コバルト色の海に暮らす



今日も時計は要らない

空の明るさと

影の長さだけで充分わかる


朝食は リガーに乗って

白い椅子が置いてある小さいレストランへ

帽子はかぶっていくよ


今日は 果物のジュースと

少し硬めに焼いたフランスパンを

卵とソーセージは 少しでいい

コーヒーは食後にもらうよ


一種類の鳥しか鳴いていないから

今日は きっとスコールが短いだろう

あの木の看板も揺れていないし

マウントのてっぺんも薄い青空のはずさ


フランスパンのおかわりをもらうよ

半分は僕のおなかに

もう半分は 帰りのリガーから魚にあげるんだ



ラグーンから見た 外洋を想像してごらん

凝縮されたこれ以上ない青い水から生まれる

白い波しぶき

人間の侵入を拒んでいるかのように見える

いつもそう思うんだ


今日 行ったら

水面ぎりぎりの高さに目を合わせて見てみるといい

君にもわかるはずさ


帰りにもう一度コーラルガーデンに行ってみないか

あそこに潜ると 音がしないんだ

どこだって同じだって?

違うよ

あそこは音がしない

聞こえるのは自分の脈の音だけなんだ


群れている魚にも耳がないと思うんだ

あそこで生きていくのに

耳は必要ないはずだよ



さあ そろそろ行こう

パンは持ったよ

今日もきっといい日になる




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