がつかないように 君はそのlxを徐々に弱め

気がついたときには

粒子のひとつひとつがわかるような

絹のロールカーテンの向こう側のような

光の束になっていた


「あの まばゆい光 は ?」

と 問うても

声にはならず

よって

答えも返ってこなくて


僕はしょうがなく瞼を閉じたその中で

かろうじて 確認できる

灰色っぽい 光の輪や

光の線 と戯れるしかなかった


でも

勇気を出して

瞼を開けた時に

わかったんだ


君のlxは 

実は ちっとも変わっていなかった

弱く なんてなっていなかったんだ


君を射す強烈な別な光が

君が放つまばゆい光をぼやけさせていたんだ

って


瞼を開けた時に

わかったんだ



僕は 考える


再び 瞼を閉じて 

君を射す強烈な光を光源にした

灰色の光の輪や線と戯れるのか


まだ一度も確かめたことがない

「君に放つ僕の光がどんな風に見えていたのか」

と 君に尋ねるのか


僕は考える



ただし

この 僕に 

声 があれば のはなしだけれども




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