第44話 里奈、聡美、三月などなど

カラオケ店の個室から出て、目の前の個室を見る。

そこが女子会の会場らしいが.....うーん。

なかなか入りづらい。


その理由として、聖良が余計に言いふらしている。

大丈夫、和樹くんは私の一番信頼している人だから、手出しはしない様に、とだ。

全く何を言っているんだ.....更に入りづらくなるだろ。


それにこの執事コスプレの服装も.....目立つんだが。

通行人がクスクス見ながら笑っているし。

非常に小っ恥ずかしい。

と、帰ろうかと否定気味に思っているとドアが開いた。


ガチャッ


「あ、和樹くん。ささっ入って入って」


「いや.....あ、オイ!」


まさかのことに俺は慌てる。

そのまま、カラオケの個室に引き摺り込まれた。


目の前に色とりどりの髪の毛の女子クラスメイトが居る。

全員が俺を見てきて和かな感じだが.....うーん。


見た事無い奴らばかりだな.....。

そもそも女子クラスメイトに興味をあまり持てないから。

と思っていると、聖良が俺を紹介した。


「今日1日、私達の執事をしてもらいます、羽柴和樹くんでーす!」


「「「「「はーい」」」」」


どもども、と言っているといきなりだ。

目の前の白い髪の女の子に引き摺られて、女子の中央に座らされた。

ジッと見てくる、白髪のジト目女の子。


だ、誰だっけ?コイツ?

俺は青ざめながら、その女子をオドオド見る。

そしてその少女は真顔のままとんでもない台詞を吐いてきた。


「.....改めて見ると良い男。私と良い事しない?」


「何を言ってんだぁ!?」


その白髪の女の子の台詞。

まさかの言葉に俺はボッと思いっきり赤面してツッコミを入れる。

その横では逆三角形の目でビシッと真っ赤になった聖良が指差してきた。


「三月!和樹くんには彼女が居るんだから!って言うか、なんて事を言うの!」


「.....子作りしたい」


「.....ちょ!?.....ちょっと待ってくれ.....」


「三月ぃ!!!」


何を言ってるのこの子!

嫌だわ!女子怖い!滅茶苦茶に怖い!

その様に思いながら、俺はその三月と言う女の子に苦笑いを浮かべる。

そうしていると、真横から茶髪のポニテの大きな胸の少女。


ガングロってやつか?少しだけ肌が黒い少女が俺の腕に胸を押し当てた。

俺はまさかの事に慌てる。


「私も。ねぇ。羽柴くん」


「は、はい」


「.....エッチな事をしようか」


怪しげに舌舐めずりをして、そして胸元をヒラヒラさせる。

俺は完熟したトマトの様に赤面して、俯く。

運動会とかで良く使われる、ピピピと笛の音がした。


「駄目だって言ってるでしょうが!里奈!」


「えー。つまんなーい。折角男の子が一人なんだから」


「だから和樹くんには彼女が居るって!」


その言葉にチェッと言ってから。

俺に向いた、里奈という少女。

そしてウインクした。


「私は佐藤里奈。ヨロシクね。和樹くん♪」


「お、おう。.....しかし、お前、クラスメイトで居たか?」


「あ、居たよ。.....まあでも私、あまり話さないタイプだから.....ね?こんな感じだし.....」


かなり際どい服装にして、胸の谷間を見せる里奈。

俺はまたも赤面して俯いた。


聖良も赤面して里奈にガミガミと怒る。

舌を出してその怒りの声のガミガミを受ける、里奈。


って言うか、い、色々な女子が居るけど、女子って変態が多いな。

俺は思いながら目の前を見る。

その場所に眼鏡で俯いているあまり活発的でなさそうな子が居た。


聖良の友達にこんな子も居るんだな。

俺は思いながら、その子を見る。

すると、後ろから突然、抱きしめられた。


「な、何だ!?」


「わー。お兄ちゃんの背中、ゴッツゴツ!」


童顔の少女。

まるで小学生の様な体型をしているが、クラスメイトか?

