第三章

第三章

今日も電車から見える夕焼けを眺めながら、ひとり呟く千恵子だった。

「あたしは、無理かなあ。」

なんて呟いても意味はないのは知っている。

でも、今無理だなんて言ったら、家族やほかの人の期待を裏切ることになるし。あれだけ期待して、あたしをここまで出してくれたのに、もう、ダメだよ。

もうやってけないっていうか、ダメな気がするよ。

これまで負けない負けないと信じ込んで、一生懸命やってきた。でも、もう限界かなと思う。

あたしには、やっぱり音楽という道は無理だったのかな。

なんであなたは!なんていう先生の声が今でも頭の中で聞こえてくるような気がするんだ。ほかの子は、なんとなくこなせるところなのに、なんで私にはできないのかなとか、そういう気持ちばかりが頭をよぎってしまうのだ。

どうも家に帰るのは嫌だなあなんて考えていると、いつの間にか最寄り駅を通り越してしまって、わけのわからないところに出てきてしまった。

あらら、どうしよう。気が付いたときは、すでに遅し、自分がどこの駅にいるのかなんて忘れてしまっている。

とりあえず、すぐの駅で降りて、駅員さんに聞くしかないかと思った。

数分後に、電車はある駅で止まった。しかし、千恵子が乗っていた車両は最悪なことに最後尾であり、駅名の表示板ははるか遠いところにあった。

電車の中でここは何という駅なのか、確認しようとしたところ、

「お客さん、終点ですよ、降りてください。」

車掌さんが電車の中を見回りにやってきたので、思わず怪しまれると思い、電車を降りてしまった。そのまま急いで人垣に連れだって、改札口を出てしまう。

この駅はふじと書かれていることは確かだが、何県の何市にあるのかとか、全くわからない。もしかしたら、とんでもないところに乗ってしまったのかもしれない。

スマートフォンを出して、駅の情報を調べようとしたが、すでに三時間以上電車に乗車していたため、とっくに電池が切れてしまっていた。

こうなったら、現代版迷子と言わざるを得ない。もうこれでは連絡を取ることも、帰ることもできないとして、もうこの駅で寝泊まりするしかないか!と覚悟を決める。

「よう、姉ちゃん。」

不意に後ろから声がした。

「何を困ってるんだ?」

後を振り向くと、一人の車いすに乗ったおじさんが、そこにいた。

「あの、すみません!」

思い切って、勇気を出してそう言ってみる。車いすのおじさんだから悪い人ではないだろうとある意味賭けに出るようなつもりで聞く。

「ここは何という駅なんですか?」

「ここ?富士駅だよ。」

親切なおじさんだった。丁重に答えてくれる。

「じゃあ、小淵沢駅まで帰るにはどうしたらいいんですか?」

「小淵沢?どこから乗ってきた?」

「はい、甲府駅からです!」

「あ、なるほど。君は小淵沢に行こうと思って、のる電車を間違えたんだね。まあ、よくあることだが、」

よくあることでは多分ないと思うのだが、おじさんは一生懸命対策を考えてくれているようである。なんだか申し訳ない気がしてしまう千恵子だった。

「気にするな気にするな。誰でもそういう間違いはするから。そうしたらどうしたらいいのか考えればいいんだよ。ただね、僕も読み書きができないので、、、ちょっとまっててな。」

そう言っておじさんは近くにあった駅事務室のドアをどしどしとたたいた。

「おい、駅長いる、駅長!ちょっとさ、のる電車を間違えちゃったんだって!なんとも甲府から、小淵沢に行くつもりだったのが、なんかこっちへ来ちゃったらしいのよ。小淵沢への行き方教えてやって!」

