第19話 鍛冶スキル
「づがれだー。まさかタンクやる羽目になるとは思わなかったよ」
「まあ元々ルカは遊撃やる予定だったからな」
ルカは今回後衛に対する攻撃の対処や、余裕が出来た時に前衛と一緒に攻撃に参加する予定だった。
それがいきなりフォレストウルフの無限沸きによってタンクに回ることになったのだ。不満ぐらい出るだろう。
「いやー、でも中々楽しかったな。今度ソロで行ってみるか」
「お兄ちゃん本気? あ、間違えた正気?」
おい、悪化してるじゃないか。
「いやでもこれ見ろよルカ」
「コウ兄、これってさっきの」
どうやら先ほどのエルダーウルフ戦のようだ。
「俺たちはフォレストウルフの対処でよく見えてなかったけど、リューヤの所見てみろよ」
「……これってホントに」
「ああ、聞いた時はまさかって思ってたが本当に攻撃の余波でフォレストウルフが吹っ飛んでる。リューヤならソロでもフォレストウルフは気にせず行動出来る」
「ソロで蹂躙している姿がありありと浮かぶわね」
おい、俺を爆弾を見る時みたいな目で見るのをやめろ。
……いや爆弾なんて見たことないけど。
さて、次は何するか?
「3人はこれから何する予定だ?」
「そうだな、少し狩りでもして寝るかな」
そういえばもう夕方か。この世界で24時間、寝ないで活動し続けると不眠という状態異常に掛かるらしい。何でも行動に制限が掛かるとか。状態異常を解くには最低ゲーム内時間で6時間眠るしかないそうだ。ちなみにログアウトも睡眠と撮られるらしい。現実で1時間半だな。
だがゲーム内で寝ても現実に戻るとまた睡魔が来るらしい。そこら辺はよく分からないな。
「なら狩りの時にナツメも連れて行ってくれないか」
「ああ良いぞ。リューヤはどうするんだ?」
「俺はちょっとやりたいことがあってな。それが終わったらログアウトして夕飯作るよ」
分かったと言った3人にナツメを預けた。
さて、俺も行くか。
確か町の西側にあるんだったかな?
今向かっているのは【鍛冶】スキルを覚えられる鍛冶屋だ。
これについてはさきほどネットで調べた。
最初はアーデさんに聞こうと思ったけど、わざわざ商売敵を作るような真似はさせたくないのでやめた。
【鍛冶】スキルを取る理由については武器の消耗が激しすぎるためだ。さっきメイスを見てみたら耐久値が9割ほど減っていた。まだエルダーウルフにしか使ってないのに。
NPCやプレイヤーに頼むとそれだけお金が掛かるので自分で取った方が良いと思った。鉱石もまた洞窟に取りに行けば良いからレベルも比較的簡単に上がるだろうし。
そんなことを考えていたら着いた用だ。2人ほど並んでいる。
「あのここで【鍛冶】スキルを覚えられるってかいてあったんですけど合ってます?」
「あ、ああ。確かにここで覚えられるぞ。覚えたいなら後ろに並んでくれ」
「教えてくれて、ありがとうございます」
そう言って列の後ろに並ぶ。
しばらくすると順番が回ってきた。
中に入るともの凄い熱風に一瞬たじろぐ。
中にはひげを生やしたおじさんがいた。ドワーフかな?
「何しに来た?」
「ここで【鍛冶】スキルを覚えられると聞いて」
「そうか……そこに座りな」
言われたとおり座るとおじさんがスキルソードを指してきた。
『【鍛冶】スキルを入手しました』
無事スキルをえることが出来た。
「じゃあ帰りな」
「え? これだけ?」
「お前さっき【鍛冶】スキルが欲しいって言っただろ」
「いやなんかこうコツとか教えてもらえる物だと思っていたので」
「最初に言え」
いやそんなこと言われてもと思ったりしたがまあ言わなかったのも事実なので謝っておく。
「すみません。スキルを教えてもらうのと同時に教えてくれるのでは、と思っていまして」
「……まあいい。そうだな成功率の話をしてやろう」
【鍛冶】スキルの成功率を上げるには次の4つのことが重要になるらしい。
1つ目は【鍛冶】のスキルレベル。
スキルレベルが上がるほど成功率が上がり、更に作ることが出来る物が増えるらしい。
2つ目はDEXの値。
DEXの値、つまり器用であればあるほど成功しやすくなる。
3つ目は素材。
素材の種類によって成功率が変わる。いきなり凄い素材で強い武器を作ろうとしても、レベルが足りなくて失敗するそうだ。
そして4つ目それは……
「運?」
「そう、運だ。お前達はリアルラックとか呼んでるな。最初に上げた3つは結局確率論だ。結果的に成功するかしないかは運で決まる」
「そうですか」
まさか結局最後に必要なのが運だとは。まあでも運は流石にどうしようもないな。俺のステータス1番低いのDEXだしな。成功率は低いと考えるべきだろう。
「あと何か【鍛冶】で注意することってありますか?」
「そうだな、あまりにランクの高い素材を使うとダメージを負うことがある。気付いたら死に戻ったなんていうプレイヤーを何人か見たことがある」
「なるほど。地道にコツコツやれって事か」
「まあそういうことだ。鍛冶の道具は向かいの店で買えるぞ」
「そうか、ありがとう」
そう言って部屋を出た。
そのまま向かいの店に向かう。
中に入るとそこは雑貨屋だった。
「すいません鍛冶の道具が売っていると聞いたのですが、どれですか」
カウンターのおばさんに聞く。
「鍛冶道具ならそこの右の下から二つ目だよ」
「ありがとうございます」
下から二つ目……これだな。
ん? 一つ上の棚のこれどこかで見た気が……
「おばさん! これってもしかして」
「誰がおばさんだい! わたしゃまだピチピチの80歳だよ」
いや、それもはや、おばさんすら超えてない? いやでもエルフは長寿だって言うし、あれ? でもおばさん人間だよね。
……て問題はそこじゃない。
「これ魔石ですよね」
「ああ、そうだよあまり使い道がないからいつも売れ残ってるんだけどね」
ゲームに売れ残りとかあるのかとか思ったがやはり魔石で合っていたようだ。
「あまり使い道がないってその数少ない使い道って何なんですか」
「そうさね、そういうのが知りたいならここに行くと良いよ」
町の地図を取り出し見せてくれた。
マップにアイコンが出た。これなら迷うことはないな。
「ありがとうございます。行ってみます」
とりあえず鍛冶道具と魔石を買ってアイコンの場所に向かう。
時間はまだまだあるし行ってみよう。
◇
えっとここを右か、次を左、この細道を抜けて右に曲がった所っと、ここか。
いやまさかこんなに奥だとは思わなかった。
地図ないとたどり付くの無理だなこれ。
「こんにちはー」
入ってみると色々な道具が並んでいる。
ここもお店なのか。人来るんだろうか。
「はい。少し待って」
奥から若い人の声が聞こえた
「珍しい。お客さん」
そう言って奥から女の子が出てきた。
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