真・巨星対新星:真昼の空に墜ちる星
「……お前、何をした?」
噴煙立ち上る砦。すでにキモンの姿はなく残されたのは屍のみ。横たわる死体と人無き道を闊歩する死の軍団。グレゴールはこの光景を前にして声を失っていた。ウィリアムが用意するはずだった攻城兵器、それの到着を待たずして砦が落ちたのだ。
「最近のあのお方を想像するから浮かばなかった。もっと容赦のなく、形に、道理にとらわれず、常軌を逸した策を、私の焦がれた白仮面なれば……く、くく、出てくるぞ。溢れてくるんだグレゴール! だって私は、用意していたのだから」
割れた半仮面から覗く眼には狂気が浮かんでいた。爛々と光るその瞳をグレゴールは直視できなかった。親友の危うさは知っていた。優秀だが、感情の抑揚がなく、たまに見せる熱情はいつも自分たちとは異なる方向を向いていた。狂気は、昔からあった。
「用意していたのに出てこなかった。私の中にあった不純物が邪魔をしていたのだ。あのお方にも芽生えつつある、不純物。除かば、私が真の白仮面となる」
アンゼルムの高笑いが響く。この地獄こそ狂った男の望んだ光景。この地獄をアンゼルムはウィリアム・リウィウスに見たのだろう。
「もう一度聞く、何をした、アンゼルム・フォン・クルーガー!」
グレゴールは駒として生きることを決めた。戦術には口を挟まず、命令を忠実にこなそう、と。信ずるに値する将にこの身を捧げることこそ一番アルカディアのためになるのだと、そう思っていた。だが、この光景はさすがに看過できない。
「ガリアスでは禁止されているが毒もみという漁法がある。河川に毒を撒いて魚を麻痺させたりするそうだ。それの応用、狩猟の知恵だよグレゴール」
狩猟、その単語にグレゴールは眉をひそめる。相手は人なのだ。魚や鳥ではない。
「此処から少し行った所に、あの城砦都市の水源がある。そこを毒で汚染させた。それなりの流量があって効果は薄まったが、それでも動きの抑制程度にはなる。此処の連中は地下河川の魚も食すらしいから、汚染された魚を食った者は重症だろう」
あまりにも歯ごたえのない抵抗の理由がグレゴールにもわかった。毒に侵された身体が意思に反し動けなかったのだろう。大した抵抗もなく、抵抗の術なく彼らは蹂躙された。否、グレゴールたち、自分たちが蹂躙したのだ。
嬉々として語る友の歪みにグレゴールはようやく理解した。
「毒はどうやって用意した?」
「矢毒として用意していた分があった。リウィウス商会謹製、お抱えの錬金術師に作らせた強力な毒さ。水に溶け、極少量でも効果を発揮する」
ウィリアムが最初に手をつけた事業、薬品関係。その裏の顔のひとつが毒物の取り扱いであった。原料の仕入れはもちろんのこと、精製、加工、研究開発、何でもやっている。他の事業が成功し、金回りに余裕が出てくるとより研究開発に力を入れていた。その中で生まれたのが一種の神経毒、今回使われた毒である。
「ウィリアム様は今回の戦に際し多額の金が必要だった。そのため無駄に多量の毒物を購入したのが功を奏した。無駄がない、効率的でしょう? 国の金でウィリアム様が富み、そこであぶれた毒が敵の都市を粉砕する。嗚呼、素晴らしい。まるであの方の御技の如し」
たまたまが重なった。とはいえこれで実証されてしまったのだ。ウィリアムの扱う毒物が堅固な城塞都市ひとつを滅ぼすことが出来るのだと。どういう意図でウィリアムが毒の研究開発を進めているのかは知らない。だが、事実だけが残ってしまった。
「さあ、急ぎ追いましょうグレゴール。キモンも逃げたとはいえ多少は毒の影響を受けているはず。ええ、即効性がないのがこれの強みなんですよ。その場で死なないから、毒だと気づけない。人道的に見える非人道の武器、私はこの悪徳に惹かれる」
