傍らの君と戯れながら



小さくまとまることを怖れながら

今日も家路へと急いで

傍らの君と戯れ


自分を励ましながら

昔の自分に根拠を求め

絶望的な渋滞や

理不尽な人の行いをも占いのせいにして

でもやっぱりあきらめきれず

自分の奥底にある硬いものを見ずにはおれなくなっても

そこに悪魔を登場させて

天使と戦わせるのをしばし眺めて

自分を戒め

ため息をひとつだけついて

今日も家路へと急いで

傍らの君と戯れ


ため息の代わりに煙草のけむりを吐いて

ゆらゆら立ち上る白い気体をもう一度吹き飛ばして

寝転がり

たった一つ切れた電球を眺めてから

正月に走るランナーが踏むアスファルトを思い

自分の奥底にある冷たいものを見ずにはおれなくなっても

そこにラピュタでも巨身兵でも登場させて

悪魔と戦わせるのをしばし眺めてから

自分を奮い立たせ

よし と一回言って

今日も家路へと急いで

傍らの君と戯れ


小さくまとまることを怖れながら

傍らの君に 大きく育て

と言って

自分を励ましながら

昔の自分に根拠を求めながら

占いのせいにしながら

眺めながら

白い気体を吹き飛ばしながら

寝転がりながら

思いながら

登場させながら

戦わせながら

急ぎながら

怖れながら

傍らの君と戯れながら

傍らの君と戯れながら・・・




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