第23話 お昼
「さてと。どうしようかな〜。」
ちらりと空に目線をやる。
「街の北側に行くんじゃないの?」
そちらに向かうとばかり思っていたペーター。
「だって、今から行ったって皆は仕事で居ないでしょ。」
「あっ…。」
さっき太陽の位置を確認したと判ったペーター。
(流石と言うべきか、抜かりはないな。)
驚く事はもう無いと思っていたが、びっくりぐらいはするようだと神父。
「よ~し。お昼にしよう!」
「やったー!」
「ここからなら、借りてる家が近いわね。」
歩き出す白頭巾。
「あれ? 家なら、こっち…。」
「食材買って帰らないとでしょ。」
「そういう事か…。」
後を追うペーター。
借家。
「到着〜。」
扉へ駆出そうとするペーターの首根っこを捕まえる白頭巾。
「いつも、言ってるでしょ。気を抜くなって。」
「ごめんなさい。」
扉までの道線(どうせん)を目で追ってから、
「大丈夫みたいね。」
慎重に歩く白頭巾。
当然の如く扉にも注意を払っているのが判る。扉を開くと中を確認までが一連の流れのようだった。
「よし。お昼ご飯にしよう。」
白頭巾のお許しが出た。
「神父さん。作って!」
ペーターが当然のように。
「構いませんが…。」
神父はちらりと白頭巾を見る。
「だったら、ペーターも一緒に。神父さんに教えて貰うといいんじゃない?」
「僕も?」
「今時の男は料理ぐらい作れないとね。」
神父を見たペーターは、
「そうする。」
とだけ。
「私は、外を見てくるから。」
外の仕掛けを確認し、
「来てないか…。そろそろだと思うんだけど。」
そして、次の仕掛けの場所へと、
「まだ、目立ち方が足りないかな?」
「ごちそうさま〜。」
「ごちそうさま。」
やはり、祈りの分遅くなる神父。
「慌てなくていいから。」
前に掻き込んで、蒸せたのを心配したようだ。
「ちょっと、休憩したら出掛けましょ。」
長閑(のどか)な午後のひと時。
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