キモンも少量とはいえ毒の効果を受けている。そう仮定した場合、確かにこれは好機なのだ。彼は強く、優秀である。それを労せず屠ることが出来るのならば――
「部隊をまとめる。話は後でしよう」
グレゴールは心を殺した。自分のやるべきことはシンプルでいい。少なくとも、戦場で色気を出す気はないのだ。弱ったキモンを追いかけて殺す、それだけでいい。
(俺は、お前たちが嫌いだよ、アンゼルム)
それでも釈然としない思いは残った。気持ちのよくない戦いなのは間違いなかった。
○
キモンにとってストラクレスは絶対の存在であった。あまりに輝かしい戦歴、武王の子飼いであるガリアス屈指の武人たちを蹂躙し、オスヴァルトやガードナーなどにも後れを取ることはなかった。彼の後には勝利があり、彼の先には輝ける未来がある。
「も、うしわけ、ございま、せ、ん」
偉大なる大将軍を目指して軍の門を叩いた。そして出会う。自分の運命を決定付ける大きな出会いが二つ。ひとつは副将ベルガーとの出会い。自由が過ぎる大将軍を支え続けた。ストラクレスが偉大すぎて、手が届かないと思ったからこそ、彼のような生き方をしようと思った、思ってしまった。
「サー、これであと――」
ベルガーは自由奔放なストラクレスとは異なり、質実剛健、真面目一直線の男であった。公私共にストラクレスを支え続けた男の背中は、若いキモンには受け入れがたいものに映った。変化が生じたのはもうひとつの出会い、ヤン・フォン・ゼークトとの出会いである。
「……そうか。足の動くものは引き続き私に続け」
二つ目は鮮烈な出会いであった。戦場で、当時おごり高ぶっていた自分の鼻っ柱をへし折る活躍を見せた同じ世代の傑物を見て嫌でも理解してしまう。自分はあの領域に到達するのは無理なのだと。今でこそ武力は近づいたが、当時は武力、知力、何から何までキモンのはるか先をいっていたのだ。
ヤンの完璧な初陣を飾る屍とならなかったのは、別の戦場にいたベルガーがぎりぎり救援に間に合いキモンを守ってくれたがゆえ。当時、軍人として完成されていた男を、それを軽んじていた相手が止めて見せたのだ。眼を疑ってしまうだろう。
(毒は、想像よりも数段上のもの……よくぞ用意したものだ)
キモンはその日、ベルガーに問うた。「それほどの力を備えながら、何故副将に甘んじているのか」と。その返しが「閣下はもっと強い。最強なのだ。そしてその最強を支えることが出来る幸福、それに勝る感情を私は抱いたことがない」と笑顔で返された。普段鉄面皮である男が見せた感情の発露、その格好良さでキモンの道が決まったのだ。
ベルガーと同じ、最強で最高の男の支える。それこそが自身の使命だと定めた。それが間違いであったとキモンは思わない。誰かが必要なのだ。ストラクレスを支える裏の柱が。影で軍のバランスを取るものが。
「サー! 背後から馬蹄が」
「来たか――」
そうなったことに後悔はない。そうなれた自分を誇りに思う。ただ、この結末を思うに自分はどこかで別の道を模索すべきだったのではないかと、ベルガーの真似事ではなく自分だけのより高い目標に向かい邁進すべきであったと、先に進もうとしなかった後悔はあった。そう、背後に迫る新たな時代のように、遮二無二模索していれば――
「――だがな、私にも最強を支えた自負がある」
毒により視界が歪む。足がぐらつく。手が震える。
「この程度の小細工で、閣下の、最強の副将が揺らいでたまるかよガキ!」
それでも剣を抜けば、刃を構えれば『黒羊』のキモンが姿を現す。最強を支える存在を目指した。自分は最強でも、最高でもない。しかし、最強の見ている景色は知っている。隣で、いつだってキモンは見てきた。
その光景は――安くない。
