夜明けのネーデルクス:彼岸にて

 龍が、虎が、蛇が、僅かでも世界と繋がった。

 三つが同時に技を介して――

「あれ、クロード? シルヴィも、何で? ってかその髪型やばいよ」

「む、何故ここにディオンが? クロード、とりあえず死になさい。恥です」

「おい、クソかっけえだろこの髪型! ってかそれどころじゃ――」

 遠い地平の果て、無数の背中が其処に在った。

「……ここは、あの時の」

 クロードは龍ノ型を得た時の情景を思い出していた。あの時よりもはっきりと見える多くの背中。様々な背中が其処に在った。一つとして同じモノはない。

 その末席、最も後方に一人の女性がいた。

「頑張ってんねえ、ディオン」

「……義母上」

「そう呼ぶなっつってんだろ」

 べちりとデコピンされるディオン。いつもの飄々とした様子が欠片も見受けられない同僚の姿に目を白黒させるクロードとシルヴィ。

「ご、ごめんなさい。でも、何で」

「一応、三貴士だったしな。末席中の末席、最弱の三貴士たあこのフェンケ様のことよ。死に様も無様極まるってね。ほいほい、さっさと行った行った。あんたらの席は此処じゃない。もっとずっと『先』だっての」

「あの、僕は」

 フェンケが意地の悪い笑みを浮かべながらディオンの髪をくしゃくしゃと撫でまわした。涙を浮かべるディオン。その姿は母と子にしか見えなくて、どうにもそういうのに弱いクロードはもらい泣きしていた。シルヴィは特に興味なし。

「あたしやあんたの先生はちゃんと理解してる。蛇の生き辛さも、それでも足掻いてやろうって不器用さも、全部さ。あんたの無様な足掻き、しっかとこのフェンケ様が見ていてやる。だから、選んだ道を突き進みな。思うが儘に」

「……はい!」

 ディオンは涙をぬぐい前を向いた。その姿を見てフェンケは微笑んだ。

「少しは男前になったじゃねえの」

「今なら惚れてくれますか?」

「バーカ、息子に惚れる母親が何処にいるんだっつーの」

 冗談の返しに、ずっと聞きたかった言葉が聞けて、ディオンは満足げな表情で前へと歩を進めた。母を知らないディオンにとって破天荒で好き放題、我儘でおまけに裸族の女性は、それでも母親であったのだ。

 夢でも息子と言ってもらえた。その幸福たるや――

「頑張りな」

 その言葉が背中を押す。ディオンの前進に釣られるように他の二人も背中をかき分けて前へと進む。絵や本の中に残された人もいれば、何一つ残っていない人物も混じっている。それでも彼らは一様に前を、彼らには背中を見せてくれた。

 色んな武人がいる。前へ往くほどに強い雰囲気が彼らを魅せる。

「あら、なかなか美しくなったじゃない」

 白い装いのオカマ。やたらガタイが良い。クロードはそそくさと横を通り過ぎる。かつて殺されかけた記憶が甦ったのだろう。

 それを見てオカマはケタケタと笑った。

「へえ、若いですね」

「ああ、将来有望だ」

「いい時代に生まれました。真の武人にとって平和な時代とは春のようなもの。技の研鑽に全てを注げる。兵法も、畑違いの政治も、武にとっては無駄ですから」

「俺は戦場でこそ輝くタイプだからな。お前とは違う。お前も生まれた時代が違えば、もっと『先』にいたものを。俺のような粗忽者と隣り合うことも――」

「であれば僕は生まれる時代を間違えなかった。貴方の隣にいることだけが僕の全てです。比翼あって初めて、僕は生きていたのだから」

「そうか」

 凄まじき達人二人の横を三人は通り過ぎる。

 黒き装いから立ち上る力は二つが絡み合いとてつもない高まりを見せていた。

「おうおう、ド派手だな坊主ども。ごぼう抜きたぁいい度胸だ!」

 もはや前には両の手で数えるほどしかいない。

 ド派手な装いの男が仁王立ちで待ち構えていた。諦めていた継承、待ち望んでいた邂逅、そして願い続けてきた次なる時代の到来。同時に三つ、上出来が過ぎる。

「俺も、壁を越えられたのは最後の一瞬だけだった。味方に槍を向けて、味方の槍で死んだんだ。あの戦いに悔いはねえが、あの選択には悔いしかねえ。交わすべきは槍じゃなくて言葉だったんだなって、お前らを通して爺さんが繋げたモノを見て、思った。動機はどうあれ、きっと、話し合う余地はあった」

