265.断罪劇の意味が違う!!(2)
今頃、シフェルもリアムに問い詰められている事だろう。この際こってり叱られてこい。
「騙す気はなかったが、黙ってろと言われた」
「うん、詐欺師の常套句みたいなのは要らない」
レイルの言い訳をぴしゃりと跳ね除けた。絶対におかしい。リアムは表情を作って誤魔化すことは出来ても、基本的に真っ直ぐだから内緒にされた。その判断はある意味正しい。リアムの挙動がいつもと違えば、オレだってもっと早く違和感に気づけたんだ。
リアムだけ見てたから、気付くのが遅れたんだけど。それは反省するけど、またやると思う。オレの世界の中心はリアムだからね。
「はっきり言うから、イエスかノーで答えて。これはとろり蒟蒻やおなら野郎を排除するための、芝居だよね」
「……イエスなんだが、おなら野郎って誰」
「蒟蒻の仲間で、ほら……えっと?」
「オタラ公爵閣下でいらっしゃいますね」
覚えてない部分をさりげなく補う執事。くそっ、じいやがカッコ良すぎる。納得した様子でレイルが頷いた。
「ああ、あいつか」
じいやの手がさっとお茶を差し出す。受け取って、中の緑茶に頬が緩んだ。やっぱり紅茶より緑茶だよな。茶柱立ってて、何かいいことありそう。
「じいや、茶柱って飲んでいいの?」
「キヨ様、人に茶柱があることは伏せてください。願いが叶わなくなります。それから茶柱は飲まない地域と飲む地域がありますぞ」
失敗した。言っちゃいけない系のおまじないか。ぺろっと舌を見せたが、そもそもシン達には意味が通じてなかった。
「チャバシラとは何だ?」
「知らなくていいよ、シン」
「キヨに黙っていたのは謝るから、兄様と呼んでくれ」
泣きそうな顔でお願いされてしまった。シン、妹もいるのにどうしてオレに拘るかな。よくわからんが、肩を叩いて「シン兄様」と言い直したら、機嫌が良くなった。うちの義兄がちょろ過ぎる件について。
『主、あのブロンズ頭やっちゃう?』
「やらねえよ」
青猫の提案は却下だ。彼が敵を排除する目的で動いたのは間違いなく、オレやリアムを陥れる気はない。どころか、助けるために囮にしただけ……次からは事前相談が欲しいところだ。改善を申し入れておこう。
「それで、洗い出した敵の情報を開示してもらおうか」
「オタラ公爵並びにトゥーリ公爵は、完全に黒だ。主犯と言ってもいい。当主の首を落とした上で、代替わりさせて爵位降格だとさ。ペッコラ侯爵は微妙なので、今回は代替わりだけで済ませる。領地も散々な目に遭ったし、な。これ以上処罰はないだろう」
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