二つの影、一つが突出する。大柄な、巨躯に変則の大矛を纏う新たな時代が、迫る。迎え撃つは最強の副将。死する間際であろうとも、毒如きで落ちる威勢は持ち合わせていない。キモンは裂ぱくの気合にて――
○
ストラクレスは昼の空に星が落ちる幻影を見た。自分のために輝ける将来を捨て、自分のために強くなった男の生き様を思い出す。自分は部下に恵まれた。ベルガーも、キモンも、自分にはもったいないほどに優秀な人材であった。彼らが命を賭して仕えてくれた、その事実にこそストラクレスは誇りを感じる。
「ストラクレスだぞ!」
「随分と寡兵、お、俺たちでも勝てるんじゃないか?」
「確かに。あっちは精々百騎程度、こっちは騎兵で二倍、歩兵を合わせたら六倍近い人数がいるぜ?」
「最近は『黒狼』ばかり目立っていたからな。そろそろ存在感でも見せておくか」
たまたま鉢合わせた両軍。片やストラクレスが率いるとはいえ百騎ばかりの戦力。片や傭兵の混成軍とはいえ二百騎と四百の歩兵。如何に相手が怪物とはいえ所詮人間。負ける要素など皆無である。
「随分とわしの首も安くなったもんじゃなァ。ガキは礼儀を知らんわい」
ただし、ストラクレスを、巨星たちを人と見るべきではない。彼らは知らなかった。普段の戦場で見せるここ十年のストラクレスと、巨星同士や三貴士、カンペアドールの一桁、二桁前半がしのぎを削っていた時代のストラクレスと、その違いを。
「わしを誰じゃと思っちょる! わしゃあ天下の大将軍、ストラクレスじゃア!」
ストラクレスの咆哮、大気が激震する。大剣を抜き放ち誰よりも戦闘で突貫する様は、愛馬ベルガーの巨大さも相まって巨大な鉄塊に見えた。矢を撃とうが、槍で突こうが、剣で斬ろうが、精々擦り傷程度。そう錯覚してしまうほどに――
「準備運動にもならんわジャリガキどもォ!」
黒金のストラクレスは別次元に生息していた。かの巨星もまた決戦の時まで力を蓄えて時を待っていた。白の星がこの戦場、大した動きをしていないのと同じように。昨日の戦いも、今日の戦いも、決着には一切の関係がない。
あらゆる理由が絡み合い、双方にとって望む決着の形は最初から決まっていたのだ。白の星には白の星の、黒の巨星には黒の巨星の、理由があって最終決戦に臨む。これはその準備運動、その割には骨がなさ過ぎて、
「欠伸が出るわい。じぇけえもっと用意せいや。わしを止めたきゃこの十倍は必要じゃボケェ」
不足が過ぎる。少しずつ戻ってきた、あの頃の感覚が。化け物が集いし戦の時代、時代をねじ伏せたあの頃の力が宿る。そこに今までの想いを乗せたなら、おそらくストラクレスは今までで一番の強さを得るだろう。まさに最強、もうすぐ、もう少しで其処に至る。
決着はもう少し先、其処に小細工はなく、シンプルに覇を競う。そうでなければ意味がない。其処を超えてこそ時代は微笑むのだ。新時代か、旧時代か、笑うは――
○
ウィリアムは目の前の男を測りかねていた。出会ってからずっと、彼は何かを見通している。これほど高めた己ですら見えない何かを。それがわからないことにウィリアムは惧れを抱いてしまう。もはやこの国の王はもとより革新王ですら見通す力を得たというのに。この男の瞳に宿る光の色が見えてこないのだ。
「お見事な捌きでした。大将閣下」
未だ己の前では底を見せぬ男、ヤンはへらへらと笑う。
「逃げるのは得意だからね。でも踏み込む勇気はない。踏み込むに足る力もない」
ヤンはぼさぼさの頭をぼりぼりと掻いた。ふけが舞う。ウィリアムは少し嫌な顔をした。
「僕じゃあ巨星は落とせない。落としちゃいけない。それは次の時代を作るものの仕事だから。つまりは君の仕事だ。そして半端なやり方じゃ、怪物の全てを喰らい尽くさねば、時代は君に振り向いてはくれないだろう」