廻りに人が誰もいないのがよかった。もし誰かいたら、それを聞きとられて、あの女の人馬鹿だとか笑われるかもしれなかった。

「なんですか。あんまりどしどし叩くと、ドアが壊れちゃいます。」

そう言いながらも駅員帽をかぶって、老駅長さんが出てきてくれた。

「だから、さっきも言ったでしょ。小淵沢に帰る方法、教えてやってよ。のっかる電車を間違えたんだってよ!」

「はいはい、わかりました。えーと小淵沢ですと、まず甲府に戻っていただかなければなりませんので、あと一時間後の普通電車が甲府まで直通しますから、それに乗っていただいて、そして、甲府で中央本線に乗り換えていただけますかね。」

「駅長、中央本線に乗り換えるにはどうしたらいいんだ?」

「はい。中央本線の一番線か、三番線に乗ってくだされば、小淵沢へ行く事が出来ます。ただ、自動切符販売機では、甲府までしか切符が買えないので、甲府駅で一度買いなおすようにしてください。」

親切な駅長さんだった。何も変な顔をしないで教えてくれるんだから。

「聞いてよかったろ。じゃあ、その通りに切符買って、今度こそ間違えないように、気を付けて帰れよ。」

と、思ったが、切符の販売機はどこにあるのかも分からなかった。

「あとは連れてってやるよ。悪いね駅長。急がしい時に呼び出してしまって。」

「はいはい。まあ、たまにはこういう事もあるから、いいのですが、あんまりドアを乱暴にたたくのはやめてくださいよ。」

老駅長は、再び駅事務室に戻っていった。やっぱり、たまにしかないことだよなと思う。それはそうだよな。乗る電車を間違えたんだもん。そんな間違いする人、今時いないよな。

「よし、じゃあ、切符を買いに行くか。」

おじさんが、車いすで切符売り場に行くので、千恵子もそのあとをついていく。

「ほい、ここだ。えーと甲府駅まで何円なんだろ。」

運賃表を見ると、1660円と書かれていた。急いで財布を広げると、1000円札がない。スイカで支払おうと思ったが、スイカの残額は50円しか残っていなかった。そうなると、確実にお金がなかったので、今日は小淵沢には帰れないなということがわかる。学生の身分では、クレジットカードの契約もしておらず、もう仕方なく、どこかの公園で野宿するしかないかと確信する。

「どうしよう、、、。」

「どうしたんだよ。」

また声を掛けてくるおじさん。

「いや、大丈夫なんですが、、、。」

まさかお金が足りないなんて言えない。それよりも、早く帰ってもらいたいと焦る。

「大丈夫じゃないだろ?どうしたんだ?」

おじさんは、優しく聞いてくれる。決して怒鳴るようなこともないし、馬鹿にするようなこともしない。

「僕は、馬鹿だから答えを貰わないと、質問をやめられない性分なんだよ。」

今度は面白可笑しくして言ってくれた。

「馬鹿は私のほうですよ。もう、お金がなくて、切符が買えないんですよ。これじゃあ、援助交際でもしなきゃなりませんね。」

もう、こうなったらダメもとで答えをいってしまえ!と思って、答えを言った。

「何だ、そんなかんたんなことか。それじゃあもっと安全でいいところに来な。ぼくのうちに空き部屋があるから、泊ってくれていいよ。」

「へ、あるんですか?」

「あるよ。まあ、だいぶながく誰も使っていないから、ちょっとほこりがたまっているかもしれないけどさ。」

よし、もうこのおじさんに従おう!と心に決めた。野宿をするのも怖いし、売春をするのはもっと怖い。それなら、この親切なおじさんに従うしかない。

「じゃあ、お願いしてもいいでしょうか?」

「あ、いいよ。そんな丁寧にお願いしなくても。まあ、きったない部屋で申し訳ないけどさ、掃除機貸すから、使ってくれ。」

「掃除機なんて、汚くても私、寝れますよ。」

「ダメダメ、若い女の子がそういうことしちゃいかん。じゃ、僕の家へ来てくれや。一緒にタクシーに乗って帰ろうぜ。」

「はい、わかりました。おじさ、、、。」

と言いかけて、おじさんと言ってしまったら失礼かもしれないと考え直す。

「あ、おじさんなんて言わなくていいよ。僕の名前は影山杉三で、あだ名は杉ちゃんだ。苗字でも名前でも呼ばれるのは嫌いだから、杉ちゃんと呼んでくれ、杉ちゃんと。一度覚えていただいたら、二度と間違えるのはやめてくれよ。」