 凄絶な死闘。その果てで墜ちた龍。この場にはいない男もまた唯一人への愛によって彼岸に踏み込んでいた。この場に居ない理由は此処にいる者たちと理由が異なるため、ゆえに永劫再会出来ぬのはまさに悲劇なのだろうが。

「三人とも良い槍だぜ。人は誰しも同じじゃない。色々、なんだ。槍も同じだ。ド派手な槍もあれば地味ィで根暗な槍もある。それでいい。それがイイんだ。そのために先人は四つの色と下地を基礎として残した。さあ、この色々を使って好きに絵を描けってな。んまあ、ちーっと伝わり切ってないところはある。一色だけで奇抜な絵を描くのも、まあ芸術ではあるんだろうが、戦場受けはしねえわな」

「何すか、戦場受けって」

「ガハハ! 知らん! とにかく俺は感動してむせび泣きそうなんだ。さっさと前へ往け。この先はマジのバケモンしかいねえぞ。俺も越えたが、あの人らを見てると其処が始まりだって分からされる。漢は背中で語るってな具合よ」

「……始まり、ですか」

「ド派手なスタートだ。楽しいぜ、技の追求、武の求道ってのは」

 バン、と男はクロードの頭を叩いてぐしゃぐしゃと撫でまわす。

「テメエの龍と俺の龍は違う。お前さんの中に流れるもう一つのでっけえ何か。焦がれた背中は一つだけだったか? 手を伸ばした『先』には誰がいる? テメエの全部を槍に乗せろ、俺の龍を踏み台にして、全部まとめて超えて征け!」

 髪型が崩れ、剥き出しのクロードが一歩、踏み出した。

 超えられた龍は静かに微笑む。

 ようやく継承が成ったのだと、彼らの背中で分からされたから。

「ぐっ!?」

 突如、視界が開ける。赤き男と青き男を抜けた先、ただ一歩踏み出しただけで其処に分厚い壁があるような錯覚に陥る。

 一歩、二歩、これ以上、どれだけ足掻いても動けない。

「くそ、何だ、この感覚は」

 三人の先頭はクロード、一歩後ろにシルヴィが、その半歩後ろにディオンが並ぶ。鼻息荒く前に進もうとしても一歩も足が動かない。

「嫌な並びだね、これ。僕の感覚と同じ、だ」

「クロード、場所を替わりなさい。今の私ならば余裕で勝てます。この位置取りは不愉快です。交替! 交替! 交替!」

「いやぁ、後ろに下がる気はねえよ。つーか、前が拓けて分かった。マジで、始まりじゃねえか。クソ、遠すぎんだろ、テッペン!」

 クロードたちの前には三つの人影があった。二つとの距離もそれなりに離れているが、先頭を征く男の背中は遥か彼方。信じ難い距離である。

「そうか。これが答えか」

 一番彼らに近い老人でさえ十歩以上の距離。黄色い装いで若き三人を見る眼はどこか悲哀に満ちていた。されど、これが答えである以上、抗弁する気も問答を交わす気も無いのだろう。静かに前を向く。

「ティルザの娘か。あの鼻たれが産んだにしては小さいが、嗚呼、器はデカいか。上々、なのだろうなァ。阿呆に授けた龍に陰気臭い蛇、どいつもこいつも面白いじゃねえか。ちゃんと俺の槍、だ。なら、何も言うことはねえ」