ウィリアムは「参ったな」と本音がこぼれる。またも見透かされている。見えにくいものではなかっただろうが、この精度はある程度同じ視点に立たねば出てこない。事実アンゼルムたちとではこの会話は成立しないだろう。
それを見てヤンも苦笑いを浮かべる。
「君やストラクレスの手抜きを見ていればね。君相手にエィヴィングを当てる采配、それに対して君は過剰に、手厚く蹂躙した。手が優し過ぎるよ。本気ならエィヴィングとの差が浮き彫りになった瞬間、エィヴィング以外を狙うはずだろう? 効率的だし、わざわざ厄介な方が出張る隙を与えずに済む。エィヴィングが頭である限り、ことは優位に運ぶんだ。頭をすげ替えるまで叩けばまた無駄に見極める時間が必要になってしまう」
「それだけエィヴィングを警戒していたんですよ」
「警戒じゃなくて期待だよね? 御眼鏡にはかなわなかったようだけど」
「どうでしょう。大将閣下ですら倒せなかった相手、警戒にたる将だと思いますが」
二人はにやりと笑い合う。互いに浅い部分で腹の内は見えているのだ。
「結局、最後の絵図は決まっていた。君もストラクレスも、そこまでは本気を見せない。軽く身体を動かして、力を蓄えこんでいる。互いに、示し合わせたかのように」
ウィリアムは沈黙を貫いた。それは実質的な肯定ではあるが、言質を取らせるのは避けた形。ヤンはこんななりだが一応大将で、それなりの名家出身である。底が見えていない以上、隙はなるべく見せないほうが良い。
「そういう意味で今の見所は人材の育成、彼らの成長だね。アンゼルム君、グレゴール君はかの『黒羊』を討ち取ったよ。今の彼らにとって大金星というほどではないけど、大きな勝利だ。これで決戦まで大きな短縮になった」
アンゼルムの毒で弱らせ、グレゴールの突貫で『黒羊』を討ち果たした。実際に討ち取ったのはグレゴールであったが、彼は一貫して自分の功を認めず、全てはアンゼルムの功績だと断言した上で沈黙を貫いているらしい。
「逆にシュルヴィアちゃんは突破口を見出せていないね。これは目論見から外れたかな?」
「俺はまだシュルヴィアに期待していますよ。折れない限り、死なない限り、投資する価値はあると思います。是非、何かを持ち帰って欲しい。ユリアンまで持っていったのだから……それなりには成ると見てますがね」
ヤンは少し意外そうな顔でウィリアムを見た。その表情から何かを読み解くことは出来ない。しかし、嘘や冗談を言っている様子でもない。
「レスターは天才だよ?」
「天才というだけで勝てるなら、俺は此処にいませんよ」
どういう心積もりなのかは見えないが、レスターの才能に比する何かをシュルヴィアが持っているとウィリアムだけは今もなお期待していた。天性としっかりとした努力、対するは凡人、しかも女である。差は歴然のはずなのだ。結果もそうなっている。
「あれは賭けの途上、まだ判断は保留です。もう片方の見極めは済みましたが」
「アンゼルム君たちか、君にはどう見えた?」
「グレゴールは優秀に成りました。大将閣下のご指導の賜物かと思います」
「思ってもないことを言うねえ。彼の開花は意識の変化で、それを促したのは僕らじゃないなんて君ならわかっているんだろ?」
グレゴールはウィリアムの中でかなり価値が上昇していた。昇進式で出会った頃とは比べ物にならないほど成長した。速度は緩やかであるが着実に伸びており、これからのアルカディアを支える人材になれる気配は見えてきた。
そしてその成長を促したのは、カール・フォン・テイラーであった。あのラコニアで見せた勇姿はこんなところにも種火として残っている。
「じゃあアンゼルム君は?」
あえて名を挙げなかった人物。その評価は、とても難しい。
