第32話 俺と聖良と瑠衣

火矢が家に帰宅した。

その後、直ぐにまたインターフォンが鳴り今に至る。

時刻は午後4時23分。


今、目の前には住所を教えてやった、聖良が居る。

そんな聖良はホエーという感じで呆けていた。

俺の家を隈無く見ている様に。


そして俺に向いて、目を輝かせて言った。

その言葉を、だ。


「.....和樹くん家って.....すっごく綺麗だね!」


「掃除しているのは.....基本は俺じゃ無いんだけどな。こんなに綺麗にしているのは。今、病人の瑠衣だから」


「あ、そうそう。瑠衣ちゃん.....大丈夫?その.....好も心配していたよ」


「わざわざ病院まで行ったのかお前は.....そうか、有難うよ」


そりゃもっちろん私はみんなの友人で知り合いだからね。

と言う、聖良に俺はお茶を出す。

お茶と言えど紅茶だ。


別名、ハーブティーとでも言おうか。

聖良は直ぐに香りを嗜んで.....と思ったら、ハッとして何かを取り出した。


「.....これ。なんの役にも立たないかもだけど」


「.....これは何だ?」


「ぬいぐるみだよ。癒しの効果の有る、ハーブの香り付き」


「.....お前らしいな。プレゼントの選び方が上手いわ。有難うな」


ううん、大丈夫だよ。

と作り笑いで言う聖良。

心配なのだろうな。

俺は思いつつ聖良に向いて、そして言う。


「.....瑠衣の顔だけ見とくか?心配なんだよな?」


「.....うん、そうだね。是非お願い」


「じゃあ案内するわ」


二階に案内する為に俺は立ち上がって、そして案内をする。

聖良は後ろから付いて来た。

そしてリビングを出て、俺の部屋に入らせる。


「.....瑠衣ちゃん。大丈夫.....ってあらら。熱が高そうだね」


「せ.....聖良.....さん.....まで.....す.....すいません.....」


「熱は8度7分まで下がった。でもまだ高い。はっきり言ってな」


俺は真剣な顔付きで、そう説明する。

聖良は心から心配だという感じでジッと瑠衣を見る。

ケホッと言いながらハァハァ言っている、瑠衣。


「.....えっと.....レモン果汁有る?」


「.....ちょ、いきなりだな。なんに使うんだよ」


「特製のスポーツドリンクを作ってあげるから.....瑠衣ちゃんに」


「.....お前も料理が得意なんだな」


得意って訳じゃ無いよあはは、と手を頭にして苦笑する、聖良。

俺は、ふむ、と言って、案内した。

瑠衣に声を掛ける。


「.....トイレは大丈夫か」


「.....う.....ん.....」


「.....そうか、ちょっと待っていてな」


そして俺は聖良を台所に案内する。

それから、食材、調味料が有る場所を言ってからまた上がって来た。

瑠衣がフラフラと起き上がっていた。


「どうしたんだ?寝てなきゃ駄目だぞ!」


「.....漏らした.....おしっこ.....の臭い.....が.....して.....気持ちが.....お兄.....下着を.....脱がして.....」


「いや、それは聖良に.....」


「.....わ.....たしは.....出来れば.....おに.....いにやってほし.....い」


いや、ちょ、マジですか。

俺はその様に思いながら立っていると、フラフラであっという間に服を脱ぎ出した。

まさかの事に驚きながら慌てて目を隠す。


だが、辛そうな、は、早く.....と言う声に俺は困惑しながらも意を決した。

そしてタオルを受け取って。

俺はそのタオルを一階の洗面所で濡らし、持って上がってくる。


「.....せな.....かを.....拭いて.....」


「.....はいよ.....」


まさかの肌が物凄いスベスベだ。

はっきり言うなら、背中美人だと思う。

黒子もデキモノも日焼けも無い。


一切、何も無く、それが少し俺には眩しく見えた。

つまり、色々とヤバイ感じがする。


俺は真っ赤になりながら、目を**にしつつ優しく拭いていく。

すると、瑠衣が無茶苦茶な注文をし出した。


「.....その.....えっ.....と.....背中.....から.....お尻.....辺りも.....」


「それはちょっと.....瑠衣。マズイと思うんだが.....」


「ふけ.....ない.....し.....風呂.....に入れ.....無いから.....」


頭に手を添えた。

そして、和樹、煩悩を切り捨てろと心に言い聞かせて。

南無三と瑠衣の下着をずらしていく。

綺麗なお尻が見得るのだが、これはちょっとやっぱり.....。


ガチャッ


「あ」


「お待たせ.....って.....ぇえ!!!?何やってんの和樹くん!!!」


まさかのタイミングで戻って来る、聖良。

俺は青ざめながら、あ、いや!と説明をする。

と言うか、説明にならない。


その代わりに瑠衣がフラフラしながら説明を始めた。

接がれつつ有る、熱さまシートを戻しながら。


「そ.....の.....体.....を拭いて.....もらって.....ました.....」


「いやいや!私がするよそれは!.....和樹くん」


「は、はい?」


「..........出て行って?」


ニコッと笑みが飛び、あ、はい。

と答える前にあっという間に俺は追い出され。

聖良の軽蔑の眼差しを受けながら、俺の部屋の扉が閉まった。

いや、俺が悪いのか?これは.....?

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