ある日、森の中、盗賊さんに出会った4



まず先に周りの手下さん達を沈めよう。


僕の今のステータスなら油断しなければ問題なくどうにか出来る。

指南書に集中している今がチャンス。


今までと同じパターンで次々と意識を飛ばしていく。


さて、最後はお頭さんだ。

この人だけは少し違う。

僕のスピードには全く追いついてないけど、手下さんがどんどんやられていくのは分かっていたみたいだ。

ゆっくりとだけど、腰に携えてる長剣を抜こうとしている。



でも、残念。


僕はすかさずお頭さんの長剣を鞘ごと氷魔法で固め抜けなくし、武器屋で購入した短剣をそっと首筋に当てる。


あとは最後に確認事項。


「うさぎっ!?いや、何者だ。お、お前何をした?」


先ほどまでの下劣な笑いはなりを潜め、首筋の刃の感触に少し顔が青くなっている。


「ぼ、僕はCクラス昇進の依頼中の冒険者でしゅ‥あ」


久しぶりの人との会話。

噛むのも仕方ない。


「お、お前が冒険者だと‥」


「は、はい!冒険者です。あのー確認なんですが、あなたはライモン盗賊団の方でま間違いないですか?」


百科事典で確認済みだけど、ちゃんと確かめないとね。


「い、いや違う!だから、見逃してくれ!」


嘘をつく余裕があるなんてすごい。

それとも、こんな子供上手く騙せるとでも思ってるのかな?


「いいえ、そいつはライモン盗賊団のボス、ライモン本人です!指名手配書で見ましたから間違いないです!」


「ちっ、黙りやがれ!」


姫さまの証言もあるし、有罪決定。


「くそっ捕まってたまるかよ!おいお前ら、侵入者だぞ!」


「あ、あのーおじさんの仲間の人達ならもうロープで縛ってあります。多分、見逃しはないと思うので全員確保してましゅ‥」


うぅ、そんな睨まないで‥


観念したのか膝をつき、地面に拳を叩きつける。

よし、ロープロープ。


「へっ、今だぶぅっ!?」


あ、暴れられた困るからスタンガン並の電撃を流そうと思ったら、頭にやってしまった。

急に近づいてくるんだもん、慌てて威力も少し上げてしまった。



生きてるかな、生きてるよね?


短剣の先でツンツンすると、ピクピクと反応している。

煙が湧いてるけど大丈夫っぽい。



「あのー、助けて頂きありがとうございます!良ければこちらを開けていただけますか?」


「そうですそうです、姫様の言うとおりだ!」


「は、はいぃ!」


不意に声を掛けられ体はバイブレーション。


視線を下に、恐る恐る後ろを振り返る。


突き刺さる2つの視線に眩暈を起こしつつ、牢屋の格子をサバイバルナイフで切り開く。




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