 シルヴィは先頭から二番目、くたびれた老人を見て背筋を正す。他の二人も一瞬、重なった眼光だけで彼我の戦力差を理解した。そしてもう一つ、ただ其処にいるだけで彼らは理解する。彼が虎の王、ティグレ・ラ・グディエなのだと。

「おい、シャウハウゼン。客人だぞ」

「えー、ちょっと遠くないですか? ティグレ様」

「テメエが前に行き過ぎなんだよ。俺と場所替われ! 交替交替交替!」

「んもぉ、相変わらず負けず嫌いだなあ。ティグレ様らしいですが」

 ふわりと振り返った一人の男を見て、彼らは刹那の間に理解した。

 この金髪碧眼の男こそシャウハウゼンなのだと。

「あ、はは、そりゃあ、神にも祀り上げられる、か」

「信じ難い。本当に人ですか、あの御方は」

「知るか。クソ、誰だよ、あの怪物を倒したのは。どっちも人間じゃねえ」

 シャウハウゼンと対面し彼らは知る。あまりにも遠い技の極みを。

「ノン。違うな、間違っている。ここもただの道半ば、でしかない。技に終わりなどあろうか。現に私はストライダーの末裔に敗れ去った。まあ技では負けていない。技では完全無欠に圧倒してやった。力で多少押されたが、負けた理由はうっかりさんだ。負けたが負けていない。いいね、理解した?」

 途中で大幅に趣旨がズレた気が――

「負けず嫌いはどっちだって話だろーが。戦闘中なんだろ? あまり長引かせてやるな。途切れてしまえばひよっこ共はすぐ死ぬぞ」

「この程度で途切れて死ぬならそこまでの話。未熟が過ぎる」

「過去の幻影に途切れて死んだテメエが言うかよ」

「あ、それ言わないって約束したじゃないですか!」

「うるせえ、さっさと話しを終えろ。死後には酒が無くてうんざりしてんだ」

 ティグレの癇癪にシャウハウゼンは髪をかきながら彼らを見る。

「あー、まあ、それなりのレベルに達したことは嬉しい。ちょっと遠くで顔が見辛いんだけど、もうちょっとこっちに来れない? 無理? 下手くそだなあ」

「「「ぐ、ぐぬぬ」」」

 悔しがる三人を見てシャウハウゼンは笑う。

「でも、負けず嫌いなのは高得点だ。技に終わりはない。私は継承のために基礎を残したけど、それはあくまで私たちが積み上げてきた中での、伝えたいことであって正解とは限らないわけだ。神の槍もそう、私に、俺に最適化させた槍を落としたモノではあるが、別に正解のつもりで作ったわけじゃない。後世に残して欲しいと頼まれたから作っただけ。あまり意味があるとは思わなかったけれど。キュクレインみたいに骨格レベルで似ている人間ってあまりいないでしょ? そんな感じで正解なんてつまらないって言ったらいつもキュクレインの奴が憤慨していたけれど」

 正解なんてつまらない、其処に関しては三人とも同意見であった。

 ゆえに彼らは正常な人間にとっては天才という名の異分子なのだが。

「まあ、自分の槍ながらバランスはとれているし、ネーデルクスの槍を学ぶには最適だとは思う。其処から自分の色を模索しても良い。四つの型を修めて其処から自由に絵を描いても良い。まったく何もないところから始めたって良いんだ。槍は自由で、武は広いのだから。道標は残した、あとは好きにしたまえ」

 あっけらかんと神の槍を、数多の槍を後世に残した男は言い切る。ティグレ共々継承に関して不向きであるにも関わらず彼らは尽力を尽くした。それでも彼らはまるで自己満足とでもいうような顔で好きにせよ、とのたまうのだ。

 広く、そして遠い。

「だが、三貴士に関しては別だ。国家の柱、他国に武威を示すために強く在り続けなければならない。強き者へと引き継がねばならない。戦乱の世が終わるのであればなおのこと、個人の強さが求められる。良き時代だ、我ら向きではないか」