おじさんがそういったので、千恵子も名前を名乗ることにした。

「ありがとうございます!私は、松井千恵子と申します!職業は、甲府市内にある山梨大学の教育学部で音楽を学んでいます!」

「千恵子さんね。とりあえず、タクシー乗り場に行くか。積もる話はそのあとで。」

「はい!」

杉三と千恵子は、とりあえず車いすエレベーターでタクシー乗り場に行った。もちろんみんなのタクシーと呼ばれている福祉仕様のユニキャブタクシーしか乗れなかったが、タクシーはすでに待っていてくれた。杉三は、運転手に乗せてもらって、千恵子は助手席に乗せてもらうと、タクシーが動き出した。

「ところで、何を専攻しているんだ。音楽と言ってもさ、いろいろあるでしょ。」

杉三が不意にそんなことを聞く。

「まあ、専門的な大学ではないですけど、一応ピアノです。」

「へえ。将来はピアニスト?」

「いえ、教育学部ですからまた違いますよ。私は、あくまでも音楽の先生になりたいなと思っていて。ピアノは補助的な物かな。」

「そうか。すごいな。まあ、学校の先生にできることは限られるかもしれないけどさ。よい先生を目指して頑張ってやって頂戴よ。」

「はい。」

その時はさほど重大な台詞ではないと思ったが、後で意味が変わる。

「お客さん、この辺でいいですかね。」

間延びした声で運転手が言った。

「もうバラ公園は通り過ぎましたが?」

「お、ありがとう。じゃあ、降ろしてくれや。バラ公園過ぎたらもう近くだからな。」

「はい。毎度有。」

タクシーは道路のわきで止まった。

「えーと、金がわからなくなったら、このカードを出せって蘭が言ってた。今年から、このカードでタクシー乗れるようになったから、あんまり苦労しなくなったけど。便利なものができたんだな。買い物も、わからなくなったらこれでできるし。」

と言って杉三はスイカを取り出した。最近ではこの富士市でも、スイカ払いに力を入れるようになってきている。だから、現金の計算ができない杉三も、多少の買物であれば、スイカで支払うことができるようになっている。