かなり可愛い感じの女の子だ。


「コラ!聡美!」


「もーう。厳しんだよ〜幹事長は〜」


「そうそう。こんなに女の子が居るのに酒池肉林なのにー」


「何を言ってんの!!!」


里奈がぶーたれる。

酒池肉林という言葉を少女から聞くとは.....思いもよらず。

と、思っていると、里奈が俺の手を引いた。


「よし。先ずはデュエットしてみよう!」


「何でそうなるんだ!?」


「え?男の子ってカラオケ好きでしょ?」


そんな事は無い。

第一、俺は音痴なんだが。

俺はその様に思いながら頭に手を添える。


マイクを持たされて、もう戻れない気がした。

俺はその様に思いながら、小さな声でデュエットを開始する。

曲はアクアの等●大のラブソングだった。


アクアはあまり聞いた事が無いが、これは確か結構凄いラブソングだったな。

てか、ちょ、まさか、狙ってやっているのか!?


「等●大のラブソングだよー!みんな!」


「「「「「いえーい!!!」」」」」


俺はその事を考えながら、最悪の事を考えず好の顔を思い浮かべて歌った。

何だか、懐かしい感じで久々だ。

でも、楽しませるのが聖良へのお礼だ。


其処だけはキッチリしないといけないから。

俺はその様に思いながら音痴に気を付けて歌った。

そして盛り上がる。



「ねぇねぇ」


黒のポニテの、かなり運動系の顔をした日焼けした顔の少女がジュースを飲んで休憩していた俺に話し掛けてきた。

その顔はニコッとしている。


「羽柴くんって結構面白いんだね。初めて知ったよ」


「.....まぁ、面白くしているだけかも知れないけどな」


「ふふっ。.....あ、その、彼女さんって入院している好だよね?」


「.....そうだな.....」


俺は複雑な笑みを浮かべる。

すると、相手のその女の子も複雑な感じになった。


「.....2回も忘れられるなんて嫌だなぁ。.....私だったら.....心が痛いよ」


「.....そうだな。でも俺は.....何度でも繰り返そうという気持ちが有るからな」


「凄い根性だね。その根性は何処から沸いているの?」


「.....簡単に言えば.....そうだな.....暗い事を考えない事だ」


ビックリマークを浮かべつつ見開きながら、そうなんだと女の子は話した。

そして俺を見てくる。


「.....強いね。羽柴くんは。私は.....マラソンで折れたから」


「.....どういう事だ」


「.....運動って.....その、筋肉の付き具合。つまり、生まれてからの筋肉の付き具合とか、頭の頭脳とかの才能で私は決まっていると思うんだ。だから.....どれだけ頑張っても所詮は私は5位。だからもう諦めようかなって」


「何を言っているんだお前は」


その様に俺はバッサリ切り捨てた。

まさかの言葉だったのだろう、見開くその女の子。

俺は溜息を吐いて、そして人差し指を立てる。


「.....そんなチートが有るなら、自分にしかないチートを探してみれば良いじゃないか。チート探しってやつかな。そんな根性が抜けた感じで居ても人生楽しく無いと思うぞ」


「.....成る程ね、そう来るのか。.....羽柴くん.....本当に君って面白いね」


「.....自分だけのチートってのは要は.....自分しかない才能を見出すんだ。そいつらは鷹を括っていると思う。だから.....その盲点を突く。それも良いと思うぞ」


「.....そうだね。何だか自身が.....」


と、そこまで話した所でいきなり三月が抱き付いて来た。

里奈が三月を俺に向けて押した様で。

三月は俺の胸を弄る。

ちょ!!?


「おいコラ!」


「私にも構って。執事さん」


「いや!分かったけど!止めろお前!」


「アッハッハ!名付けて里奈の大砲だよー!アハハ」


ヒーロォー!ってか、誰でも良いから誰か助けてくれぇ!

俺はその様なドタバタを受けながら。

時間がどんどんと過ぎていった。

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