第16話 幼なじみ来襲
本日は両親のいない土曜日の午後、あ、ちなみに泉の母親……あ、今は僕の母親なんだけど、えっと義母さんの仕事は某アパレルメーカーのファッションデザイナー、父は繊維会社の社員、今決めた訳ではないよ……
一応今は義母さんも引っ越して来て今は家族4人で一緒に住んでいるんだけど、なんかショーが近いと言うことで義母さんは、あまり家に居ない、父も大手繊維会社の為に海外と取引する事が多く夜勤や休日出勤が多い。
つまり休日も泉と二人きりで過ごす事になる。
そう僕は平日どころか休日も丸1日泉と一緒で、もう泉が僕にベタベタして来て困ってしまう~~~…………という事はなかった。
「お兄様、申し訳ありません、今日は午後から友達に誘われたので少し外出しますね」
「あ、うん……行ってらっしゃい」
「お兄様はお出掛けにならないんですか? いい天気ですよ?」
「あ、うん、今日はちょっとやる事が」
メイドらのべを読んで、メイド漫画を読んで、メイドアニメを見て、ネットでメイド喫茶関連の検索、あと、ミカンちゃんのSNSも見ないと、ああ、忙しい、忙しい。
「そうですか、では早めに帰って来ますね」
「うん、でも僕は大丈夫だよ、いつもご飯とか作って貰って悪いし、ゆっくり楽しんでおいで」
「お兄様! ありがとうございます」
目をうるうるさせて僕を見つめる泉、ああ僕の天使……、そんな目で見ないで、そんな潤んだ瞳で見つめられると、僕は勘違いして僕の天使を、泉を抱き締めたくなっちゃう……、いや違う違う、勘違い勘違い、泉は妹、落ち着け僕……
「うん、本当……たまにはゆっくりしておいでね」
「はい! お兄様!」
と、いう事で泉は出かけて行った…………うふ、うふふ、うふふふふふ、さあ読むぞ! 見るぞ! ○○するぞ!
僕は部屋に籠る為にコーヒーを入れるべく、お湯を沸かしにキッチンに行く。
前からなるべく綺麗に使う様に心がけていたが、やはり家に女の人がいると、キッチンはより綺麗に、より明るくなっている。
僕はお湯をケトルで沸かし、蒸気で沸騰した事を告げる笛が鳴るのをコーヒーを入れる準備をしながらじっと待っていたその時。
『ピンポーーーン』
と笛でなくチャイムが鳴った。
「あれ? 今日なんか来るっけ?」
泉は3次元にはうるさいが、2次元はあまり分からないらしく、漫画や、らのべ、アニメなんかは没収しない、なので最近もっぱら買うのは2次元メイド関連本ばかり……でも!
「ラッキー、ゆっくり新作を読める!」
僕はそう喜びながら、玄関に向かい扉を開けた。
「ヤッホーーー、来ちゃった」
扉の向こうには、宅配のお兄さんではなく、にこやかに手を降りながら立っている僕の幼なじみがいた。
「あ、愛真!」
「ヤッホー真ちゃん、来たよ~~」
「えええええええ!!」
いや聞いてない、て言うか聞ける訳無いんだけど。
「積もる話しもあるし、真ちゃんの家でゆっくり話そうかなって、来ちゃった、あ、あのちょっと怖い、妹さん居る? 彼女も一緒に食べようと思ってケーキ買って来たんだけど~~~」
持っていたケーキの入った紙箱を目線の高さ迄持ち上げながら僕の背後を伺う。
「あ、いや、今さっき出かたんだけど」
「Oh! ラッキー」
「あ、いや、妹だけじゃなくて今親も居ないし」
「え?、それはいつもの事だったじゃん、おじさんいっつも居なかったよね~~真ちゃん寂しくて私の事中々帰してくれなかったし」
「え、いや、そ、そんな事は」
「えーー?、いっつも帰り際、私を壁ドンして、今夜は……お前を帰さないって」
「言ってない! 言ってないし、やってない!」
小学生だよ、やるわけないよ!
「まあまあ、そういうのも含めて、とりあえずお邪魔しまーす」
「いや、本当、まずい……」
親よりも泉に見られたら、愛真を家に入れたのがバレたらヤバい、
「あれ? 真ちゃん、なんか鳴ってない?」
「え? ああああ!」
僕は慌ててキッチンに走り急いで火を止め、返す刀で振り返り愛真の侵入止めるべく玄関に向かおうとしたが、時既に遅く愛真は勝手知ったる他人の家、もうリビング入り込みソファーに座っていた。
「ちょっと、て言うか愛真!」
「真ちゃん、私、紅茶かハーブティーがいいな~~」
「ううう、……ハーブティーなんてないよ」
多分……
「じゃあ~~お茶でも良いかな? コーヒーあんまり好きじゃないからコーヒー以外でお願いね、あ、あとケーキのお皿とフォークもね~~」
「ぐうううう、わ、分かったよ、今持って来るから、食べたら帰ってよ!」
「よろ~~~~」
僕を見ないでケーキの箱を開けながら、適当に答える愛真。
『さいしん、私カルピスがいい』
『えーーオレンジジュース持って来たのにぃ』
『カルピス濃いめよろ~~~』
テレビを見ながら僕を見ないでそう言っていた小学生の愛真と今の愛真がダブって見えた。
本当こういう所は変わってない! 図々しくて、人の領域にズカズカ踏み込んでくる、小学生の時から何も……
僕は憤然とするも、小学生の頃から変わらない愛真に少しホッとしながら、キッチンに向かった。
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