ep.11 決着
「はぁ………そろそろ飽きてきました」
エクスの斬撃を流し、受け止めながらそんな事を呟く。
「そろそろ終わりにしましょうか」
瞬間、エクスは爆発的に高まる魔力を感じ取り、飛び退く。
「遅い」
背後から囁くように聴こえてきたそれに反射的に背後へと剣を振り抜く。
が、剣を摘む様に止められる。
「なっ………!」
直後、体に走る衝撃に耐え切れずボールの様に地面へと叩き付けられた。
「がっ………はっ……!」
フレメスがゆっくりと降りてくる。
「まだ気を失ってないんですか?丈夫ですねェ?」
起き上がろうと力を篭めるが、手足が言うことを聞かず、再び地面へと倒れ込む。
「あぁ、でも流石に動けなさそうですね、良かった。これでまた斬り掛かられたら四肢を落とすしか無いと思いましたよ」
無表情で見下ろしながらそんな事を言う。
「そろそろ寝て下さい。魔法を掛けてあげますから」
右手を向けると炎弾を発動し、魔力を込め始める。
「く………そ……!」
徐々に高まっていく魔力を感じ取りながら、動こうとしても動かない体。
「それでは、おやすみなさい」
その瞬間、炎弾が放たれ爆発を起こす。
フレメスの視界が煙で遮られるが、そんな事はもはやどうでもよかった。
煙が晴れたら見える光景は一つしかない。
痛めつけた。行動も不能にした。故に防がれる筈がない。
そんな事を思い、逃げたであろう少女を追おうと結果を確認すること無く後ろを向く。
─────それは油断であった。
突如胸から生えてくる剣を何処か他人事の様に見てた。
「かふっ………」
胸から走る痛みに、後ろを振り返る。
「きさ……なぜ……」
先程まで動けなかった筈のエクスが剣に光を纏わせ、フレメスを貫いていた。
「……うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
エクスは剣をそのまま振り抜いた。
「がふっ……く、そっ……!闇の魔力が消えていく………!?」
力が抜け、崩れ落ちる。
「あぁ……くそ……まさか……女神の使徒か……」
エクスの顔を見上げ、血を吐き出す。
「まお…さま………がみ……の、しと……が」
体が徐々に灰になり、風に舞う。
──────あぁ、終わるのか……。
最後にその言葉を残し、フレメスは完全に消失した。
「ありがとう、君の魔法が無かったら僕は死んでた。名前、聞いても良いかな?」
炎弾が放たれた瞬間、少女はバリアを貼り攻撃を防ぐとエクスを魔法で癒したのである。
「ティエラです、助けて頂きありがとうございます」
少女───ティエラは深くお辞儀をした。
「ティエラ、さん。こちらこそありがとう。君のおかげで彼奴に勝てた。本当に助かったよ」
それで、とエクスは続けた。
「君は、攫われた人でいいのかな。他に攫われた人が何処にいるか、知ってるかな?」
「上の階層だと思います。4階層ならここまで逃げて来たので……地下に居なければ恐らく上です」
エクスは感謝を述べる。
「教えてくれてありがとう、君は先に街へ戻ってくれるかな?疲れてる様だし……」
「……いえ、私も連れて行ってください」
「………どうして?」
質問され、少し迷った後、答える。
「師匠の遺品があるかも、しれませんから」
その言葉と、 何処か寂しそうな表情にエクスはわかった、としか返せなかった。
エクスとティエラは上へと続く階段を探し、登って行く。
戦闘の爪痕が残されたその場にはもう、誰も居なかった。
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