 シャウハウゼンは真っ直ぐと三人を見据える。

「祖国のために強く在れ。負けることは許さぬ。負けて終わるなら椅子を譲れ。勝つための工夫にこそ執着せよ。唯の武人であれば技の研鑽のため、負けて得ようとすることもあろうが、三貴士にそれは許されない」

 時代の頂点に君臨した男の言葉。

「勝って繋げよ。勝ち方を、経験を、お前たちの積み上げた分、ネーデルクスは進む。後進が積み上げ、先端はさらに伸び続け、天を衝くだろう。常に最先端へ、皆が意識を共有しローレンシアの覇者たれ。祖国への愛を、先達への敬意を、己に居場所をくれた人々への感謝を、武威にて示せ! それが三貴士だ!」

 ちらりとシャウハウゼンはティグレを見る。面倒くさそうに視線からそっぽを向くかつての師。何もなかった自分に全てをくれた大恩人のつれなさに神と呼ばれた男は苦笑する。彼は恩着せがましいことなど絶対言わない。

 それが強き者にとって当たり前であることを彼は知っているから。

「武だけでは足りぬ世だが、お前たちはそれだけでいい。全部背負おうとして私は地に墜ちた。神に成ろうとしてこのザマだ。恥ずべき敗北。あと百年は君臨しようと思っていたのだが、ふっ、随分早逝してしまったものだ」

「人間そんなに長生きしません、て」

「あっはっは。ジョークだジョーク。私から言えるのは勝て、そして繋げるまで死ぬな。それだけだ。責務を全うできなかった自責も込めた、願いだ」

 シャウハウゼンがひざを折る。三人が止める間もなく、深く深く彼は頭を下げた。ティグレもそれに倣う。もう一人の老人もまた倣う。

 背後を見ると、全員が同じ姿勢を取っていた。

「愛する祖国を、ネーデルクスを、頼む」

 この場全ての願い。

 ここにいる彼らの全員が願いて、そして果たせなかった願い。

「「「承知」」」

 三人が応じた瞬間、世界が歪む。

「ありがとう、若き三貴士よ。いつかまた会おう。その時は、嗚呼、私を越えてくれると嬉しい。そうあるべきなのだ、人の連なりというものは。待っているぞ、子供たちよ。私は常にここにいる。私を導に、私を越えてみろ!」

 その願いもまた彼らは受け取った。

 唯の夢、起きてしまえば朧気になるモノ。

 それでも彼らは知った。自分たちもまたいつかあそこに立つのだと。

 あの背中たちの、三貴士であることの誇りを胸に、彼らは覚醒した。


     ○


 ディオンは「おっと」と言いながら敵の攻撃をギリギリでいなす。

「緩み、です!」

 肩で息を切らせながら、緩みを指摘する女性。ディオンにとってそれなりに長い夢であったがその実、ほんの刹那でしかなかったのだろう。そうでなければ何百回殺されたのか分からないほど殺されているはずである。

「いや、まあ、そうだね。少し、緩んだ。でも、次はないよ」

 頭に残るかすかな温もり。例え夢であってもあんな良い夢など滅多にない。最高の気分であった。未だかつてないほど気分は上々。

 槍を握る手も信じ難いほどしっくりきている。

「ノン。一度あることは何度でもあります」

「嗚呼、それは、いいね。でも、其処まで甘えてもいられないんだな」

 蛇は彼我の距離を思い出す。あまりに遠さに眩暈がするほどであったが、大事なのは其処ではない。あの二人と多少なりとも差があった。ほんの僅かでも先んじられていた。そのことが許せない。許せないから、もっと強く成ろう。

「勝つよ。僕の全身全霊をかけて、ね」

「ありえません。勝つのは私です!」

 一方が攻め続け、一方が受け続ける泥仕合が再開される。

 傍目には防戦一方の蛇が不利であるという向きがほとんどであろう。攻めないことには勝利はない。普通はそうである。だが、蛇は普通ではない。

 鬼才、そう呼ばれた男が辿り着いた答え。蛇蝎の槍は邪道を征き天を目指す。


     ○


「むっ!?」

「ぬん!」

 虎は逆手で捌いてそのまま攻勢に出る。敵は刹那の間、虎が夢を見ていたことにも気づいていない。夢を見ながらも虎はイメージ通り戦っていたし、覚醒してもそのままシームレスに戦いに入り込めた。

 馬鹿ゆえに考えない。考えないからシンプルで純度が高い。ゆえに彼女は強いのだ。槍を極めること、強くなることばかり考えているから。

「むむ、何か夢を見ていた気がするのですが、まあ気のせいでしょう。非常に不愉快極まる立ち位置でしたし、あれ、何となく腸が煮えくり返ってきましたね。この怒りを誰にぶつけたらいいのか……後でクロードにでもぶつけましょう」

「ふん、俺にはぶつけんのか?」

「これは三貴士としての戦いなのでしょう? ならば私心は交えません。我が責務を果たすのみ。グディエの家に生まれた者として、虎に生まれた者として、勝利をもって国家に貢献するは必定の事。我が宿命であり本懐」

 虎の圧がさらに増す。男が気圧されるほどに。

 ネーデルクスが待ち望んでいた天才の覚醒。積み重ねてきた基礎と経験、そして自覚が彼女にそれを与えた。もう、誰にも止められない。

 虎が走り出してしまったから。

「さらに強くなりますが、準備は宜しいですか?」

「……ハッタリではない、か」

「無論」

 虎が我が道を征く。


     ○


「今寝てたでしょ?」

「何で槍止めてんだよ」

「寝てたから。それじゃあつまらない」

「……お前、マジで似てるな。雰囲気から体格まで全部」

「誰に?」

「シャウハウゼン様に」

「そう、嬉しいね」

 覚醒したクロードの前にはシャウハウゼンと瓜二つの男が槍を玩んでいた。状況、足の位置から察するにほとんど、それこそ意識できないほど短い時間であったはず。多少の違和感はあれど、全て察して槍を止めるなど出来るものなのか。

「何でお前らと俺たちは戦ってんだ?」

「……いきなりどうしたの?」

「いや、そういやまともに話してもねえなって、思ってよ。後悔はしたくねえ。龍の槍は全撃必殺。勝っても負けても、その後に話せないだろ。だからだ」

「んー、三貴士になりたいんだよ。俺たちは。そう育てられてきたし、そうなりたいと願っている。それじゃあ理由にならないかな?」

「いや、でもよ、それってお前らの願いなのか? お前らを育てた奴の願いだろ? それって、なんか、違う気がするんだよ」

「そう? 人は誰だって誰かの影響を受けているよ。俺の場合はたまたまママだっただけ。俺、男娼だったから、ずっと薄暗い所にいたんだけど、ある日ママに手を引かれて外に出たんだ。空ってこんなに蒼かったんだって、雲はあんなにも白くてふわふわで、太陽はこんなにも眩しいんだって。今でも思い出すよ、あの青空の下、太陽に照らされたママの顔を。哀しそうで、悔しそうで、優しげで、ごつごつした手が力強くて、救われた。地獄の底から引きずり出してくれた。分からないでしょ、君には」

「……いや、分かるぜ。ほんと、嫌になるほど、分かっちまった」

 二人が思い浮かべる人間は全然異なる。しかし、二人にとってそれは近い存在であったのだ。父であり、母であり、憧れであり、道標でもある。

「そうか、君も、追う者か。俺たちに似て強いわけだ」

「そうだな、俺も合点がいった」

「俺は退かないよ。ママの願いは俺の願いでもある」

「後悔しねえな?」

「そっちこそ」

「おっしゃ、なら再開しようぜ。ギャラリーも増えてきた。見せてやろうじゃねえか、俺たちの積み重ね、今の三貴士ってやつを」

「ああ。そうしよう!」

 龍が飛ぶ。神が舞う。

「すげえ」

 民を見よ、これが三貴士である。

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