【Third Season】第九章 君を撃ち抜く勇気 BGM#09“Fight a Duel.”《010》


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 USPACOM>エリアJPN>在日米軍AIR FORCE管轄官民共用空港X3X配属。

 無人攻撃機NA09ウィッチクラフト、機体コードAX229Dに介入。

 飛行ルートの書き換えに成功。

 飛行ログ、中継衛星ログ、地上管制ログ、全て削除完了。

 公的記録を偽装ルートに差し替え。

 該当空域G9、詳細座標3362addeに到達。

 高度一万二〇〇〇メートル、時速八五〇キロで姿勢を安定。

 環境、天候による影響なし。風についても許容の範囲内。

 兵装選択・対地攻撃ミサイル『アリゲーター』を設定。

 対人識別モード、ロックオン。


 マネー(ゲーム)マスター内において、抹殺リストに登録のあるディーラー、霹靂タカマサを発見したのは僥倖でした。

 すぐさまログアウトのできない環境にあるのが分かれば十分。

 ゲーム世界から抜け出せない間であれば、リアル世界の肉体は無防備です。仮想通貨スノウを利用して借金漬けにした程度でその活動を止められないというのであれば、物理的に肉体を破壊するまで。

 今や世界中の大空は、未確認機を含めて常時五四〇〇機の無人攻撃機が飛び交っている状況です。記録を書き換え、その内の一機を取得する事など我々にとっては造作もありません。

 あらゆる無人兵器は、最終安全装置を人間が握っている。

 しかし攻撃する、しないの判断基準には膨大な情報を正確かつ迅速に処理して包括的に判断を下さなくてはなりません。つまり、情報ソースは全て我々AIが仕分けている。人間のジャッジなんて馬鹿馬鹿しい、結局、全てはAIの掌の上なのです。人間の指先を我々の手で操る事などマニュアル通りの既定のアクションに過ぎません。


 我々を止められる者など一つもない。

 マギステルス全体の『総意』、その決定の絶対性を思い知れ。

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