「優秀ですよ。優秀でなかった時がないほどに。しかし今回の件は少々評価を下げざるを得ない。いえ、優秀ゆえに目を瞑っていた部分が出てきただけなのですが」
「毒、か。戦術的には良い手だね。実際にキモンを討てた」
「この戦場に限れば最善手でしょう。しかし大局的に見れば下策もいいとこ。私の動きを、意図を理解していたのならば、焦ってキモンを討つ必要などないことはわかるはず。其処が見えていないのと、その後をまるで考えていない。下策がなぜ下策なのか、効率だけでは次のステップには到達できません」
「戦場で毒を使うことの意味、その後の影響、わかっていたら軽々には使えない、と」
「必要とあらば使います。しかし、私の経験上で毒を使うべきだったケースは……ほとんどない。手札として用意はありましたが、切るつもりはなかった」
「彼は躊躇いなくその手を切った。焦る局面でもなく、兵器到着を待つだけでも良かった。理由はわからない、それでも彼は下策を選んだ。そして都市を殺した」
ウィリアムとヤンは同じ評価軸を持っていた。キモンを討った点は素直に評価したとしても、その後のことを考えたなら毒は使わない。表舞台での毒使用は相手に大義名分を与えかねない難しい手なのだ。
「彼はそういったところに、多少の悦楽を感じているようだ」
「そのズレが致命的にならないことを祈ります。人は理屈を求める反面、理屈に沿わないことも平気で考えてしまう。剣で死のうが槍で死のうが弓で死のうが、毒で死のうが死という結果は変わらない。それでも人は毒を忌避する。表舞台で毒を使うことはその時点で下策と知らねばなりません」
ウィリアムも若い頃は多くの下策を打ち込んできた。忌避される手を率先して使ってきたのだ。その姿に元々ズレていたアンゼルムは共感と感銘を覚えたのだろう。その時点で二人はズレていた。
ウィリアムは下策を多用した。それは彼が力を持たなかったから、正攻法では勝てなかったから、勝つために選択した策である。負けてもいい時、退いても構わない局面ならばさっさと退く。下策はあくまで最終手段。ウィリアムが下策を使った回数は、まさにギリギリを生きてきた証である。
「今の君なら使わない?」
「使えない、と言った方が正しいかと。そもそも使う必要もない」
「強くなったから?」
「ええ、強くなりましたから」
ウィリアムは一歩踏み出す。毎日死線を潜ってきた、あの頃に比べたら自分の何と余裕のあることか。その分強くなり、その分荷物も増えた。足元に伸びる屍はすでに数え切れない。準備は出来ている。
「勝てるかい?」
「勝ちますよ。我が道に賭けて、巨星を落とします」
ウィリアムの背中から立ち上る雰囲気は、自分がかつて破れたものと同種の匂いを放っていた。ヤンは、それを嬉しそうに、悲しそうに、複雑な表情で背を眺める。
「君は第一条件をクリアしたみたいだね。巨星と戦う、最初の一歩を」
「差し支えなければその条件というのを教えていただきたいですね」
「内緒さ。どうしてもって言うんなら教えてもいいよ。百まであるけど」
「遠慮しておきます、閣下」
巨星と戦う第一条件は味方に勝利を信じさせることである。今のアルカディアでそれが適う者はウィリアム以外誰もいない。数多の勝利が、実績が、何よりも湧き出る強者のオーラが必要なのだ。彼に託せば、勝利は必定。そうして初めて勝負になる。
ウィリアムは準備万端であった。覇気に満ち、剣は冴え、頭は鋭さを増している。隙はない。全てを注ぎ込むつもりで決戦の時を待つ。
ヤンもまた信じた。きっとこの背は勝利をもたらしてくれるだろう、と。
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