第34話 ラルミィの実力
「ラルミィ。取りあえず実力を見てみたい。ココのモンスターと戦ってみてくれないか?」
『分かった』
ラルミィはそう言うと【分裂】を使って11体になった。分裂してもまだ大きいが【縮小】を使って更に小さくなり見慣れた大きさまで小さくなった。
その後、一体だけを残し草原に散っていった。
『見つけた、向こう』
残ったラルミィの指示通りに進んでいくとそこには先ほど散っていった中の一匹がモンスターと交戦中だった。
相手もスライム。ステータスは分身ラルミィのほうが高いようだ。その上俺たちと一緒に居たラルミィも戦闘に加わったのであっけなく勝負は決まった。その後、ラルミィは分身を取り込んで、見つけた。と言いまた別の方向へ進んでいく。
向かった先には先ほどと同じような光景が広がっていた。
ステータスを見るとどうやら分身一体で5%減るようだ。11体に【分裂】していた最初は、ステータスが半減していたという訳か。ちなみに切り上げで、0にはならないようだ。
その状態で草原地帯の魔物に勝っているのだから、改めてラルミィのステータスの高さが窺える。
……いや草原の魔物が弱いだけかも知れないが。
その後も同じような光景を何度か繰り返し草原の魔物とのは一端やめた。
ちなみにグラスラビットというモンスターとも3回交戦した。
ラルミィの強さは分かった。【分裂】からの広範囲索敵は中々使える。
このままボス戦も行ってみようか。
確かボスはスライムキングだったっけ。一番弱いボスらしいし最初は俺がやろう。その後ナツメやラルミィにやらせよう。危なくなれば助ければ良いしな。
「ここか」
ボスエリアの前に付いたようだ。数パーティが並んでいる。これは困ったな並び直すのは面倒だ。
「主はラルミィと並んで欲しいのじゃ。主と私を別にすれば少しは時間短縮になるのじゃ」
ホントは俺とナツメとラルミィで並べば良いがその場合はラルミィを助けにいけない。なので俺とラルミィを同時に行かせたのだろう。幸いなことに最初以外、ボス戦は外からでも中の様子は見ることが出来る。ナツメの様子も見ることが出来るしそれでいこう。
まずは俺とラルミィが入る。ココではラルミィには後方で待機してもらい俺一人で挑む。
まずは挨拶代わりにメイスで叩く。HPが目に見えて減っている。スライムキングは打撃に対する耐性は持ってないのか。
スライムキングの動きはかなり遅い。攻撃も体当たりか酸を飛ばすくらいだ。これなら攻撃を食らうことはない。
次は刀である。
「【クイックチェンジ】タイプ刀【スキルチェンジ】」
刀を出し【スキルチェンジ】で【斧術】の代わりに【抜刀術】をセットしたスキル構成に変える。
打撃は効いたが、斬撃はどうだろうか。こっちも減るな。斬撃も効くのか。
槍に変えても結果は同じだった。
物理攻撃は全部それなりに効くみたいなので次は魔法を使ってみる。
「【ライトボール】」
普通の大きさの【ライトボール】を放つ。大きさを変えたときの威力の実験をしてみたいが。後ろに人が居るのでやめておこう。
魔法が弱点なのか、HPが一気に削れた。ナツメが負けることは無さそうだな。
いや確か魔法って詠唱時間がある代わりに少し威力が高いんだっけ。つまりスライムキングはどの攻撃でも同じように効く訳か。
最初のボスとしては妥当だな。
さて確認はしたし倒してしまおう。スキルレベル上げたいし槍にしとくか。
そのまま槍を使ってスライムキングを倒した。歯ごたえがなかったな。取り巻きも居なかったし。
解体ナイフをさしてもう一度並ぶ。【解体】スキルは外しといた方が良いな。
その後、ナツメは1分もかからすにスライムキングを倒した。
スライムキングの素材は勝手に俺のストレージに入る。
「どうだった? ナツメ」
「弱すぎてつまらないのじゃ」
ナツメにとっては物足りなかったようだ。まあ厄介さで言えばフォレストウルフの群れの方がずっと上だろうしな。
さて次はラルミィの番だ。【解体】を付け直す。
「ラルミィ勝てそうか?」
『あれなら勝てる』
ボスをあれ呼ばわりである。キングとか言ってるけど、上下関係は無いのか?
