第16話 PK
「どうしようか、ここで迎え撃つ? それとも気付かない振りして進む?」
「メリットはなんだ?」
「迎え撃つ事によるメリットは準備は出来てるって相手に知らせることで警戒させることかな。奇襲を狙っている奴らならそれだけで逃げる可能性もある」
「気付かない振りに対するメリットは相手を油断させて逆にこちらから奇襲することも可能だ」
なるほど、どちらも可能だが迎え撃つのは恐らくだめだろう。ルカが3人しか分からなかったことから多分気付かれることを前提で動いている。恐らく3人はワザと【潜伏】スキルを使わなかったんだろう。こっちが少ないと油断したところで【潜伏】スキルを使った3人に奇襲させるという作戦だったんだろう。となると迎え撃つのは相手の思うつぼだ。【潜伏】を使っている3人の場所が分かるのは俺だけだし、一瞬で3人を倒せれば問題ないが流石にそれは無理だろう。
気付かない振りも今回の相手にはあまり意味がないだろう。見つかるのを前提で動いているのだから気付かない振りなんて簡単にばれるだろう。
「ここは俺が行く」
「え、ちょ、それって……」
ルカの言葉を聞く前に俺は空へ飛んだ。
今のあいつらは俺たちがすでに気付いているかもしれないと疑っている状態だ。となれば自然と俺たちに注意が向くだろう。そりゃあ少しはモンスターにも気をつけるだろうけどこのフィールドに空から襲ってくるモンスターはいない。つまり空は奴らの死角になる可能性は高い。
奴らは俺たちを囲むように動いてるこれはありがたい。1人1人が離れているおかげで各個撃破がしやすい。ルカ達の方を見ると俺の意図が伝わったのか、そのまま進んでいる。
まず1人目。【潜伏】スキルを使っている奴から倒す。大きな音は出したくないので魔法はだめ。メイスもだめなので、刀を使うことにする。標的の真上に来たら羽を消す。すると当然俺の身体は落ちる。地面に落ちる直前にまた羽を出して勢いを殺す。カーソルの色は赤色、通常のカーソルの色は、緑だがPKをすると赤色に変化するらしい。カーソルが赤色の人をPKしてもカーソルの色は変わらない、そのまま後ろから刀で首を切る。
「ガア……なんだ」
おや、死なない。こういう所はゲームだな、と言うわけで仲間に知らされる前に更に切っといた。HPが0になった事を確認してまた空を飛ぶ。
さて気付かれるまでに何人倒せるかな。
◇
「ん? 連絡が来ないな。ここのモンスターに苦戦でもしてんのか?」
『なあ、そろそろ気付いてもいい頃じゃないか?』
チャットに別の仲間から連絡が来る。
「ああ、そうだな。もしくは気付かない振りをしてるのかもしれない。気をつけろよ」
『了解』
やはりおかしい。あれから連絡がいっこうにない。まさかモンスターにやられて死に戻ったのか? いや、それは考えにくい。
だがそれ以外に連絡が取れなくなった理由が分からない。
「チッ、しくじりやがって」
今回ねらっているパーティは4人組だ。一人は大剣を持った剣士。それと片手剣を持った魔法剣士と魔法使いが二人。
今回のパーティは当たりだ。魔法使いが二人いるのが良い。魔法使いは近づけば何も出来ない。だからまずこちらの存在を気付かせる。少数だと思わせて迎え撃ってくれば【潜伏】スキルを使っていた奴らが後ろから奇襲で魔法使いを倒し、のこりの剣士と魔法剣士を数の力で倒してしまえば良い。
気付かない振りをしてくる場合も、ボスエリアの前にちょうど良い奇襲スポットがある。そこで同じように魔法使いから倒してしまえば良い。
今回は当たりだとそう思っていた彼は知らなかった。
そのパーティの中の魔法使いが空を飛べることを……
その魔法使いが【潜伏】スキルを使っている自分の居場所を知っていたことを……
その魔法使いが近接戦闘が出来ることを……
その魔法使いがボスをソロ討伐していた物だったことを……
彼は知らなかった。
その魔法使いが今まさに自分の後ろにいることを……
『【潜伏】を使ってた奴は全員倒したぞ』
「よし後は俺に任せろ」
「何言ってんの? 私もやるに決まってんじゃん」
「私も参加させてもらうわ」
「結局取り分一人かよ」
◇
『リューヤはレベルが上がった』
『ナツメはレベルが上がった』
『レベルが10になりました。スキル上限を増やします』
『レベルが10になりました。新しい能力が追加されました』
「PVPでもレベルって上がるんだな」
「今回は申請してないからな」
申請していない……つまりPKなら経験値は入るようだ。
スキル上限が増えたのは嬉しいが現状つけたいスキルはない。【刀術】が欲しくなるな。
あと新しい能力って何だ?
【召喚士】
魔石とMPを消費して召喚獣を呼び出すことが出来る。
最初の召喚以外は自信の最大MPの半分を消費することにより召喚できる。
従魔と離れていても意思の疎通が出来る。(NEW)
召喚可能数:1体→2体(NEW)
召喚獣の召喚可能数が増えたな。
でも魔石がないな、あとでコウ達に聞くか。
他には意思の疎通か。えっとこうかな。
「【コネクト】」
「聞こえるかナツメ」
『ヌオ! ビックリしたのじゃ。主』
「悪い、新しく覚えた能力を試したくてな」
「何かあったのかリューヤ」
「いやさっきの戦闘でレベルが10になったからな。新しい能力の確認だ」
「はやっ! 召喚士なのにもうレベル10かよ。まあ俺もこのパーティ入ってからかなりレベル上がるの速くなったんだけど」
「うん、まあおおよその理由は分かってるんだけどね」
「ええそうね」
三人の視線がナツメにむけられる。
いやまあね、はっきり言ってここに来るまで大体60%のモンスターはナツメが狩ってるしね。大体俺たちが見逃してたモンスターも狩ってくし、さっきのPK達も先にナツメが攻撃して結局全員一撃だったしね。
ナツメ、1パーティに1人欲しいね。
「お兄ちゃんやっぱナツメちゃん頂戴」
上げません。
それじゃ最後にボスに挑む前にステ振りしとこっか。
PN:リューヤ
種族:天使族
LV:10
HP:1000/1000
MP:1000/1000
――――――――――――――――――
STR:25→29
VIT:24→30
INT:15→18
MND:25→30
AGI:21→24
DEX:14→17
――――――――――――――――――
職業:召喚士
ステータスポイント:0
CN:ナツメ
種族:龍人
LV:10
HP:950/950
MP:1060/1060
――――――――――――――――――
STR :20→23
VIT:14→19
INT:25→31
MND:20→23
AGI:17→22
DEX:8→10
――――――――――――――――――
職業:従魔
ステータスポイント:0
「よし'HP''MP'全回復! さあボスバトルだーー!」
そんなルカの声とともに俺たちはボスエリアに足を踏み入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます