第20話 とんでもない秘密
家に帰り着いた時、瑠衣は複雑な顔付きで更に俯いていた。
俺はそんな瑠衣が本気で心配になる。
何故かと言われると、こんな瑠衣は見た事が無いからだ。
俺に対して何時も隠していたのだろうか瑠衣は。
そんな事を隠しながら、好の事を.....何だろう、本当に俺は。
気付けなかった事が頭にくる。
「.....お兄。.....私.....1日だけでも良い。.....学校を休みたいんだけど.....どう思う?今、心がモヤモヤするの.....」
「誰も反対しないだろ。お前のやりたい様にやれ。俺も協力する」
「.....有難う。お兄.....」
高島のヤツは知った事か。
また触れようとしたらそれなりの制裁が下るぞ俺から。
瑠衣に無理に手を出すのは絶対に許さない。
「.....瑠衣。今から春子さんと親父に話すんだ。絶対に許されない問題だ」
「.....うん.....何だかゴメンね.....私の事に付き合わせちゃって.....」
「謝るなよ。俺の義妹だからな。お前は」
俺は柔和に瑠衣の頭を撫でる。
大切な俺の義妹に脅す様な態度は絶対に許さん。
その様に思いながら、俺は前を見据えた。
☆
結論から言って、瑠衣は学校を休む事になった。
気持ちの整理が必要だと思ったのだ。
俺は全てを説明して、親父が納得した形で有る。
「しかしそれはヒデェな。そんな不良の様な男に.....瑠衣ちゃんがか。腹立つな確かに.....」
「そうだろ?谷」
月曜日、俺は瑠衣に見送られて学校を出た。
そして通学路を歩く。
すると、後ろから声を掛けられた。
「.....こんにちは」
「.....りん!」
「.....りんちゃんか?」
真島りんがミニスカートにTシャツの様な格好で立っていた。
俺の視線に目を泳がせる。
そして俯いて、頭を下げた。
「.....お父さんとお母さんが忙しくて.....でも私、好お姉ちゃん.....のお見舞いに行きたいです。放課後に待ちます。私も連れてって下さい.....」
「.....そういう事か。おう。いいとも」
「.....!.....有難う御座います!」
パアッと明るくなる、りん。
俺はその様子を見ながら、りんを見つめる。
すると、りん、の背後。
そこに誰か.....ってアイツ!
「.....オイ」
「.....何だ。高島」
「.....高島?オイ。高島ってまさか!」
「.....ああ.....俺の義妹を.....好きとか言って迷惑かけているヤツだわ」
谷も警戒する。
すると、りん、が見開いて、高島に話した。
それも滅茶苦茶に有り得ない言葉を、だ。
「.....え?お兄ちゃん.....どうしたの?」
「..........は!?」
「.....は!?」
ゴメン、は!?としか言葉が。
って、え!?オニイチャン!?
俺達は顔を見合わせて、高島を見た。
コイツ、高島って苗字だよな?
「.....その呼び名は止めろっつったろ。.....りん」
「おま.....どういう事だ.....!?高島だろお前!」
「.....高島は簡単に言えば.....真島性と結婚する前の旧姓だ。ほうりつ?上では俺は旧姓を勝手に名乗っても良いらしいんでね。親父の苗字は変えたくないんだわ。俺は母親の連れ子。.....ってか何でそんな事を説明しなくちゃいけない。.....何も知らねぇんだな。カスポンコツが」
「.....コイツ殴って良い?」
谷、滅茶苦茶に腹が立つ気持ちは分からんでも無い。
だけど、マジか?そんな馬鹿な偶然が?
そういや、確かに、りん、兄貴は居るって言っていたが.....まさか。
「.....お前.....りん、の兄貴って事か」
「.....火矢」
「.....あ?」
「高島火矢(たかしまひや)だ。覚えとけボケ」
その様に暴言を吐き捨てる様にして、去って行く火矢。
俺はその後ろ姿を見つめながら、りん、を見た。
りん、は首を傾げている。
「.....何が有ったの?」
「.....ちょっと色々な。.....お前も早く学校に行け」
「.....う、うん」
そして控えめの、りん、は去って行った。
残された、俺と谷は顔を見てそしてため息を吐いて歩き出す。
これから先の事を考えながら、だ。
つーか成る程、火矢の影響で、りん、は暴力気味になったのか。
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