「そうか、じゃあがんばれよ」
前のグループの戦闘が終わったようだ。俺たちの番になったのでもう一度入る。
ラルミィは入ったとたんに5体に【分裂】した。その後、【擬態】を使い、ビックバットになる。そのまま四方八方から体当たりをする。
スライムキングのHPが徐々に減っていくが反撃も食らってしまっているな。まあラルミィにとってはかすり傷だし、問題ないな。
ラルミィが一度集まり今度は二体に【分裂】した。その状態で今後はロックゴーレムに【擬態】した。ラルミィの大きさならロックゴーレム二体になることが可能なようだ。
そのままパンチを繰り出す。スライムキングのHPが一気に削れる。【ステータス模倣】を使っているのだろう。そこからはひたすらタコ殴りだ。スライムキングの攻撃はあまり効かないので、ラルミィは意に介さない。
そのまま一方的にラルミィは勝利した。
ロックゴーレム二体は驚異だな。大量のHPと高いVITとMNDがあるので、そちらに【ステータス模倣】を使う必要は無い。代わりに低いSTRを上げて【分裂】して、たこ殴り。ステータスが5%ほど減ってはいるがその程度ではほとんど変わらない。単純に二倍なので軽く悪夢である。
まあAGIが低いので遅い相手にしか使えないだろうが。クラーケンの時は足場が狭くで駄目だな。
よく考えるとラルミィが【擬態】出来るモンスターが少ないな。今のところビックバット、ロックゴーレム、グラスラビット、(スライム?)そして今のスライムキングである。マッドレッサーゴーレム? 蒸発していなくなったよ。核さえ残ってないよ。あれ? よく考えたらあれって倒した後には核しか残ってなかったな。と言うことは核が死体ってことか? 最初に倒したときに、手に入れた核をラルミィに食べさせてみよう。あと、スライムって擬態に入るのかな?
うんマッドレッサーゴーレムだな。核でも擬態できるのか。いや、普通に死体が核しかないのか? 他のも食べさせれば分かるだろう。そこは実験だな。
とにかく多くの魔物を【捕食】させることによう。
町に戻ってきたが一連の騒動は思ったより終息していた。何でもトッププレイヤー達がことごとくモルドさんに返り討ちに遭ったらしい。
流石モルドさんだ。そういえば【鑑定】スキルのこと忘れてたな。ラルミィのスキルも欲しいしスキルソードを売っているって店に行ってみようか。
と思ったがそろそろ夕飯作らないとな。ラルミィの能力確認とかに結構時間を食ってしまった。
◇
ココだな。かなり古い感じの店だな。
夕飯を作って、春香を呼び、風呂に入ってまたログインした俺は、スキルソードを売っている店に来ていた。
「こんにちは」
「いらしゃい。こんな時期に珍しいね」
受付のお姉さんが対応してくれるが、中には俺とお姉さん以外誰も居ない。人気が無いのだろうか?
「数日前にもの凄い数の客が来たんだけどね、その後はほとんど来ないのよ」
恐らく数日前とはゲーム発売日のことだろう。
ここに売ってるスキルソードは見た感じチュートリアルでに入る物ばかりだ。【剣術】スキルとか何のために置いてあるのか分からない物もある。
「みんなが持ってるスキルとか調べて選んだんだけどな、どうして売れないんだろう?」
なるほど、それで【剣術】スキルが売ってあるわけか。この世界では、剣を使ってるやつが一番多いだろうからな。
でも、使ってる人が多いってのは使い勝手が言い訳ではなく、取得条件が簡単なだけというのもある。この人はそのことを履き違えているのだろう。
「ココに【鑑定】のスキルってありますか?」
「ハイありますよ。その棚の隣のです」
隣、これか。後は、魔法のスキルソードだな。
「すいません。魔法のスキルソードってありますか?」
「魔法のスキルソードはココですよ」
カウンターの隣にあったのか。火・水・土・風の魔法はナツメが使えるから、光か闇がほしいな。
あれ? ないな? どうしてだ。
「すいません。光属性と闇属性は無いんですか」
「ありますよ、でもその二つはあまり人気が無かったので仕舞ってあるんです。今持ってきますね」
そう言って店の奥へと消えていくお姉さん。
その間他のスキルソードを見てみるが、どれもこれも手に入れやすい物ばかりだ。これは一言言ったほうが良いかもしれない。
「ありました。これが【光属性魔法】のスキルソードと【闇属性魔法】のスキルソードです」
ちょうど戻ってきたようだ。一言言ってしまおう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます