19話バスの中

ボランティアをしたくてうずうずしている僕以外のそのほか大勢は颯爽とそのバスに乗り込んだ。


僕はいまいち乗る気にはなれなかったが、


彼女が「いくよ」と僕の手をとり


半ば強引にバスに乗り込んだ。


皆はまるでどこかへ旅行に行くかの如く楽しく談笑していた。


当たり前だが、そのどれもがガールズトークなものだから、当然話にはついていけない。


だから僕はぼーっと外を眺めることしかできない。


すぎる景色が、


木々や山、川、田んぼばかりで


わが町がいかに田舎であるか、


ということを、彷彿とさせる。


都会から来ている人からすれば素晴らしい大自然の風景で心癒されるのだろうけれども、


僕からすると、もういい加減見慣れすぎて、うんざりする景色である。


そんな単調な流れる景色を眺めているうちに僕はいつしか眠りについた。


女子たちの会話をBGMにして。


気づいたらバスが中心市街地に止まっていた。


普段県の端のど田舎にいるせいか、この程度でも人酔いしそうである。



この地方の県庁所在地の地方都市でさえも、


そうなってしまうのだから、


大都会東京になんか行ってしまえば、


いったいどうなってしまうのだろうか。



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