第20話 とんでもない秘密

家に帰り着いた時、瑠衣は複雑な顔付きで更に俯いていた。

俺はそんな瑠衣が本気で心配になる。

何故かと言われると、こんな瑠衣は見た事が無いからだ。


俺に対して何時も隠していたのだろうか瑠衣は。

そんな事を隠しながら、好の事を.....何だろう、本当に俺は。

気付けなかった事が頭にくる。


「.....お兄。.....私.....1日だけでも良い。.....学校を休みたいんだけど.....どう思う?今、心がモヤモヤするの.....」


「誰も反対しないだろ。お前のやりたい様にやれ。俺も協力する」


「.....有難う。お兄.....」


高島のヤツは知った事か。

また触れようとしたらそれなりの制裁が下るぞ俺から。

瑠衣に無理に手を出すのは絶対に許さない。


「.....瑠衣。今から春子さんと親父に話すんだ。絶対に許されない問題だ」


「.....うん.....何だかゴメンね.....私の事に付き合わせちゃって.....」


「謝るなよ。俺の義妹だからな。お前は」


俺は柔和に瑠衣の頭を撫でる。

大切な俺の義妹に脅す様な態度は絶対に許さん。

その様に思いながら、俺は前を見据えた。



結論から言って、瑠衣は学校を休む事になった。

気持ちの整理が必要だと思ったのだ。

俺は全てを説明して、親父が納得した形で有る。


「しかしそれはヒデェな。そんな不良の様な男に.....瑠衣ちゃんがか。腹立つな確かに.....」


「そうだろ?谷」


月曜日、俺は瑠衣に見送られて学校を出た。

そして通学路を歩く。

すると、後ろから声を掛けられた。


「.....こんにちは」


「.....りん!」


「.....りんちゃんか?」


真島りんがミニスカートにTシャツの様な格好で立っていた。

俺の視線に目を泳がせる。

そして俯いて、頭を下げた。


「.....お父さんとお母さんが忙しくて.....でも私、好お姉ちゃん.....のお見舞いに行きたいです。放課後に待ちます。私も連れてって下さい.....」


「.....そういう事か。おう。いいとも」


「.....!.....有難う御座います!」


パアッと明るくなる、りん。

俺はその様子を見ながら、りんを見つめる。

すると、りん、の背後。

そこに誰か.....ってアイツ!


「.....オイ」


「.....何だ。高島」


「.....高島?オイ。高島ってまさか!」


「.....ああ.....俺の義妹を.....好きとか言って迷惑かけているヤツだわ」


谷も警戒する。

すると、りん、が見開いて、高島に話した。

それも滅茶苦茶に有り得ない言葉を、だ。


「.....え?お兄ちゃん.....どうしたの?」


「..........は!?」


「.....は!?」


ゴメン、は!?としか言葉が。

って、え!?オニイチャン!?

俺達は顔を見合わせて、高島を見た。

コイツ、高島って苗字だよな?


「.....その呼び名は止めろっつったろ。.....りん」


「おま.....どういう事だ.....!?高島だろお前!」


「.....高島は簡単に言えば.....真島性と結婚する前の旧姓だ。ほうりつ?上では俺は旧姓を勝手に名乗っても良いらしいんでね。親父の苗字は変えたくないんだわ。俺は母親の連れ子。.....ってか何でそんな事を説明しなくちゃいけない。.....何も知らねぇんだな。カスポンコツが」


「.....コイツ殴って良い?」


谷、滅茶苦茶に腹が立つ気持ちは分からんでも無い。

だけど、マジか?そんな馬鹿な偶然が?

そういや、確かに、りん、兄貴は居るって言っていたが.....まさか。


「.....お前.....りん、の兄貴って事か」


「.....火矢」


「.....あ?」


「高島火矢(たかしまひや)だ。覚えとけボケ」


その様に暴言を吐き捨てる様にして、去って行く火矢。

俺はその後ろ姿を見つめながら、りん、を見た。

りん、は首を傾げている。


「.....何が有ったの?」


「.....ちょっと色々な。.....お前も早く学校に行け」


「.....う、うん」


そして控えめの、りん、は去って行った。

残された、俺と谷は顔を見てそしてため息を吐いて歩き出す。

これから先の事を考えながら、だ。

つーか成る程、火矢の影響で、りん、は暴力気味になったのか。

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