《SS⑭ ~『千年の刻を得て今、人類は最後の絶望を報される___。』~ 》
王都はアルカドア事件の収集で大忙し。
そんな中……舞台は王都から離れて、とある遺跡の大壁画。
そこには光り輝く文字が描かれている。
__戦争が終わりし刻より千年……この世に再び、魔王は現れる。
__魔王を呼び戻す器が、その刻より前に生まれることだろう。
文字によって描かれている内容は……魔王復活の予告。
__しかし、案ずるな。
__暗黒が生まれるのなら、極白もまた蘇る。
__世界が滅びし刻、我“精霊皇”も、一度だけ、再びこの世に現れるであろう。
人知れず。
壁画に現れる……新たな文字。
___新たなる世界救済。私の全てを託した使者。
壁画に描かれる最後の文字。
その文字が……浮き上がる。
___新たなる =精霊= を連れて……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「確かに感じたのだがな」
銀の髪とマントを靡かせる少女。アタリスは王都の時計塔の上で街を見下ろす。
「逃げた、と言う事か」
彼女の目線の先。
それは事件の発端となったアルカドアでもなく、それに加担していた魔族達が逃げ道として使った下水道への入り口でもなく、精霊騎士団のリーダーである騎士団長が待機する王城でもない。
虚空。
何もないはずの王都の上空を眺めている。
「嵐はまだ退かぬ、と言う事か」
アタリスは時計塔より飛び降りる。
「いや、むしろ」
人々の騒乱の中。
怪物・アタリスは再び、穏やかな世界へと戻っていく。
「”これから”か」
<第9部 マジック・ショーの黒幕 完 >
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