神は頭上に天使は空に人と人とは隣同士に
戦争五日目、残り五名
丸め込むのは簡単だった。
相手は通信を繋げた瞬間から、話が違うと罵詈雑言の嵐だった。
だが彼らも、元々予定していた結果と見合う別の何かを提示されれば、結局は納得してしまっていた。
今回最大の目的である
まぁ、重複者に内蔵されていた魔術構築式が解析出来たのは嘘ではないし、幾つかの条件付きではあるものの、魔術が行使出来る事も事実。
だけれど、元々の目的の半分しか達成出来ていないのだから、それで満足するのも如何なものだろうか。
おそらく――いや確実に、彼らは重複者という存在の重要性を理解し切れていない。簡単に説得出来てしまえた彼らの返答が、すでにそう自白している。
だがしかし、ウダウダと文句を言ってばかりではしょうがない。
事態は刻一刻と進んでいる。戦争もそう。
第八次
玉座の場所を知る熾天使は玉座へと向かわず、次なる獲物に自分を仕留めるための準備期間を設ける余裕然とした態度。
次の彼女の標的となるは他四名の誰になるか――と、狩る側と狩られる側が随分と明白に分かれて、しかも一方的な展開となっている。
まぁ、熾天使が参戦した時点で、こうなる事は想像出来ていたのだが。
「まぁ、彼女の事だ。真っ先に向かうとすればやっぱり……」
地に堕ちた同族を、彼女は絶対に許すまい。
だが同時、今回この戦いの裁定者役である事を抜きにして、召喚士は許せない相手が出来た。
都市の人々を手に掛けるだけに飽き足らず、国の根幹の一つたる信仰団体を壊滅させ、更に一体の天使を堕とした
復讐なんて馬鹿げた動機は好きじゃないが、そんな事を言ってられなくもなって来た。
これ以上事態が悪い方向へ傾くより前にケリを付ける。このままあれの思惑通りだなんて、誰も望んでいないのだから。
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