Here We Go!!
学園祭当日を迎えた。
快晴。猛烈に蒸し暑いが、空はどこまでも青い。絶好の学園祭日和である。
早朝からプロジェクトチームの奈美ちゃんとゆっこが来てくれた。奈美ちゃんはあたしの
娯楽に乏しい田舎なので、こういう時には割と人が集まる。今日もお客さんはそこそこ入っている。しかし模擬店などは正直ショボい。派手に盛り上がっている感じではない。
イベントが複数組まれているが、これまた大したことはない。それほど人気のない若手お笑い芸人のステージが二つと、誰だかよく分からないアーティストのライブ。なのでその分、ミスコンに注目が集まるらしい。NHKと地元民放二局のテレビカメラが、ミスコンを撮影するため
あたしと智ちゃん、それに奈美ちゃんとゆっこの四人は、ミスコン控室へ。――
(スゴい……。これがあたし!?)
とんでもない美女が、鏡の中に出現した。奈美ちゃんとゆっこも、ドヤ顔。な~んかさ、某漫画のセクシー美人刑事みたいじゃん。スカートのスリットに手を入れて内腿からナイフを取り出し、スパっと投げたら似合いそう(笑)
でも、ふと周囲を見渡すと、他の出場者もみんな綺麗だと気付くわけですよ。途端にあたしの「自信パラメーター」は危険水準まで低下(涙目)
「いやいや。紗耶香ちゃんがダントツだよ」
智ちゃんがあたしの耳元でコソっと囁く。いや、勇気付けてくれてるんだろうけれど、客観的に見てどうなのか!?
あたしの「自信パラメーター」はほとんど回復せず。ただし「開き直りパラメーター」がMAXに。
うん、とにかく平常心で臨むのみ。――
そう心に決め、本番を待つ。
あっという間にその
――Here We Go!!
Mafia Latinaのショータイムミュージックが流れる中、推薦者数上位の出場者から順にステージに立つ。つまり、推薦者三名だったあたしが、一番最後ね(恥)
MCのコールと共に最初の出場者がステージ中央最上段に登場し、そこから一〇段の階段を下りステージ
で、次の出場者も同様に登場し、階段を下りるとステージ
順に一一名の登場が済み、ラストにあたしが登場。いや平常心平常心……って心に言い聞かせるんだけど、BGMのビートのせいで自然と心拍数が上がっちゃう。えいやっ、と気合を入れ、あたしは中央上段にスタンバイ。
「Entry number twelve, Sayaka Amano~っ!! C'mon!!」
MCのコールに合わせて腰に手を当て、一瞬軽くポーズを決めると、階段を悠然とカッコ良く下りる。
んでもって、最後の一段というところで足を踏み外し、ドテっとコケた。
ステージ上で、斜め前にでんぐり返り一回転。M字開脚、白パンツ丸出し状態で静止。ステージ下の観客は一瞬静まり、すぐに騒然となった。
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