「はい、大丈夫です。じゃあ、領収書をお渡しします。」

運転手は、スイカを読み取り機にかざして、領収書と一緒に杉三に返した。

「おう、どうもありがとう。じゃあ、降ろしてくれよ。」

「はい、お待ちください。」

彼を降ろすときは千恵子も手伝った。二人は運転手に丁寧に礼を言って、また通りを歩き始めた。本当にバラ公園からはすぐ近くで、杉三の家にはすぐについた。

「どこ行っていたんだよ。あんまり遅いから、心配だったぞ。」

杉三の家の玄関先に蘭が待っていた。

「あー悪い悪い。駅でこの人と、友達になったので、しゃべってきたんだ。」

そういって杉三は千恵子を顎で示した。

「何だ、また女の人を連れてきたのか。」

「そうだよ。えーと、松井千恵子さんだっけ。職業は、甲府の音楽学校に通っているらしいぞ。」

「甲府に音楽学校なんてあった?」

首をひねる蘭に、

「あ、山梨大学の教育学部ですよ。」

千恵子は急いで訂正した。

「あ、山梨大学ね。ていうと、国立大学ですか。そうなると、かなり頭がいいということになりますな。もしかしたら、学校の用事なんかで富士市に?」

「いえいえ、ちょっと私用で来たんですが、泊るところが見つからなくて。そこへ偶然杉ちゃんと知り合って、泊めてもらうことになりました。」

「あ、そうですか。わかりました。杉ちゃん、あまりにも強引で、ちょっと引いたかもしれないけど、決して悪いようにはしませんので、どうぞ入ってください。」

まさかお金が無くなったなんてとても言えない。

「ありがとうございます。お兄さん。私は、松井千恵子といいます。今日、お世話になります。」

「僕は蘭の弟じゃないよ。友達だからな!」

千恵子の挨拶に杉三は急いで訂正した。

「まあいい。とにかく中に入れ。今からカレー作るよ。ちなみにこの人は伊能蘭で、僕の無二の親友だ。さっきも言ったけど、僕たちは悪人じゃないからさ。安心して泊って行ってね。」

「はい。」

帰りの旅費をどうしようか、彼女は一生懸命考えながら、蘭に促されて中に入った。

中に入ると、杉三はすぐに台所に行ってカレーを作り始める。暫くすると、カレーのにおいが部屋中に充満して、千恵子は余計に食欲が出た。

「おい、蘭。ちょっとお茶でも入れてやってくれよ。冷蔵庫に冷茶がはいっていると思ったからさ。のどが乾いたら、かわいそうじゃん。」

「あ、お茶なら私やります。車いすの方にわざわざ。」

千恵子は、急いで椅子から立ち上がろうとしたが、急ぎ過ぎて鞄を落としてしまった。その中身がひっくり返って全部出てしまう。

「すみません!本当におっちょこちょいで!」

急いで中身を拾い上げて、無理やりしまい込むが、

「お財布、ここにありましたよ。」

蘭が足元にあった財布を拾って彼女に渡した。その時中身はまるで空っぽで、ほとんどカード類ばかりであることに気が付いてしまった。

「おかえりはどうするんです?」

心配そうに蘭が聞いてくる。

「あ、コンビニなんかで降ろしますから。」

とはいったものの、果たしてそれが足りるかが不明なほど、口座にも残金は少ないことを思い出す。

でもそれで何とかしなければと思い、こうなったら日雇いに行くか、サラ金に借りることにしようと考えた。

「そういえばそうだっけね。切符が買えなくて困ってたね。ちなみに大学は次にいつ行くの?」

不意に杉三に言われて

「まあ、都合のいいことのようですが、ほとんど単位は取得しているので、来月までに帰れば大丈夫です。それに、一人暮らしなんで、いつ帰っても大丈夫だし。」

そこだけは正直に答えを言った。

「ははあなるほど、日本の大学は変わっているな。ドイツではぎりぎりまで通っていたんだけどねえ。」

まあそこは国によって学校制度が違うので仕方ないことだった。

「よし、いつ帰ってもいいんだったら、ちょっとおもしろいところに行ってみない?」

杉三がそういうので、思わずぎょっとする。もしかしたら、売春とか、暴力団なんかに売り渡すつもりだろうか?

「杉ちゃん、どこへ連れて行くんだよ。」

蘭も心配そうに言うが、

「製鉄所。青柳教授も喜ぶよ。ただでさえ掃除人がいなくて困ってるでしょ。水穂さんだって、庭掃除が許されただけで、あとは全くできないんだから、連れて行ったほうがいいぜ。」

と、杉三は、カレーを盛り付けながら当り前のように言った。

「こないだなんて、ブッチャーが定期的に訪問して、掃除をやっていると言っていたよ。前に雇っていた人もやめちゃったし、今できる人誰もないもん。まあ、やめていったほうが、新しい目標が見つかったということなので、喜ばしいことだと教授は言っていたけどね。」

そこは蘭も知らなかった。確かに、該当者がいないし、仕事内容が地味であるせいで、家政婦紹介所などにお願いしても、名乗り出てくれるものがないので、青柳教授も困っていることは聞いていたが。

