最終話 好=良い奥さん

この日を幾度と無く夢に見た。

でも実際、叶うとは思わなかったから胸に秘めてしまったのだ。

そう。

何故なら、好はそんな事をしている暇は無い程に病と闘っていた。


俺は一度、いや、二度三度。

何度も絶望しかけた。

彼女が再発した時は一緒に死のうかと思ったぐらいだ。

それぐらいに俺は.....彼女を心配していた。


その期待に応えてくれる様に常に彼女は頑張ってくれて支えてくれて。

だから俺は頑張って、彼女を支え。

遂に5年経った今、今に至った。

こんな夢の様な日が来るとは思わなかった。


大学に進学した俺達。

それでも彼女は再発する事は無く。


退院後の彼女は側で常に微笑み、俺の勉学を、俺を支えてくれた。

そして付き合い始めて早8年近く。

遂に実る日が来た。


この結婚式場に色々な参加者が居る。

成長した、谷、聖良、瑠衣、火矢、りん、などなど。

俺の家族も、だ。

扉の前で深呼吸をする俺。


そして遂に。

アナウンスが聞こえた。

全てが始まる。


『それでは、皆様、新郎様のご入場です』


俺は盛大な拍手と共に静かに前を見据える。

そして歩き出して紅いカーペットを歩く。

年齢が22歳になった俺は、今日。

好と婚約する事になる。



何度も思うが、ここまで来るのは最難関だった。

だけど二人だから超えれたのだ。


好が心の底から頑張ってくれたお陰で俺は好と婚約する事が出来た。

今日この日を俺は絶対に忘れない。

友蔵さん、未知瑠さん。

みんな。


「.....いやー格好良いな!」


「.....そうっすね。谷さん」


「.....全くね」


その声が何処かから聞こえ、俺は少しだけ恥じらう。

俺は壇上にて静かに待つ。

静かに、愛しの恋人を。

これから、奥さんになる恋人を、だ。


『皆様。新婦様のご入場です』


そして、盛大に拍手と共に新婦が入場した。

俺の恋人、好だ。

とても可憐な姿で有った。


純白のヴェールがとても似合っている。

純白のドレスと共に俺に微笑む。

俺は少しだけ緊張しながら。

ヴェールを纏った好を見つめる。


そして、結婚式が進む。

友蔵さんと共にやって来る好。

壇上で好を待ちながら居ると、横に吉見が立った。


『.....では開宴のご挨拶を.....』


案内人の方がその様に言って述べてから。

そして俺達の事を紹介し出した。

主賓が挨拶をして.....。


遂にケーキ入刀になる。

俺は少しだけ震えていた。


「.....大丈夫?和樹」


「.....だ、いじょうぶだ」


「うふふ。もうしっかりしてよ。あなた」


「まだ結婚して無いだろ.....」


そして二人でケーキの刀を持って。

入刀した。

んで、よろめいた俺の肩が当たってケーキが崩れた。


ドジャッと音がして、だ。

その瞬間に悲鳴が上がった。


「「「「「あーーーーー!!!!!」」」」」


「何やってんだよ和樹!!!!?」


「アッハッハ!」


頭を掻きながら、慌てる案内人の方。

好はクスクスと笑っていた。

そして俺は恥じらう。


予想外のアクシデントだった。

俺は頭を掻きながら、マイクを取る。


『.....すまんみんな』


「「「「「ハァ!!!!?」」」」」


何を言ってんだ!

せっかくのケーキと言い、せっかくのお前の結婚式なのに!


と、谷が色々な奴が、火矢が文句を言う。

でも何だろうな。

こういうのが有っても楽しいと思ったよ。


「.....和樹」


「何だ?」


ケーキが崩れて、そして、横から来た好と俺はキスを交わした。

いきなりの事で、かなり驚愕する。

って言うか、こんなプログラム無いですよ!?


「.....おま!?」


「.....ふふ。幸せだよ。和樹」


ふと、ゾクッと感じて周りを見る。

全員が唖然としていた。

俺達はその事にマイクを持って。

そして宣言する。


『『これが俺達(私達)の結婚式!みんな楽しんでね!』』


と、大声で、だ。


fin

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

2つの感情花束 〜君へ捧げる賛美歌〜 ※改変中 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