姫さまは交渉人



姫さま達が牢屋から出れるようにサバイバルナイフに持ち替えて、通れるよう切っていく。


「な、なんで鉄格子をそんな簡単に‥」


女騎士さんが驚いた様子でまじまじと切れていくさまを見ている。

そんなに見ないでください。

ナイフの切れ味が良いだけです。



こうして、二人は抜け出てきました。


「本当に助けて頂きありがとうございます。あなたが居なければどうなっていたことか‥‥想像しただけで震えます。」


「そうですそうです、姫様の言う通りだ!」


姫さまは自分の体を抱きしめ、身震いをする。


「ひ、いえ依頼でたまたまなので‥。あ、あの僕はこ、これで」


「まあまあそんなご謙遜を。私達はなんと幸運な出会いをいたしたのでしょう、ねぇサラ?」


「そうですそうです、姫様の言う通りだ!」


「あ、あのー僕はこれで‥」


「ぜひぜひお礼をしなくては、王女の名折れ。良ければ、このまま王都までご一緒しませんか?」


「い、いえお礼とかけ結構ですので‥」


「まあまあ、こんなか弱い女二人で王都までの道のりを行けと!? あぁ、また危険な目に遭ってしまうかもしれない、あぁ」


「そうですそうです、姫様の言う通りだ!」


逃がさんぞと言わんばかりに、僕の台詞に被せてくる。

い、嫌だ。1週間もずっと一緒なんて。

途中で気絶するかもしれない。


でも、このまま置いて去るのも後で何か起きたら絶対後悔する。


どうしよう‥


「……もう少しですね」


「え?」


「いえいえ、ただ本当に私達は王都まで行くのに随分と非力です。サラだけなら、問題ないですが。私と一緒では、どうしても不安が残ります。私が‥私が不甲斐ないばっかりに‥」


「姫様、そんなことはありません!姫様がいることで私は普段以上に力を出せるのです。ひ、姫様‥」


声のトーンが落ちている姫様から鼻をすする音がする。見てないけど泣いてるのかもしれない。

騎士さんが狼狽している。


た、確かに女性2人で王都までは危険。

うーん、も‥もう覚悟するしかない。


「わ、分かりました。王都までご一緒しましゅ‥」


「まぁ本当ですか!?いやー良かったです。ではよろしくお願いいたします。あ、私はスロウハート王国第2王女のソフィアです。気軽にソフィーとでもお呼びください。あと、こっちは私の専属騎士のサラです。ほらほら、挨拶!」


「えっ、あっわ私はサラというよろしく頼む。」


「へ、あ、僕はコータです…」


先ほどの暗いトーンが嘘のように明るい口調に戻る。


あ、あれ?



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