第54話 告白ゲーム.....優勝

神経衰弱は結論から言って、谷が優勢の結果になっている。

俺は9ペアで谷は12ペア。

それからタイムリミットは残り1分弱だった。

つまり、優勢だ。


「.....やるね!和樹よ」


「お前もな!谷!」


俺達は白熱したせいで汗だくであった。

夏帆がドン引きしている。

莉緒もドン引き気味である。

それぐらい全てが白熱していた。


会場の全ても、うおおおお!!!と白熱している。

やかましいんだけど。


「負けるな!和樹!」


><な目をして、タオルを振り回して好が白熱応援してくる。

俺はその事に好にグッと親指を立てる。

しかし時間が残り20秒になってしまった。

駄目か!?


「ペア出来た!」


「クソッタレ!やられた!やるね!和樹!」


エースとダイヤ!

よし、良い感じ.....だと思ったのだが。

タイムリミットが残り3秒で。

そして。


ビーッ!!!!!


とモニターから音が鳴った。

駄目か、と俺は顔を天に上げて汗を拭う。

残念ながら、僅差で谷に敗北だった。

必死に頑張ったんだけどなぁ。


「お前がこんなに熱中するとは思わなかった.....かなり強いね」


「.....有難うよ。谷」


『しょ、勝者!谷さんチーム!!!』


ボーッと見ていた莉緒がハッとしてその様に手を上げて叫んだ。

結果、谷を破る事が出来ず俺は敗北を喫した。

俺は溜息を吐いて谷を見てからモニターを見る。

1−1で、確か大会のラウンドは3。


「.....次で決まりだな」


「おうともよ」


「.....次の勝負は何なんだろうか.....」


それを予測していたかの様に莉緒がマイクに言葉を発する。

横ではトランプとテーブルが片せられた。


そして俺の横に好。

更に谷の横に夏帆が立ち、全てを見つめる。


巨大モニターには巨大なスロットマシンの様なモノが映った。

俺達は見開く。

莉緒がマイクに言葉を大声で発した。


『最後の勝負は.....えっと、このスロットマシンが決めます!』


マジで?俺はその様に思いながら、莉緒を見る。

途端にスロットマシンが停止し始めた。

愛して、が止まっ.....何だこれは?


ドルルルル.....ガシャン!


「.....は?」


「.....え?」


(愛しているよゲーム)


愛してるよゲームとか初めて聞いたんだが。

俺はその様に思いながら谷と顔を合わせてもう一度、モニター画面を見る。

莉緒が説明をする様だ。


『えっとですね!愛しているよゲームとは簡単に言えば!愛しているを恋人同士で繰り返して、真っ赤になった方が負けというゲームです!.....ですが、今回ルールを変更します!愛してるじゃ無くても繰り返して男女ともに赤面を繰り返した回数が多い方が勝ちとします!』


「は、はい!?滅茶苦茶な!?」


谷がまさかだと顔が真っ赤になる。

それは俺もだ。

いやいや、マジかよ?


『真実の愛って事です!それでは舞台をご準備しますので、今暫くお待ち下さい!』


「よし!頑張るよ!和樹!」


「いや.....これは.....結構恥ずいぞ!?」


「何?和樹は嫌なの?」


頬を膨らませて、文句を言う好。

いやいや、そう言う事じゃないけど。

どう言ったら良いのだろうか。


「でも私は君を本気で愛してるよ?和樹」


「.....!?」


いきなりだな!

俺は真っ赤になっていく。

その様子をニヒヒと見ながら、好は笑みを浮かべた。

おいおい.....。


「負けんぞ!和樹!」


「これってもう勝負じゃねーだろ.....」


「いや!勝負だ。これも正式な、な?」


だからやる気に満ち満ちるなよ。

俺は頭に手を添えて苦笑する。

その様に思っていると、準備が出来た様で。


『それでは!椅子にお座り下さい!』


「.....この装置は何だ.....?」


テーブル、椅子、何かの装置が有る。

俺は?を浮かべながら、莉緒に向いてみる。

すると、莉緒が解説を始めた。


『こちらは心拍数を測る装置です!これで頬が赤くなったと判断します!』


「.....マジすか.....」


『では!和樹さんチーム!向かい合って座って下さい!谷さんチームはこっちです!』


俺達は座らされてそしてラストバトルが始まろうとした。

巨大モニターにはタイマーが5分にセットされて。

そして俺は装置を同じ様に着けた好に向かい合ってみる。

何これ?結構恥ずかしいんだが。


『和樹さんチームでは既に和樹さんが真っ赤になっています!』


「余計な解説はしなくて良いよ!?」


『あはは。それでは.....レディ.....』


俺は全くとぶつくさ言いながら好を見る。

好はやる気満々で俺を柔和に見つめてくる。

そして、タイマーが作動した。


『ゴー!!!』


開始の合図。

その途端に俺に対して、早速と言わんばかりに俺に好が向いた。

そして言葉を発してくる。


「世界で一番、愛してるよ。和樹」


「.....」


ボッと赤面する。

そして心拍数が上がった。

大型モニターに1と点数が付く。


「ほら、和樹。告白して」


まるで公開処刑だなこれは.....。

俺は苦笑いを浮かべながらも、好に真剣な顔で向いた。

そして、頷く。


「.....俺も愛している。お前を.....多分、世界で一番、だ。いや。宇宙で一番な」


「.....えっと.....あ、あ、改めて言われると.....何だか照れるね」


「お前だって照れる様な言葉を話したじゃないか」


俺達は苦笑い合って。

そして点数を稼いでいく。

谷と夏帆のチームも稼いでいっている様だ。


「.....じゃあ、どれぐらい愛が深い?」


「.....そうだな。簡単に言えば.....簡単に言えば.....宇宙で.....とても愛している。前世と後世になっても愛してるよ」


この言葉にまた赤面する、好。

そして6となった。


そんな中で何だか嬉しく感じている。

何故なら、この様に好に話せて無かったから、だ。


「.....和樹。大好き」


「.....俺もだ」


「.....そ、そう。.....じゃあ、ねぇ?キスして」


「それは関係無いだろ。ゲームとは」


ムー。じゃあ、嫌って事?

と頬を膨らませる、好。

俺は盛大にため息を吐いて、そしてキスを交わす。

その瞬間に10になった。


会場が盛大に拍手に包まれる。

その瞬間だった。


大型モニターからビーッと音が鳴って。

5分が過ぎ去った。



「くそう.....ってかずるいぞお前!キスをするなんて!」


「ハッハッハ!それだけ俺達の愛は深いのだ」


「そうだね。和樹」


表彰台には俺と谷の場所が設けられている。

その場所の1番に俺と好が立った。

そして歓声が湧く。


『優勝は文句無しの和樹さんチームです!!!!!』


温泉旅行と巨大な文字で書かれた板を貰って。

頭に花飾り、そして好と手を繋いだ。

優勝は俺達だった。


「いやー。全くラブラブには負けるぜ」


「.....お前もラブラブじゃねーか。谷」


「うるせえ。幸せになれよ。馬鹿野郎」


谷の言葉に顔を見合わせながら。

苦笑いを浮かべた。

そして板を高高く掲げて優勝をアピールする。


「.....好。有難うな」


「うん。.....温泉行こうね!絶対に」


「.....そうだな」


俺達は赤くなりながら微笑み合う。

そして幸せな時間は過ぎて行き。

好は病院に戻った。

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