第84話 インテリゴブリン

「ゴブリン以外にも何かがいる……のでしょうね。」


 そう呟いた私、シロこと足名のの。

 その言葉に、ジャックさんは深くため息をつき、同意する。


「この大きさの洞窟だと……ワイバーンがいたところでおかしくもない。冒険者を雇った方がいいな。」

「えっ、半竜ワイバーン?うっわ帰りたくなった。」


 ついつい口を挟むと、ジャックさんは私をちらりと見て渋い顔をする。


「お前だって冒険者の端くれだろうが。羽根つきトカゲ位でガタガタ言うな。」

「飛んでるじゃん、そのトカゲ。しかも爪も牙もあって体長二メートル前後じゃん。」

「あのー……お二人とも、申し訳ありません。ワイバーンがいる可能性もあるとなると、私どもでは対処できませんので、引き返しませんか?」


 二人でしゃべっていると、村人が私達に声をかけてきた。ごめん、放置してたわ。


「はい、戻りましょ……」


 そう言いかけたとき。


『止メロ、オ兄チャンヲ食ベルナ!』

『来ルナ!来チャだめダ!!』


 洞窟の奥から何か、声が聞こえてきた。

 反射的に振り向けば、奥から凄まじい咆哮が岩の壁を反射してこちらにやってくる。


「ジャックさん!ちょっと失礼します!」


 私はジャックさんに声をかけ、瞬発力強化薬をイッキ飲みしてから洞窟の中へ突っ込んでいく。


「あ……!?何やってんだシロ!」


 ジャックさんが慌てたように振り替えるが、ちょっと遅い。私は薄暗い洞窟の中に足を踏み入れていた。


「誰かいるの!?聞こえているなら返事をして!」


 聞こえてきた声に向かって叫ぶ。すると、即座に返事と戦闘音が返ってきた。


『誰ダ、ソコニイルノハ!』

『兄チャン、逃ゲテ!』

「そっちね!」


 洞窟を真っ直ぐ走り抜けば、暗くてよく見えないが、ちょうど子供くらいの背丈(片方が槍を持っている)が二人と、二メートル位の羽根つきトカゲワイバーンが一匹。


 ワイバーンがこちらを向くよりも先に、麻痺薬を投げ掛ける。


『ぎしゃぁぁああ!!?』


 急に動けなくなったワイバーンが絶叫した。どうやら薬を頭から浴びたらしい。ストライクだ、やったね。


『ナッ……今ダ、リーヴァ!』

『アイヨ、兄チャン!!』


 動けなくなったワイバーンに好機を感じとったのか、小さな影の槍を持っている方がワイバーンの顎下から上へ槍を突き上げる。


 ざしゅっ

『ぐぎゃぁぁあああ!?!!!』


 小さな体から繰り出された一突きは、何かしらのアビリティを使用したのか、あり得ないほどの貫通力をえたようだ。

 脳を破壊されたワイバーンは哀れな悲鳴をあげ、そのまま息絶える。


 ……つ、強めだな。私、毒薬も用意しちゃったよ。


 出しかけた小瓶をバッグに戻していると、槍を持っていない方の小さな影が、私に声をかけてくる。


『誰ダカ知ラナイガ、助カッタ。貴殿ガすきヲ作ッテイナケレバ、俺ノ弟、リーヴァモ危ナカッタ。』


 随分礼儀正しいな。……ただし、私は『貴殿』ではないがな。

 小さな影の動きに違和感を覚えた私は返事をする。


「いや、大丈夫ですよ。それよりもあなた、大分酷い怪我をしてません?」

『アア、ソウダ。深手ヲ負ッテシマッテナ。』

「へぇ………ファッ!?」


 他のワイバーンだと!?

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