第401話 ジュピリアス 職業案内所

 自分達はダリエスさんと共に職業案内所に来ていた。


 職業案内所の機能的には【スカウトフォート】などにあった職業案内所と似たようなもので、名前の通り様々な仕事を紹介してくれる機関らしい。


 職業案内所の内装などはとても綺麗で、普通のオフィスビルの様な雰囲気があった。


 利用している人も自分達みたいな武装している人は半分位で、半分は普通の街中を歩くような格好の人ばかりだった。


 やはり前世の雰囲気に近いな。


「俺達は先に暴走したダンジョンコアの調査結果などを報告しなくてはいけないから、あっちのカウンターに行くが、レイくん達はまず、あそこの相談カウンターに行って相談すると良いぞ」


「ありがとうございます」


「あと、格安の宿なども紹介するから、後で合流しよう」


「分かりました」


 ダリエスさんは親切にいろいろ教えてくれるので、非常に助かった。


 ダリエスさん達自身もパーティーメンバーが大量に亡くなって大変なのに……凄くありがたいなと思った。


 それから相談カウンターの順番待ちの為に10分位待った後、自分達の番になった。


「お待たせしました。今日はどういった相談ですか?」


 相談カウンターの若い女性は笑顔で話しかけてくれた。


「えっと、自分達は別大陸に行きたいのですが、そのための地図や飛空艇の利用料金、あと【適性職】を調べて欲しいと思っています」


「えっ、別大陸? 飛空艇の利用料金は子供が払える様な金額ではないんだけど……ちなみに何大陸なのかな?」


「あっ、大陸名は分からないんですが、【イーストエンド地方】の【スカウトフォート】へ行きたいのですが、分かりますか?」


「うーん、大陸名が分からないと調べるのに時間がかかっちゃうかな……明後日には調べておくけど、それで大丈夫かな?」


「はい、それで大丈夫なのでお願いします」


「あとは【適性職】だけど、君達は学生だよね? 【適性職】に関しては学校でやると思うんだけど……別大陸に行きたいのと何か関係あるのかな?」


「えっと、実は……」


 自分はカウンターのお姉さんに、【スカウトフォート】の森からこっちに飛ばされた事などを話し、早めに【スカウトフォート】へ帰りたいと伝えた。


「それって【長距離転移】の事故に巻き込まれたのかな?」


「【長距離転移】?」


 名前からして、【長距離転移】って事は瞬間移動みたいなものだよね?


 そんな方法があるなんて初めて聞いたのでびっくりしてしまう。


「あっ、でも【長距離転移】は肉体的負担が凄いって言うし、君達にも【転移】に耐えられる適性が無いと無理だから、【適性検査】をしてないって事は違うのかな……」


 お姉さんはブツブツと言いながら悩み出してしまったので、気になるワードがいろいろ出てきているのに質問しずらくなっていた。


「……やっぱり君達が飛ばされた理由は思いつかないわね……えっと、君達は年齢いくつかな?」


「僕達は10歳です」


「10歳かぁ、やっぱり学校に通っていないと法律的にダメな年齢なんだよね……ちょっと待っててくれるかな?」


 お姉さんは待って欲しいと言うとカウンターの奥に入ってしまった。


「うーん、やっぱり【スカウトフォート】へ帰るにはいろいろな問題がありそうだね……」


「そうですね、私達の住んでいた場所に大陸名があるかんて聞いたこともなかったです」


「僕も別大陸があるなんてのも知らなかったし……飛空艇のお金も稼がないといけないと思うと……働かなくちゃ駄目かもね」


「稼ぐ手段はやっぱり冒険者ですかね? 私はレイくんと違って戦う以外の方法は上手く出来るか自信がないですし……」


「うーん、冒険者登録が出来れば良いんだけど……【セシリアショップ】みたいに安定主入があれば稼ぎは良いんだけど、逆にお店を開くと身動きが取れなくなりそうだから、あまり選択をしたくないんだよな……」


 多分、お店を開けば【素材の極み】効果で大人気になりそうな気はするけど……自分達の目的は【スカウトフォート】に帰る事だし、稼げたからお店は止めますってするのはどうなのだろう?と思ってしまう。


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