「そうか、確かにブッチャーにわざわざ来てもらうのも申し訳ないもんな。彼も商売に専念したいだろうしね。じゃあ、本人に同意が得られたら、いってもらうか。」

「い、いったい製鉄所って、何をするんですか。」

千恵子は恐る恐るいう。

「何にも怖いところではないですよ。ただ、学校とか社会で少し疲れてしまった人たちが集まって、ちょっと休んでもらうというコンセプトの施設です。製鉄所というのは、そこで希望すると、男性に限りますが、たたら製鉄という大昔の製鉄を体験できるシステムになっているからで。」

蘭が説明してくれたが、鉄の事なんて千恵子は全く知らなかった。

「まあ、鉄を作るのは男性だけなんで、千恵子さんは、気にしないでいいのですが、何しろ、建物が広すぎて、掃除をしてくれる人が、今誰もいないのですよ。ちょっと事情があって、やたらに求人サイトに出すわけにもいかないし。あ、別に洗脳するとか、おかしな思想を植え付けるとかそういうことは、製鉄所では絶対にしませんので、安心してくださいね。それに、衣類や下着は、製鉄所の近くにしまむらもあるので、そこで買ってくれていいですし。」

まあ、そういうことは友達の家に泊ったりしたときにやっていたので気にならないが、やっぱり怖いなとも思ってしまう。

「蘭も説明が本当にへたくそだな。製鉄所でやっていることはその逆さ。悪い学校や、会社とかで、変な劣等感を植え付けられて、洗脳されている人たちをそこから解き放ってあげること。これが青柳教授たちの目指していることじゃん。たたら製鉄の体験はその一部として行われているだけのことだよ。」

杉三がカレーの乗った皿をトレーに乗せて、車いすで運んできた。

「それより、お茶を出してくれないもんかな?」

「あ、やだ、すみません。すぐに出してきますよ、私。」

千恵子は急いで冷蔵庫のあるほうへ行き、中から冷茶を出した。蘭が用意した、三つの湯呑みにそれを注いで、急いでテーブルに置いた。

同時にカレーの入った皿が目の前にどしんと置かれる。

「ほら、食べろ。若い人なので、少し食べ応えがあったほうがいいと思ったから、肉を牛肉の塊にさせてもらった。いわゆるテンダーロインを使ったので、あんまり脂質は多くないから、体型にも響かないよ。」

「確かにそうだけど、体に響かないって、ちょっと失礼じゃないか?」

「いや、若い人は意外に食べ物と体型の事を気にするもんでさ。ほら、すぐ太るからといって、肉を撤去したりするじゃんな。特に、大学生くらいの年だとそうなりやすいかなと思って。」

「そうだけど、千恵子さんは肥満体ということはないじゃないか。あんまり変なところで気を使うと、かわいそうだぜ。」

杉三と蘭の会話に、千恵子は思わず笑いだしてしまう。

「まったく、蘭も本当に表現が下手だな。肥満体なんて、なんだその直接的な言い方。そのほうが余程傷つくぜ。」

「すまん、また貧乏くじを引いてしまった。」

「まあいい。とにかく食べろ。冷めるとまずくなるぞ。」

「はい、いただきます!」

ムキになって渡されたさじを取り、千恵子は思わずカレーを口にした。

「やだ、おいしい!大学の学食で出されるよりも、もっといい味がするわ!」

「確かに、大学の食堂は、粗末なものが多いですよね。ドイツの大学ではわざわざ外へ出て、レストランで食べていました。」

「だから、やたらにドイツの話はするもんじゃないよ。すまんね、蘭のやつ、日本の大学のことはまるで知らないもんでね。」

「まあ、そんなこと、気にしません。とにかく、このカレーが本当においしいので、感激ですよ!もう、酷いときはカロリーメイトで食事代わりにしてましたから。もう、お洒落とスマホ代で、それどころじゃないんですよ。」

千恵子が、学生の食事事情を話すと、

「どんなに優れた栄養食であっても、カレーにはかなわないさ!」

と、杉三がけらけらと笑って、肩を叩いた。

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